なべて世はこともなし
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2003年10月30日(木) 在外選挙人票を行使する。

本日訳あって日本大使館に行って来ました。…いえいえ秘密めかして書くようなことじゃあありません。なんのことはない選挙ですよ選挙「在外選挙人証」なるものを持っている私には今度の参議院選挙に比例区だけとはいえ投票の権利があるのです。考えてみると、年に1週間くらいしか日本にいないやつが偉そうに「投票の権利」を行使するなどお笑いですが。ともあれ、私は選挙管理委員会の回し者じゃあないですが、例えアイルランドにいようとも、日本に帰る予定はなかろうと、1票を行使することは大事だと思っています。


それにしても今回の投票で在アイルランド日本大使館が侮れない存在であることがよく分かりました。


話は昨日にさかのぼります。選挙のことを問い合わせしようと大使館の領事部に電話をしたのです。まず何より驚いたことは


領事部の担当者の方が私のことを覚えていた。


最後に日本大使館にお邪魔したのが2001年の7月の参議院選挙の時です。つまり2年前。で、去年に電話を一回したような。それなのに私の名を名乗っただけで電話の向こうの領事部の方は私のことを覚えていらっしゃいました。


聞いたところによると現在アイルランドにいる日本人はおよそ900人。その900人全部のプロファイルが領事部の方の脳ミソに入っているとは思えませんが、私のことをしっかり覚えていらしたのは事実です。


領事部の方:「投票?やってますよ。今度の日曜日までですよ」
私:「へっ?」



すっかり忘れていた。投票した用紙を日本に郵送するなどの手間がかかるために在外公館での締め切りは早いんだった。勝手に日本での投票日まで投票できると思い込んでいたので私は来週にでも大使館に行けばいいとタカをくくっていたのだ。うっかりミスで1票を無駄にするところだった。


で、大使館に行かねばならなかった理由その2。


パスポートの増補


6週間に一度程度の割でヒコーキに乗っている私。いつの間にやら99年に発行してもらったパスポート48ページがほぼスタンプで埋まってしまった。あと数回ドイツに行けば本当にパスポートにハンコを押すスペースがなくなる。なんでもスタンプを押すスペースのないパスポート保持者は入国拒否の対象になりかねないそうで (まずないとは思うけど理屈の上では可能)、まあ日本大使館にお邪魔するならパスポートの増補も一緒にやってしまおうと企んだわけ。


で、車で日本大使館へ。降り出した雨は強くなるばかり。会社を出ておおよそ30分で大使館着。


在アイルランド日本大使館。他は知らんがここはかなり狭い。一般人が立入りできるスペースはさあ、せいぜい20畳分くらいのスペースがいいところではないだろうか。そこに力ずくで日本と同じ投票用の間仕切り付の台が置いてあり、ついでに「受付」「立会人席」までありさすがお役所仕事、形は完全に整っている。


反面、どうやらこんな雨の日にわざわざ大使館に出向いて投票をしようなどという酔狂なやつはいないらしく、選挙の関係者4人以外に大使館の公共スペースに人影はない。と言うわけでこの4人のうら若き女性から手取り足取りごていねいにご説明していただいて投票完了。


それにしてもまあ、この投票用紙の機密保持のための封筒はなんと三重。まず緑色の投票用紙に投票したい政党名を書いてそれを封筒1に入れる。で、その封筒1は署名した封筒2に入れて、さらにその封筒2を郵送用の封筒3に入れて出来上がり。 まあ投票の秘密は守って欲しいのでそれでいいのだがまさに「たかが1票されど1票」といった感じ。


で、領事部の別の方ともちょっとお話をさせてもらったのだが、この方もしっかり私のことを覚えてらした。もしかして私って目立ってるんですか?で、無理を言ってパスポートの増補をその場でしてもらい大使館を後にする。


