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2009年02月28日(土)
野球の試合を英語では「ゲーム GAME」という。 あるゲーム製作者が「ゲームには運や偶然性の要素が不可欠」と インタビューに答えていた。 将棋や囲碁には偶然性要素がない。 実力で勝負が決まる世界だ。 もしも自分と羽生善治名人が将棋を指せば、 確実に100戦100勝で羽生名人が圧勝する。 ゲームも同じく実力のみで勝敗が決まれば売れない。 実力+運(偶然性)でヘタな人でも上手い人に勝てることがあるから 何度もプレイする。 たとえばモノポリー。うまい戦略は確かに存在する。 しかしサイコロの目という偶然性の要素によって勝負が大きく左右される。 だからモノポリーは世界中でヒットした。
今日、WBCサムライジャパンが西武との強化試合で完敗を喫した。 野球に「サイコロの目」のような運の要素は入っていない。 だが、そもそも「野球」という競技自体が 「偶然性」の上に成り立っていると言ってよい。 一流打者といわれる選手、たとえばイチローや松井。 彼らすら打率は3割を超える程度。 どんな一流打者でも打率5割なんて選手はいない。 まぁ、高校野球や草野球は実力に大きな開きがあるので除外だけど。 あくまでも一流プレイヤー同士の対決でのことで考えて。 つまり、一流選手でも半分以上の確率で失敗(凡打)するように 野球のフィールドや選手配置が決められているのだと思う。 女子レスリングの吉田沙保里選手は以前119連勝した。 しかし、野球で119連勝なんてことは絶対にありえない。 それどころか大相撲で全勝(15連勝)優勝なんて、たまにあるが 野球で15連勝などは年に1チームあるかないかの快挙だ。
陸上や水泳のレースを何度か行えば、2位だった選手が 1位の選手を逆転して勝つことは起こり得る。 しかし8位の選手が1位になることはまず有り得ない。 だが、野球では最下位のチームが首位のチームに勝つことなど日常茶飯事。 昨年のセリーグは阪神と巨人の優勝争いとなり、 中日、ヤクルト、広島がクライマックスシリーズ進出の3位を争い、 横浜だけが完全に置いてけぼりで早々に最下位決定していた。 だが、横浜だって阪神に3連勝したりするのが野球なのだ。 だから下位チームのファンでも、シーズン中に何度も美味しい酒が飲める。
このように野球というスポーツは他の競技に比べて「まぐれ」が大きい。 そもそも、そのように設定されているスポーツだからだろう。 ロンドン五輪から野球とソフトボールが種目除外になる。 競技人口や実施国数の問題らしいが、野球の本質を考えれば 外れても仕方ないのかとも思う。 野球の国際大会はWBCで決めればいい。 もちろん前述のような理由で野球は「まぐれ」が大きいスポーツなんだから、 「絶対に日本が勝て」なんて期待を込めて見るのは禁物なのかもしれない。 「今回はどこが勝つんだろう?」的に楽しみに見るのが正しい観戦方法かも。
前回のWBCでは日本が優勝したが、予選リーグでは韓国に負けた。 韓国ではWBCに不満が爆発したという。 だがそれも野球。 そして北京五輪では韓国が金メダルだったが、 今度のWBCでも韓国が勝てる保証は全くない。 それも野球。 なぜなら野球の試合を英語では「ゲーム」というのだからね。
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