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異種格闘技 2006年06月25日(日)

木々のとなりを一瞬にして通り過ぎる
残像となる濃い緑にむせかえる

水面が光を反射する
目ん玉がチカチカと光を増幅する

私がこの世界を見たとき
君はどの世界を見ている

同じ世界を見ることができたら
私たちは他人を馬鹿にせずに済んだろうか
私たちは他人を罵らずに済んだろうか

横に立つ少年の網膜には
私と同じ景色が映っているはずなのに
きっと違うものを
見ている

遠い遠い国の
砂の丘も
石の家も
暗いどぶも
知らない

私たちは格闘している
血を滴らせて戦っている

同じ世界を見ていたとしても
私たちは他人を馬鹿にするだろう
私たちは他人を罵るだろう

けれども
違う世界を見ているから
どうしても他人を必要とする
どうしても他人に寄り添おうとする

強烈なアッパーをかまそう
仕返しにバックドロップが待っていても




愛という名の響きよりも 2006年06月07日(水)

―――生きるのですか?
ええ、そう、そうなんですよ
何か可笑しいと思いませんか
神様に言っておいてくれませんか
貴方の悪戯にはついていけない、と
笑ってしまいそうで、笑ってしまいそうで
堪りませんよ
どうにかしてくださいよ

ところでところで、
神様は愛を知っているそうじゃないですか
是非是非教えていただきたいものです
愛は言葉で言うよりも
愛を実行するのが本物だと
神様は言っていたのではありませんか
ならば実行していただきたい
神様の愛が本物だと証明していただきたい
神様は人間を愛しているんですか、本当に

ああ、駄目だ
やっぱり笑い出しそうです
笑ってもいいですか

―――死ぬんですか?
―――死にますよ。




踊り狂う都人 2006年06月06日(火)

あれから何年経たのでしょう
私は生まれて死にました
それから何年経たのでしょう

私は地球を回ります
今日も月と競争します

地球は今日も輝いています
恐ろしいほどに輝いています

ネオンネオンネオンネオンネオンネオンネオンネオンネ…
怨念

自ら作ったエネルギーに
都人は押し潰されるでしょう

けれども
もう知らないのです
もう知りませんのです

私は生まれて死にましたから

私は生まれて死にました
地球にとっては
たったそれだけのことです





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熊野
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