私のパスポート、前にも書いた通りTHIS JAPANESE PASSPORT IS NOT MACHINE READABLEと書いてあり、しかも写真が直接貼りつけとニセモノくさいことこの上ない。で、そこに輪をかけてテープでパスポートのページを増やしてもらったものだから胡散臭さにさらにターボがかかった状態。まあ胡散臭いおかげでいつも入国審査に余計な時間はかかるものの別に入国拒否されたとかいう話でもないのでいいのですが。考えてみると無理を言って増補をその場でやってもらったのにそれで文句を言うとは不届き千万ですな。


日本大使館の皆様。もしこれをお読みになっていたらお礼を言わせてください。今日はいろいろお世話になりました。某やたらと品のないオバサンから「伏魔殿」呼ばわりされていた某官庁の出先機関としては、とても同じ機関とは思えないほど親切で丁寧に対応していただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


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2003年10月29日(水) 代打日記−最終回

さて、ひできす代打3連発の最終回となりました。
ニューヨーク、JFK空港に降り立ったひできすがまずしなければいけないことは、ターミナルビルの外に出てタバコをぷかーっと一服。何か以前に来たときと同じことをしているな、俺は(エッセイ、世界一周参照)。前回はここに、ひできすが一服している後姿を眺めるSnigelがいた。

このまま回れ右してターミナルビルに戻るのもなんなので、もう一服してから、やっぱり回れ右して戻る。ロンドン行きの出発まであと約3時間ある。やることもないので早めにチェックインしてゲートへ。ゲートはちょうど滑走路の前だったので、到着便が次々に着陸してくるのをボーっと見ていると、突然すごい逆噴射の音が。へんてこな小さい飛行機が、轟音を立てて止まろうとしているのはよく見ると英国航空のコンコルド。そのコンコルドは、するすると目の前のゲートに駐機しその羽を休める。目の前に止まったのでしばらく眺めていると、知らない間にひできすの周りには人だかりができており、パシャパシャとフラッシュがたかれる。うわさではコンコルドは近々廃止されるらしい。程なく、うさん臭い男が現れて、「私はFBIのものだ。ここで写真をとっちゃいかん」、とわれわれは四方に散らされてしまった。なぜ写真をとっていなかった私まで散らされるのか?アメリカは謎の多い国である。


 さてロンドン行きのこの便は、ほどよくすいている。例によって乗客全員が登場した後、「ひできすさあん」と呼ぶ声。座席番号1Jと書かれた搭乗券をもらう。やった、ファーストクラス。いい加減疲れていたひできすは、フルフラットベッドになるファーストクラスは願ってもない。ウエルカムシャンペンの後に、スッチードさんが食事の好みを聞きに来る。ひできすは「疲れているから、サラダだけちょーだい。後はすぐ寝るから」。

飛行機が水平飛行になすころにはひできすは口をあけて居眠りを始めていたが、例のスッチードさんが「お食事になさいますか」とやってくる。真っ白いテーブルクロスをしいてくれながら

「あれっ、前に一度お会いしたことがありますね」

と言う。
「はっ?」
「ほら、この同じニューヨーク線で」。

 ...ぜんぜん覚えてない。ニューヨークはこれが3回目だ。ひできすはすかさず
「あの、僕そのとき誰かと一緒でした?」
「ああ、ほかにもう一人日本人が。彼はパーソナルビデオで101匹ワンちゃんをみていましたね」。
ぷぷっ(笑)、おお、間違いない。あれは、Snigelと一緒にファーストクラスで飛んだときのことだ(またまたエッセイ、世界一周参照)。ひできすは「やいSnigel、なにも一生に一度乗るかどうかのファーストクラスで101匹ワンちゃんはねえだろう」なんて話をしていたのを覚えている。しかしこのスッチードさん、何度ニューヨークを往復してるか知らんが、よく覚えていますね。驚きました。それとも、やはりあの101匹ワンちゃんがきめてだったのか。


 ダブリンに着いたのは朝の11時。ふらふらになりながら到着ホールについたひできすは、出口横のパブに直行。その後さらにふらふらになって帰宅すると、そういえば引っ越したばかりの新居だった。お邪魔しまーす、ってな感じでまだ荷物の整理も終わっていない自分の部屋に入り、ベッドにごろん。後は記憶がない。

