*黎明ノォト*

2002年07月31日(水) 大切なこと。


いつもは冷房のかかりっぱなしの部屋にいる。
以前はそれでも歩き回っていたのだが、ここ数日はずっと座ったままだ。おかげでほんのわずかだった運動量もなくなって仕舞って、体力的に温存状態。
その所為か、どうにも体調が悪い。
体調……ではないか。
調子、と言った方がいい。
体調に限らない、私という個体の調子が、わずかづつ狂っているようだ。
もともと狂っていたところに拍車がかかった。

気分転換に、と外へ出た。夕刻、16時過ぎ。
この時間に目的もなく外へ出、歩くのは久し振りだった。
陽はかすかに朱に色づいて、夏至を過ぎて一月も経つのだと言うことをやっと思い出す。
目的はなかった。だから携帯電話だけジーンズに突っ込んだ。
ただ、気分転換をしたくて外へ出ただけだ。少し迷って近くの本屋へ行くことに決めた。のんびり歩いた。

この時間に外に出るのは久し振り――とは、先に言った通り。
冷房で凍えた肌に、ぬるい空気がまとわりつく。不快ではない。むしろ覚悟していたより涼しかったくらいだ。
出した肩に、じり、と陽が照る。それすら久し振り。

本屋では雑誌を眺めたり、新刊を見たりして時間を潰した。
時間を潰す気侭な目的で何かをしたのすら久し振りだ。
私は最近、どういう生活をしていたのだろう?
と、自問した。

ふらふらっと帰る道すがら。
何気なく、側の高いビルディングを見上げた。
高い、といっても10数階程度。そのほんの側を歩いていたから、空を真上に仰ぐような視線になった。
と。
これもまた久し振りだなあ……と思ったのだ。
見上げることが。久し振りだと。

空を見るのは好きだ、視線を上げるのも好きだ。
けれど、地面からそびえ建つ物を見上げる動作は久し振りだった。
ちょっとだけ、その感覚に感動した。

そしてちょっと思い出した、昨日のこと。
久し振りに高速エレベータの窓際に陣取った。
10階から、地上階へ。その距離をひとつのハコは一気にすべり落ちる。
全面の窓の外には大きな道路を挟んだむこうのビル。真下を走る車。そんなものが奇妙な速度で近づくのを眺めていた。
エレベータが高速で降りる時のほんのわずかな、お遊び程度の浮遊感。
その途端、何か判らないけど感動した。何ということもなく表情が歪んでしまった。


そもそも、日常ってやつはそんなに捨てたものでもない。
実は、何気ないなんでもない、そんな動作や気持ちやなにかが退屈な時間として織り成されているのが日常であって、けれどその何でもない何気ないものは驚く程に大切なものなのだ。
失いかけて気づく。
いや、―――思い出した、その事すら、失った証拠でもある。
だから私は今回、「久し振りだ」と気付いたことで、失った物を確認したことになるのだろう。

だから、思い出した筈の感覚に新鮮味を感じて、一瞬泣きそうになる。

・ ・ ・


私の中には、もうすでに抜け殻になってしまった感覚がいくつかある。

それは抜け殻として大切にとってある。もちろん、忘れてしまって抜け殻の痕跡すらない感覚、というのも沢山あったのだろう。それでもいくつかは、昔持っていた感覚が抜け殻として残っている。

私はそれが以前は本物の緊張と気分と思考を伴った感覚であったことを知っていて、ほんの時折、またその感覚を蘇らせられないかと抜け殻に耳を澄ますことがある。
けれど、その抜け殻は抜け殻としてそこにいるだけで、決して応えてくれない。
どうやら、蘇ることはないようだ。
私はその抜け殻を抱えて、どうしようかと思う。

そこで私がしたことは、その感覚を出来るだけ正確な(だと思われる)言葉でコーティングすることだった。

抜け殻は言葉で出来ている。
失われた感覚は、私だけに通じる言葉で、抜け殻として存在している。
その抜け殻すら、どんどん色褪せて風化していくけれど。

それはそれとして、大切な何かなのだ。



2002年07月29日(月) ちょこっと


 とってもよいことがありました。
 とてもうれしくて、うれしくて、
 テンションがあがってしまいました。

 とってもよいことがありました。
 けれど、うかれたあとには、
 みょうにげんじつてきなことをかんがえてしまって
 とってもよいことは、
 ちょこっとよいことになってしまったかもしれません。


 けれど、それは、ひつような、こと。



 生きる上では手放しに喜んでいいことばかりではなく、
 喜びの上に何かを被せるように考えていかなければならないこともあって
 それは出来事以前によくよく考えていなかった結果なのですから
 素直に喜んだあとで考えてしまうのは当然です。
 私はそれを悲しいとは思わない。
 残念だなとは思っても。

 それは、必要な、こと。



2002年07月23日(火) 消去!

