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漫画関連ファイル


2001年07月14日(土)
森脇真末味『ブルームーン』

久しぶりに森脇さんの『ブルームーン』を引っ張り出して
ぱらぱらと見ているうちに結局全部読んでしまった。
読んでいて、心の中に染み込んでくるような
せつない、きれいなお話だということに
初めて気がついた。

連載中も読んでいたし、コミックスを集めた時も読んだはずなのに
全然わかっていなかったんだな。
いったいどうして今回はこんなにすんなり入ってくるんだろう。

英一も英二もお互いが必要で、それこそ
一つの魂をふたつに分けたような存在なのに
一緒にいたらお互いをだめにする。
傷つけたり傷つけられたりしながら、
離れられないふたりが、ゆっくりと大人になっていく。

プチフラワーに連載されていたのは1986年。
15年もたっているとは思えない新しさ。
じつは、友人達にボーイズの本をまとめて回覧するにあたって、
ルーツというべき少女まんが作品をいくつか入れようと思って
『グリーンカーネーション』や『バナナブレッドのプディング』やこの本を
読み返してみたのだけれど・・・・
いやいや、まるで宝石のようにその輝きは全然色あせていないのでした。
ほんとうにほんとうによき時代を私達は過ごしてきたのでした。

blue moony green tea dream
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5082/



2001年07月12日(木)
今市子『千金の夜』

不思議な作品。ものすごく若いところと、ものすごくこなれたところと、
まじめなところと、いいかげんなところが混ざり合っている。
やっぱり家の中の暗がりや、庭のしげみの影に何かいるような気がする。
すりガラスから入る光まで描くことができるのは今市子さんの独壇場。
最初の作品から最後にいたるまでに長い時間がかかっているそうで、
描きたい物があふれているけど未熟な最初の頃と、
こなれてきているけど、最初の熱意をもてあましているかのようなラストと
どちらが好きかは意見が分かれるところかもしれない。
他の先生の影響があらわれている初期の作品を読むと
読者としては、二度楽しい。あれを思い出し、これを思い出し、
共有されているものと、違っているものをいろいろ考える。
十分、商業出版でいける作品だと思うんだけど、刊行は難しいかしら。
せめて同人誌で再版されることを切に願うのでした。



2001年07月08日(日)
大塚英志『少女マンガと母性』

O様からお借りしたimago(1995 Vol.6−4)「特集・少女マンガ」がすごくおもしろかったです。
萩尾さんの対談もおもしろかったけど、大塚英志さんの『<少女>は<母性>を超克するか』という文章が私が残神で考えていたことと、重なって興味深かったです。

少女まんがが母性をいかなる形で主題化してきたのか?

と、彼は問います。なぜなら1995年当時、かつて少女まんがを描いていた漫画家たちが結婚出産し、雑誌には出産まんががあふれていたから。それは自分の母性を全面肯定するものだったので、大塚さんは、ではそれまで少女まんががくり返してきた<母性>をめぐる問いはどうなってしまったのか?母性を全面肯定するのと同じように、かつての少女たちは、自分達のその当時の状況を全面肯定していたのにすぎないのか?と問います。

そんな中でなぜ萩尾望都は未だ<母性>と和解できないのか?

大塚さんは、出産経験の有無によって、判断しようとは思わないとまず表明します。
そして、『マージナル』によって、萩尾さんは、母性との困難な和解という、少女まんがの不可能性そのものをテーマにした作品を作ろうとしたといいます。そして、『マージナル』についての考察が続くのですが・・・・

1995年当時『残酷な神が支配する』はまだ連載半ばでした。
萩尾さんは母なるものと和解したでしょうか?・・・未だに和解はされていないように思います。
大塚さんの文章を読む前は、私は、萩尾作品における親と子の葛藤を、作者個人の体験のせいだと思っていました。なぜそこから抜け出せないのだろう?という視点からしか見ていなかったように思います。
少女まんがにおける母性について、誰が答えを見つけたでしょう。答えを求めて問いつづけているでしょう。全面対決をさけて、やおいに走るというところもあるのではないかしら。あるいは、全面肯定の結婚出産まんがになってしまうとか。その中で自分の問題から逃げないという意味で、萩尾さんほどまじめな人はいないのかも。大塚さんの文章はそんなことを考えさせてくれました。

しかし、どちらかというと、全面肯定の方にいる私は、問い続けることのしんどさを思ってため息をついてしまいます。子から親へ役割を交替して、ちゃらになることもあるのではないかと。かつて親に反発して自立した子供は、自分の子供から反発され捨てられて、プラスマイナスゼロになるんじゃないかと。これは、私の個人的体験の全面肯定にすぎないのかしら。