 以上が、今回の帰国談です。楽しんでいただけましたか?
さて、Snigelですが...おお、すごい気合。数日後にドイツ行きが控えている彼は「彼女に会うまでに終わらす(何を終わらすんでしょ?)」と、やはり日記どころではない様子。皆さん、もうしばらく辛抱してくださいね。

ではまたお会いする日まで。

ひですでした。



PS 冷蔵庫を開きっ放したのは、俺じゃあないぞ。文句言う前に、玄関ちゃんと閉めてって。


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2003年10月26日(日) 《代打日記》冷凍庫を開けっ放しだった罰。ひでかす復活(2)

前略、いかがお過ごしでしょうか。

前回の続きですが、帰国して最初に気づいたこと。10月10日が体育の日ではない。知りませんでした。体育の日が月曜日になったなんて。ということは、日本でこれを読んでいる皆さん、日本は3連休が多くなったわけですか?おいしいですねえ。

しかし、そんなこと知らなかったひできすは、月曜日は秋葉原に行ってコンピューターを買おうと思っていたのを火曜日まで延期しなければならず、その待ち遠しかったこと。なぜかって?それは、どこかのだれかが言った「。平日のほうがねぎり易いよ」という言葉がずっと頭に残っていたからなんです。本当かどうかはPCを買った今も謎です。まあ、いい買い物ができたと自分では思っていますが。


 さて、たっぷり親孝行をするつもりが、たっぷり甘えてしまうのは例年のことでした(海外在住の日本人の皆さん、気持ちわかるでしょ?)。しかし今回はいくつか日曜大工を手伝ったりしてお役に立てたと思っています。


そしてここからはまた航空ネタになりますが、日本を出発する前の日、「さて帰りはどうやって帰ろうか?」と、自社の東京オフィスに電話すると、どの便もかなり混んでいる。2週間前にチェックしたときはどれもがらがらだったのに。出発ぎりぎりまで悩んだ末、今回はニューヨーク経由に決定。

成田へ行く途中、友人と船橋という町で会って昼食をとりました。しばらく食べられなくなるからって、何もカレー南蛮なんか食べることもないだろうに。汗だくになって店を出たら「あっ、お土産にホッカイロ買ってこ」と思いついた。アイルランドにはそんな物は存在しない。一度、友達に大変喜ばれたのを覚えている。そこで船橋の友人が連れて行ってくれたのが、京成船橋駅前のダイソーという100円ショップ。いやあ、驚いたのなんのって。その100円ショップ、7階建てのビルが、。全フロア100円均一。ひできすは生き方がせこいので (ほっとけ)、多分1日いても飽きないんじゃないかと思われる。後ろ髪を惹かれる思いで店を後にし、電車に乗り、感動覚めやらぬまま、気づいたときにはひできすは機上の人となっておりました。


 ふたを開けてみるとこのニューヨーク行きの飛行機は、ドタキャンしたリッチな客が多かったらしく結構空いていて、3席を独り占めできるほどでした。というわけでニューヨークまでの12時間はエコノミークラスにもかかわらず、それほど苦にはならなかった...といいたいところですが、この後何が待っているかいうと、そこからロンドンまでの6時間の旅が続けて控えている。考えただけでもげんなりしそうですが、この先は次回、最終回に続く。


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2003年10月25日(土) 読者さんは鋭い。私が忙しい理由とは?

