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  2005年09月17日(土)   『リービング・ラスベガス』  

ニコラス・ケイジのオスカーはこの映画でのアル中演技によるものだから、
ファンとしてはもっと早く観たかったけれど、やっとその時期が来たというか。
決して明るく楽しいラブストーリーじゃないから、心構えが要ったのだ。約3年は部屋で寝かしていた。
アル中の映画に、向き合えるようになったんだろうか。
どんなに苦しそうでも、あれは演技なのだから、真性のアル中には
オスカーは贈られない。
真性のアル中はあれほど澄んだ瞳で生きてないし、
かといってニックの瞳が底まで濁っていれば、
人生最後の恋も出会いも成り立たないだろう。

それはそれとして、私にとっては、今だから共感もある、
と思える内容だった。
そして、印象としては、女性のほうが主人公だった。
私が女性だから、だろう。

ニックの姿は、どんな役柄を演じていても、奇妙に母性をかき立てる。
と同時に、普遍的な意味で、娘にとって、「父親の若い頃」を連想させられる。


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製作年 : 1995年
製作国 : アメリカ
出演: ニコラス・ケイジ, エリザベス・シュー
監督: マイク・フィッギス

  2005年09月04日(日)   『映画は予告篇が面白い』  

 ☆映画が好きな人にオススメ。

  最近、映画に行くことが多くなりました。
  「忙しい。忙しい。」と毎日がどたばた過ぎていきますが、
  忙しくて疲れているときこそ、オンとオフのスイッチの切り替え、
  ちょうどいい気分転換になります。

  映画館での楽しみは、もちろん、大きな画面と音響を堪能すること。
  あるいは、周りの人の反応をこっそり伺うこと(笑)。
  それ以外には、本編を見に行ってるのだけど、
  「予告編」を見ることも、映画館に行く楽しみの一つ。
  そのときに見た予告編に釣られて、
  また映画館に足を運ぶこともよくあります。

  しかし!
  時には、予告編はあんなに面白かったのに
  どうして、本編がこんなに面白くないのか。
  あるいは。
  予告編では、確かに、ロマンチックな恋愛ものだったはずなのに、
  実際に見てみると、ロマンスも吹っ飛ぶコミカルなホラーだった!
  (↑ 実話。「ハムナプトラ」)
  こんな風に、いざ映画館に足を運んでみると、
  予告編の印象と全然違う映画もあります。
  この本では、その辺のからくりも、ちゃんと教えてくれます。

  偶然でしたが、
  以前にテレビで、「ノッティングヒルの恋人」の
  予告編制作の裏話を紹介していたのを見たことがあります。
  コメディ路線で紹介されているアメリカ版の予告編と
  ロマンチックなラブストーリーとして紹介されている日本編の
  両方が流れて、同じ映画でも、予告編の切り口で全然別物になる。
  コンセプトやターゲットによって、
  予告編は、戦術的に作られるのだと初めて知って驚きました。

  映画の予告編は映画に人を呼び込むための「宣伝」であり、
  さらには、本編とは別物の、独立した「作品」である。
  その「宣伝」であり「作品」である、
  予告編制作にまつわるさまざまなエピソードや予告編制作の過程、
  私たちの知らなかった予告編制作の裏側、
  予告編制作にかかわる職業が紹介されています。

  以前に戸田奈津子さんの「字幕の中に人生」を
  読んだときもそうでしたが、
  映画に関わる人たちのふだん聞くことのできない生の声は、
  映画好きにとってはとても興味深く、
  「もっと。もっと。」とせわしくページをめくっているうちに
  あっという間に読み終わってしまいます。

  読み終わって、映画に関わっている著者や周囲の人の
  映画への愛情はもちろん、
  自分の職業への「誇り」がひしひしと伝わってきて、
  こちらもポジティブな気持ちになりました。(シィアル) 

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 「映画は予告篇が面白い」
  著者:池ノ辺直子 / 出版社:光文社新書