生身の母親の体から生まれることだけは、断固として拒否して、いろいろな形で新しい自分が生まれる。そういう描写が萩尾さんの作品によくあるような気がします。実際、遺伝子操作と、人工受精と代理母のシステムがすすめば、生身の母は必要なくなるかもしれない。そうなったとき、本当に自由な人間になれるのかどうか。
私の想像力では、そうなったときの人の心を思い浮かべることができないのですが。

また、少女まんがは、抑圧される存在であったからこそ、その内圧がパワーの源になっていたと思うのですが、抑圧がなければ拡散するしかないかもね。やおいも、公然と認められるようになったら、やはり毒は抜けていくのかも。



2001年07月07日(土)
やおいのルーツ

今、やおいとかBOYS関係の本をまとめて読んでいるのですが、
なかなか簡単には把握できないということがわかってきたかな、という段階です。
「やおい」とひとくちに入っても、JUNEもの(耽美)、アニパロ、Boys Loveなんかがあるし、
なぜ、こんなにたくさんの本がでていて、たくさんの読者がいるのか
ということについても、簡単には語れない。
ルーツは少女まんがにあることだけは確かだと思うんだけど。

そもそも少女とは何か?少女にとって、まんがとは何か?
日本の家庭の中で女の子はどういう存在だったのか。
これからどうなっていくのか?という問題も避けて通れない。

とりあえず、私の把握できる範囲でまず書けることといったら、
少女マンガの中で「やおい」的なルーツはどこにあったか
ということでしょうか。思いつくまま以下に作品名を書いてみます。

○『戦場に咲いた赤いばら』
作者は忘れてしまった。何かの再録で読んだの。ボウイをモデルにしたような
登場人物がでてきたような記憶があります。

○竹宮惠子さんの一連の初期作品
『風と木の詩』は冒頭のベッドシーンで衝撃的でしたが、それ以前から
少年同士の友情があやしかったと思う。

○『トーマの心臓』『ポーの一族』
今から見るとページ数はそんなに多くないのに、ものすごく影響が大きかったですね。

○大島弓子さんの作品
私にとっては『つぐみの森』が一番そういう感じですが、ほかにもいろいろあります。
『バナナブレッドのプディング』の衣良って、やおい少女の原型じゃないかしら。

○木原敏江さんの作品
『摩利と慎吾』以前の週刊マーガレット掲載作品は女の子が主役だったけど
はっきりいって、女の子はじゃまだったね。かっこいい男の子が必ずふたり出ていた気がする。

○『ダートムーアの少年』これは、やはり大泉サロンの影響でしょうか。

○『グリーンカーネーション』このシリーズはそのまま山岸さんの作風の変化を
表わしていて、とてもおもしろい。伝説の『ギシ』という擬音がでてきます。
『日出処の天子』や『妖精王』も。

○『カリフォルニア物語』『BANANA FISH』
ボーイズ作品に吉田さんの影響はものすごく大きいと思いました。

○『眠れる森の美男』『TOMOI』最初は、コメディだと思っていたけれど、
だんだん、シリアスになったのでおどろいた。とってもガタイの良い男の子って、
秋里さんの作品が最初じゃないだろうか。それともひかわさんか。

○『エロイカより愛を込めて』『イブの息子たち』『エルアルコン』
青池さんの功績はおじさんの魅力を世間に広めたことかもしれません。

○森脇真末味さんの作品
森脇さんとやおいが結びつくなんて、今までちっとも思わなかったけれど、
いろいろなサイトを見て回ってそういう指摘をみて、妙に納得してしまいました。
『緑茶夢』も『おんなのこ物語』もそういう視点で読むとなるほどと思う。
『ブルームーン』って、やっぱりボーイズに大きな影響を与えてると思うな。

○花郁悠紀子さんの作品
とても好きだったし、リアルタイムでおいかけていたけど、
当時は、こんなにもたくさんの人や作品に影響を与えていると
知りませんでした。代表作というとタイトルがでてこないけれど、
いろいろなものが、花郁さんの作品から育ってると思う。

以上、私の把握してる範囲でのやおいのルーツでした。



2001年07月06日(金)
インターネットアニメ『B・J』

『ブラックジャック』がアニメ化されて、
8月からインターネット上で公開されるそうです。ただし、有料。
くわしいことは、報道関係者向けリリース(2001/06/26-01)を参照のこと。

BJプレスリリース
http://cinema.tezuka.co.jp/bj/bj_press.html

インターネット配信用のシステムを使っているそうで、
とても画面が美しい。ちょっと、予告編を見てみてくださいね。
下のURLのトップのメスをクリックして、画像が静止したところで
右から二番目のカードをクリックすると、予告編が見られます。

BlackJack TOP_HTML
http://cinema.tezuka.co.jp/bj/

このアニメのことを知ったのは、ズキズキどんぶりの
リンクページからBJのファンサイトへ行ったから。
なかなかかわいいBJが見ることができます。

■ LOVE SICKNESS ■
http://et.sakura.ne.jp/~amanatu/