こんばんは。Snigelです。代打人ひでかすではありません。いやー、うちの読者さんは鋭いというかカンがいいというか…。

(掲示板より)

SNIGELさん、ご結婚ですか。
おめでとうございます・・・・ね。
今後はアイルランドで過ごされるのですか?それともお引越?
寂しいから残って欲しいなー。

(メールより)

と、Snigelサン、現在、とーっても忙しいとの事。
お仕事カナ?等と思っていましたがBBSを読ませてもらい・・・
「ご結婚」?情報が出ていたのでこれは「お知らせ・ご報告」を
楽しみに待ってます(期待)
さて、皆さんの期待を外す?報告内容かこれ又楽しみ(ほくそえみ)



もうここまでバレバレなら白状しますが、そう、私、結婚します。


…と言ってもこれがまた簡単じゃないのよ。いい加減王国アイルランドのくせして教会だけはいい加減じゃないのよね。すなわち…


クリスチャンじゃなければ教会では結婚できない。


あのー、私、クリスチャンじゃあありません。で結婚するにあたっても別に宗教なんてどーでもいいと思ってました。だけど、Mausi(彼女の名前=仮名)の両親がですね、言うんですよ。


結婚式はちゃんと教会でやるように。


かくして私は結婚するためにクリスチャンにならねばならず、かつ、クリスチャンになるために教会に通わねばならずと言うわけで大変な騒ぎになってます。


教会というところ、行ってみると結構面白いものです。特に日曜日はけっこうたくさんの人が来てます。まあご想像はつくかもしれませんが、来ているのはじーちゃんばーちゃんばっか。私たちの世代の人は数えるくらいしかいません。でもこのじーちゃんばーちゃんが面白い人ばかりでして。話していても飽きません。


…ちゅうか言わせてもらいますが、


これ全部ウソです。

結婚する予定は今のところありません。2002年のエープリルフールに続いて2度も結婚ネタで騙されたあなた…素直に反省してください。ちゅうかこれだけは言わせてくれ。


なんで1週間更新がない=結婚になるねん!


忙しい理由ってほかにもあるでしょうが(笑)。


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2003年10月23日(木) 《代打日記》冷凍庫を開けっ放しだった罰。ひでかす復活(1)

こんにちは。


私を知らない皆さん、Snigelの同居人のひできすです。私を知っている皆さん、お久しぶりです。Snigelが日記を更新できない理由はあるのですが、ま、それはいずれ当人から明かされることでしょうが、今のところ(ちらりとSnigelを横目にみながら)はい、今日も更新、無理みたいです。


ところで、これをやると長くなるのですが、私のペンネームはひでかすではなく、ひですです。ひですなんて失礼千万なことを申すのは、古今、北半球ではSnigelひとりなので、どうかみなさん、お間違えのないようお願いします。


さて、忙しいSnigelとは裏腹に、ひできすは2週間の休みを取って、祖国ニッポンへ帰ってきました。某米系航空会社に勤務するひできすは、帰国便はいつもスタンバイ(空席待ち)。こうすると、航空職員はタダ同然で飛べるのです。しかしながら今回は、なぜかシベリア経由の便(普通の最短コースです)が、軒並み満席。しかたがないので自社便のすいてそうな便を選んで、アメリカ経由で帰りました。ダブリンからロンドンまではエアリンガスで。それからシカゴ経由でシアトルまで乗換えを含めて約11時間。ここで、乗り継ぎがないので1泊。翌日、シアトルから東京まで約9時間の長旅。慣れているとはいえ、足はむくむし腰は痛くなるしで、東京に着いたらぐったりしてしまいました。あっ、シアトルへははじめて行きましたが、なかなかいいところでしたねえ。アメリカの大都市の中では、安全だと感じたし、アジア系の人も多く、活気があると思いました。


10月の第一週、ダブリンはもう冬支度の季節(一年中冬だという意見もあるが)。分厚いジャケットを既婚で東京に着いたひできすは5分で汗だくに。「ん?暑い」。毎年10月に帰国するので今回異常に暑いのがわかる。温度計は25度をさしている。どうしたんでしょうねえ。そう言えはヨーロッパの今年は異常に暑かった。ダブリンでさえ、酔っ払いがいつもにも増して増殖したし。日本は今年の夏はどうだったんですか?


