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外の空気を吸いたかった。 2004年02月22日(日)

窓を開けたら
焼け焦げた匂いがした

どこかで 何かが燃えている

換気をしようと思うのに
外の空気も乾燥してる

何気なく目を下ろしていけば
お昼の人たちは
みんな ゆっくり歩く

いつも真っ直ぐだ
と思って自転車をこいでた道は
カーブしているのだと気付いた

知らないところで
すべてが動いてゆく
当たり前に

誰かが笑ってることを
許せなかった
誰かが話していることを
許せなかった

けど 私には どうしようもない

窓を閉める前に
灯油を入れよう

部屋を暖かくして
あの人を待っていよう




片隅 2004年02月20日(金)

信じるところのない
自分にとって

歯向かうことは
祈ることより
安らかだ

お天気の日の
猫のけんかは
とても爽やかに過ぎる

馴れ馴れしい犬たちにも
赤の首輪が素敵だね
と言えてしまう

緑のないこの街角では
植木鉢を大量に購入
カラスを呼び寄せるだけだが

今日も美しい日ではないけれど
素晴らしい日を求めようとは思わない

祈ったりしない

目を閉じて
少し匂いを吸ったら
太陽と
春の匂いがした

それだけでいい




コノヤロー 2004年02月16日(月)

おもくそ、殴ってやろうかと思った
コノヤロー

ご機嫌ななめの土曜日、午後

素晴らしい日常だ
キラキラしてんじゃなくて
ギラギラしてんだよ

一杯のコーヒーも飲めない

それを知らなきゃ
人生、ぜんぶ、わかってない
って、ことに、なんのかい?

笑って、誤魔化してやる

目が、充血している
とっくに、気付いているさ
赤すぎる

寝たらば、また、悪夢さ

いいかげんにしてくれよ
まったく
やっぱり、おもくそ、殴っときゃあ、よかった

コノヤロー




眠れないよるの流れるかたち 2004年02月14日(土)

ふつふつと
ふとんの中で
正座をしながら
何かを待っている

それは
あの頃と同じで
だれよりも強いと信じていた頃の
あのかたくなさといっしょで

てのひらをぐーにして
あぶら汗だか冷や汗だか
握りしめていると
なにもかもに終わりがやってくる

この黒に
さまざまな色があるように
終わり方もさまざまであったよ

眠れないよるの
私が待っているものは
睡魔ではないのよ

気付いて




ワルツを聴きながら。 2004年02月09日(月)

久しぶりに、彼女に会ってきた。

何年か前と同じ、物腰だった。
相変わらずだ。

じっと見ていたら、
ふふふ、と笑って、
人を威嚇するときは、表情に出さないのが一番よ。
なんて、唇の片端を上げた。

別に、威嚇、しようとしてたわけがない。

昔していたように、
ぶらぶら歩いて、
並木道の銀杏を、臭いと言って、
喫茶店で喋って、
そんで、最後に、電気屋に行った。

彼女は、
電気屋の電気に侵されるみたいで、素敵。
と、いつも言う。

テレビのコーナーに行って、
ちょうど3時半ごろなので、
そのまま競馬を見た。

わーっという声が、
何ヶ所からも、聞こえる。

それを、彼女は、んふふ、と笑う。

彼女と二人、並んで帰る。
あの変わらなかった日常を、思い出す。

彼女のふわふわの髪が、
鼻をかすめる。

私が世界を滅ぼしたら、みんな、幸せになれるよね。
やっぱり、彼女は、微妙に、笑って、残酷を告げる。

だけども、
ああ、そりゃ、幸せになれるだろうなあ。
なんて、普通のことのように思う。

そのまま、二人でぽつぽつ歩いて、
いつも別れていた道で、
あたりまえのように、別れた。

壊れた悲しみと、彼女には、
ワルツが似合っていた。

今日は、あのとき好きだった曲を聴きながら、
よく、眠れそうだ。




そういう日もある 2004年02月08日(日)

喫茶店で酒を飲んだ
似つかわしくないのに
みんな知らんぷりだ
茶色いテーブルはくすむんだ色だ
赤い花が出入り口を飾る
持ち込み禁止の声も素通りだ
今日も天気がいいのは馬鹿馬鹿しい
曇ったこの店はちょうどいい
スリガラスを俺に嵌めてくれ
出るのも入るのもいっしょだ
美女と擦れ違いざまに目を合わせる
赤い口紅が挑発する
青空が似合わないヤツもいるんだ
公園が大嫌いだ
犬ももちろん嫌いだ
媚びるな
紫煙が気持ちよく体にかかる
さてもう帰る
外に出るなんてやめときゃよかった





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熊野
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