私の家現在神奈川県ですが、今回は7年ぶりにひできす生誕の地である、高知へ行って、ばあちゃんに会ってきました。読者の皆さんで高知の方はいらっしゃいますか?私の尊敬する人はこの世で2人。生きているのは1人で、死んだのが坂本竜馬。その彼に会いに、土佐の高知の桂浜という、月の名所とも言われるこの海岸にそびえたつ彼の像を拝みに行ったのです。
…つづく。


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2003年10月22日(水) 冬が来た。寒いぞ。

今年の8月の話のことでございます。私の友人のドイツ人のバースディパーティーに呼ばれまして、ベルリンのアレクサンダーに程近い友人宅に行って来ました。で、この時の一人の「誕生日プレゼント」がすごかった。この友人が忙しい忙しいといつも不思議の国のアリスのウサギのように走り回ってるものだから友人のひとりが見るに見かねてとあるものをプレゼントしたのです。それはビニール袋にたっぷり入った新聞の切り抜き。その切り抜きにはただ"zeit"(時間)と書かれているだけ。落ちついて考えるとものすごいイヤミですな。


ただその気持ちもよく分かる。あたしゃ今すんごく忙しいのよ。おかげで日記の更新も9日ぶり。全く申し訳ない限りです。多分クリスマス前にはいつも通りの更新頻度に戻ると思うのですが。ええとですね、現在大ネタが何個もありましてどれを取り出そうか迷うくらいなのですが、なのにそれを書く時間がない。本当にすいません。でもホームページ閉鎖の予定はないので気長にお待ちいただけると幸いです。


本日ダブリンの天気は異常でした。ひょうは降るは雷は鳴るわ寒いはでなんだかすごい状態です。昨日の朝この秋初めて車のフロントガラスが氷結しまして…はいダブリンはもう冬です。


ああ、美術館の話にくされスーパーの話にネタはあるのに時間がない…。繰り返しますがあと1ヶ月程度こんな状態が続くと思われますので気長にお待ち下さい。ま、作者の充電期間とでも思ってくだされば幸いです(実際は放電しまくってるんだけどさ)。


PS ひでかす。お前アジアンマーケットでもやしを買ってきて冷凍するのはいいけど冷凍庫閉まってなかったぞ。氷が張りまくってしかも俺のお気に入りのアイスクリームを初めストックしてあった冷凍食品が軒並みダメになってるじゃないか。帰ってきたらぶん殴る(怒)。


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2003年10月13日(月) 郵便屋さんの感動エッセイ...を書くのは無理だった

(今日はシャレで作風を変えております。別に自分よりさらに下手なゴーストライターさんに執筆を依頼したわけじゃありません。)


友人宅でお茶を飲んでいたときのことだった。時刻は夕方5時を少しまわった頃だったろうか。ノックの音がした。


すぐに玄関ホールに向かう友人。ダブリンの狭い賃貸物件のこと。玄関と言ってもリビングルームからドア一枚隔てただけでほとんど離れていない。友人がドアを開けるとそこには濃紺の制服を着た郵便局員が立っていた。


彼は30代半ばと言ったところだろうか。制服のくたびれたしわが彼の一日が長かったことを物語っている。少し離れたソファーに座る私ですがすぐに気がついた。彼の左目の下に大きなアザがあることを。


彼は申し訳なさそうに言った。


「郵便事故のため、お客様の郵便の封が開けられてしまいました。申し訳ありません。万が一なくなっているものがありましたらこちらの番号までご連絡ください」


私の友人は言った。


「もしかして、昨日近所にパトカーが来て、郵便局員さんが何か聞かれていたようですが、それと関係があるのですか」


彼は少し照れたように笑うと


「そうです。それは私です。昨日の配達中に強盗に襲われまして、お客様の郵便が盗まれてしまいました。犯人は近所で郵便の封を開けて金目のものを盗んでそれ以外は放置していったようです」


郵便強盗。彼の左目の下にあるアザが昨日できたことは想像に難くない。それでいて彼はそのことには自分から触れずにまずは「申し訳ない」と謝る潔さに私は大いに心打たれたのだった。


…と書けば故・三浦綾子さんふうの感動エッセーで話は終わるのですが、書きながら私は疲れ果ててしまったのでここからフツーどおりに書きます。


で、まあ、こう書けば美談で終わるのですが、まあこの郵便局員さんがこのあと強盗の話を始めて止まらない止まらない。挙げ句には隣の家に配達する某インターネットブックストアの封筒を見せながら


「この封筒にも本2冊入ってたんだよね。1冊盗まれちゃったよ。ハハハ」(訳し方一つで印象ががらっと変わりますね)


で、私も興味があったので聞いてみた。


私:「ねえねえ郵便強盗って割が合うの」


…考えてみるとすごいことを聞くよなあ。自分。


すると彼は別に私のぶしつけな質問に腹を立てるわけでなく


彼:「いやー、たいがいの犯人はヤクをやってるジャンキーだね。彼らは切羽詰まってるから郵便の中に金でも入ってるんじゃないかと期待すんじゃないかなあ。入ってやしないのに」


…私もそう思います。その罪の重さに比例せず郵便強盗は誰がどう考えても割の合わない仕事だと思います。


ただ、私、彼が自分が被害者であるにもかかわらず友人宛ての郵便が開けられたことを素直に謝る姿はいいなあと思いましたよ。確かに友人は被害者ですが同時に配達途中に襲われた郵便局員さんも立派な被害者なわけで。これって日本的に言えば立派な「労災」だよね。


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2003年10月09日(木) 日本対アイルランド。どっちがコネ社会?

使えない新入社員、なんでこんな使えないやつを会社が採ったんだと調べてみると、社長経由の強力なコネで会社に滑り込んでいた…なんて、不況の今はどうかは知りませんが、日本でよく聞く話です。で、「日本はコネ社会だ」なんて言う人もいるわけですが。


で、「日本はコネ社会だ」としたり顔で語る人に私は言いたい。「アイルランドも日本と負けず劣らずのコネ社会だよ」と。


例えばこんな話。


ルーマニア人のナターシャは数年前にアイルランド人の男性と同棲を開始。で、おめでたになりかわいい赤ちゃんが数ヶ月前に誕生。まあここまでは良かった。


アイルランドは未だに育児に関して言えば先進国とは言えない。会社によって違うけど、彼女の勤務する会社は産休は最大4ヶ月まで。あと2ヶ月は「無給」という前提で取れるがどっちに転んでも最大6ヶ月。それ以上の休みが欲しければ彼女は退職するしかない。で、彼女の場合、退職すると新しく就労ビザを取ってどうのこうのと話がややこしくなるので退職は彼女の選択肢には入っていなかった。かくして4ヶ月休んだ段階でさあ2ヶ月後からいったいどうしようかという話になった。


Child minder(保育所)というのも確かにテだが、ここ、月に800ユーロ(!)も取るらしい。彼女の薄給から考えるとあまりに高すぎる。で、彼女に浮かんだ妙案は


(調子のいい時だけ)おかあさまー


彼女の母親、すでに父親ともども定年退職しており悠々自適の身。しかも洋の東西を問わず孫は目に入れても痛くないというところは同じ。孫に会うためならヒコーキの数時間の旅も苦になるはずもなく。そこで彼女の母親に探りを入れてみると


母親:「あらー、いいわよ。何ヶ月か面倒見てあげるわよ」


ラッキー。というわけで、彼女の母親をダブリンに招待することに。Child minder(保育所)に月800ユーロ払うことを考えれば母親の航空券など安いもの。


ところがここで問題発生。彼女はルーマニア人、ビザがいる。観光ビザですら日本人と違って事前に申請しないとダメ。で、彼女は母親から郵送してもらったパスポートを持参してビザの申請に行ったそうな。数週間後手紙が来た。


「前略:ビザの申請は却下されました」

なんでやねん。別に就労ビザを申請したわけじゃないんだぞ。アイルランドはばあさんに孫の顔すら見させないというのか?


速攻ビザセクションに電話するも電話は通じず、ファクスを送れどなしのつぶて(ここに連絡しても通じた試しがないというのが定説)。アイルランド人のダンナも巻き込んで何とか連絡を取ろうとするが見事に失敗。


そんなときにダンナはふっと友人の友人に某国にあるアイルランド大使館のボス級の人間(つまり大使の次くらいの人ね)がいることに気がついた。かれに電話をしてみると


「よし、俺に任せておけ」


とのこと。


で、数日後、ビザの担当者から突然電話がかかってきた。


担当者:(やけに丁寧な口調で)「いや、これはオブライアン様(仮名)、この度は大変に失礼いたしました。我々の手違いでして。今すぐに手続きをさせていただきたいのですが、実はすでにお義母様のパスポートは返送させていただいておりまして」
彼:「今から持って行ってもいいけど、昼休みでしょ?」
担当者:「昼休み?滅相もない。今すぐに来てくださるならすぐに手続きの方いたしますので」



で、彼がビザセクションに行くと、昼休みで窓口が全部閉まっているのにごていねいにビザの担当者は待っており、その場でパスポートにスタンプを押したそうな。いつもつっけんどんな対応しかしないかかりからは考えられなかったそうな。


ここで質問。いったいアイルランドと日本のどっちがコネ社会なんでしょうね。


ちなみに、この大使級の人間がどんなことをしたかは全く分かりません。というのも彼いわく


「こういうふうに助けてもらった時は、根掘り葉掘り詮索しないでお礼だけ言うのがアイルランドの美徳なんだよ」


だそうです。ゆえに、真相は闇の中。


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2003年10月05日(日) ようやく引っ越し完了

そろそろ更新しないと読者様に見放されそうな気がします。というわけで更新です。


なんだかんだで引越しもほぼ落ち着いて、家もおおむね片付きました。…というか実を言うと押入れとガレージにモノを詰め込んだだけで本質的には何も解決していないのですが。


それにしても引越しってモノを動かすだけじゃないんですよね。電気からがストか電話などの移動もこれまた面倒でして。特に引越しをアイルランドでするとなると。


今回の引越しの手続きの中で最もプロフェッショナルな仕事をしたのがアメックス。電子メールのやり取りで住所変更などが実にスムースかつ迅速に完了。


それにひきかえ、もうどうしようもないアホぶりを発揮したのがガス会社。引越しの1週間前に電話したのですが…。電話をかけて自動音声により待たされること数分。


相手:(一気に捲し立てる)「ガス会社です。今忙しいので折り返し電話します。お客様番号と電話番号は?」
私:「123456で電話は654-3210です」
相手:「では一時間以内に電話します。ガチャ」



言うまでもなく電話はかかってこなかった。


翌日。


私:「顧客番号123456のSnigelだけど昨日電話をくれるって言って電話してこなかったけど」


この相手がいかにも新人ですという感じの兄ちゃんで、おろおろしまくった声で


相手:「ああ、Snigelさん、ええと、電話かかってこなかった…ですか。すいません。ええと、あの、1時間以内にスーパーバイザーに電話させます」


おいおいおいおいおい、これくらいでスーパーバイザーコールにしてたらコールセンターは勤まらないよ。


私:「ありがとう。名前は?」
相手:「フィリップです」



で、これまた言うまでもなく電話はかかってこなかった。


かくして2度も裏切られた私はガスは放置確定。で引っ越していい加減1週間も経ってそろそろやばいかなと思い、ガス会社に電話。


私:「引っ越したんだけど」
相手:「いつ引っ越すの?」
私:「もう引っ越したの。先週」
相手:「そういうのは事前に要ってくれないと困るなあ」



ぶちっ(言うまでもなく血管が切れた音)。


私:「ざけんな!ドアホ!お前、俺が何回電話したと思ってるんだ!」
相手:「折り返しにしていいですか」



数時間後、スーパーバイザーを名乗る人間がようやく電話してきて問題解決。たかが住所変更でここまでエネルギーを使わせるアホガス会社。疲れました。


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