昨日の黎明ノォトを消去しました。

ご覧になったかた。消去に、別に意味はないんです。
ご覧になっていないかたも、どうせ大した内容ではなかったので読めなかった事を悔しがる必要はありません(←別に悔しくないでしょうが/笑)。

ただ、今まで以上に本当に個人的な話だったので、あとで自分が恥ずかしいなあ、と思っただけなのです。
同じ内容でも、もっと別の書き方があるのに。
そして、私はずっとそれを大切にして書いて来たつもりだったのに。

昨日の黎明ノォトはそれをさらりと無視していたので、私がなんだか嫌だった……
それだけです(笑)。


と、いう無意味な報告のみ。



2002年07月21日(日) 夏のお手紙


 今日は更新日記です。

 前回の日記でテーマが「水」だったからという訳ではありませんが、暑中御見舞いを作成してみました。
 去年は「灯篭流し」だったのですが、今年はありがちな爽やか風に。
 けれど、結局水に足を浸しているという、去年と変わらぬ構図……。

 やれやれ、我ながらワンパターンです。

 けれど夏、といった時に今年はなんだか無意味に晴れやかなイメージがありました。どうしてでしょうね?
 去年は時期的に残暑お見舞いだったせいもあって、「お盆」に意識が向いていたのですが。



 さて、関係ない話題をひとつ。
 はた、と思ったのです。
 落書きに書く雲はいつもPSPのツールに入っているイラスト(?)を使っています。
 これって……これを使った落書きに対して著作権(?)を主張してもいいのだろうか……私が書いたんじゃないからなあ……。
 と思って。

 あわわ。調べないと(汗)。



2002年07月20日(土) みず・かわ


家の側に川が流れています。
川、なんて言っていいのかしら。
俗に言う「ドブ川」、かな。

私の棲んでいる地区では、生活排水は完全に下水道化されていて、
そのドブ川に流れていることはないのだろうけど、けれどどこから
か水は流れ続けて、絶えることはありません。
出どころのわからない水なんて、怖いですが。


最後には、西に位置する河へ合流していくドブ川なのですが。


水が澄むんです。
本当に、水が澄むんです。梅雨の晴れ間頃から。
「ドブ川」なので、ずうっと濁ってそうな印象を持つのですが、
澄むんです。
驚くほど透き通ります。



透き通るといろんなものが見えます。
膝くらいの深さ。
そこに山ほどコイが見えます。
朝の綺羅綺羅しい光の降る時間には、何匹もが群れて、泳いでいます。
ぱく、と空気を呑んではゆらゆらりと泳いでいます。
時折、水面を跳ねて、思いの他大きな水音をたてたりもします。

昼ごろには、水底から顔を出す岩だか、ゴミの山だかの上で、とっても
大きくなったミドリガメらしき子が甲羅を干しています。
ぴかっと光が水面に反射します。

これが夏の風景。




秋の満月の頃は、丁度真西に沈むのかしら。
月の入りの頃にふらふらとその川の側を歩いていたんです。
藍(あお)い水面に、ぽかりと月が浮かんでいました、くっきりと。

これが秋の風景。



なんとなく、水には無条件に惹かれます。
それにまつわる情景は深く記憶に刻まれれる。


水があればそれでいい。


……の、かも知れません。



2002年07月12日(金) たいむましん


タイムマシンが手に入ったら、
那音は過去と未来の
どっちに行く?


以前そう問われた時に自分がどちらと答え、それにどういう説明をしたかなんてまったく覚えていない。
けれどそういう問いがあったことだけは覚えている。

タイムマシンで過去と未来、どちらへ行こう。

点けたブラウン管の先では『スターウォーズ』がやっていて、ふと考えた。
……どうして人は、過去と未来を微妙に混ぜたがるのだろう。
回帰本能なのだろうか。
あの、およそ戦闘とはかけ離れた布の多い装い。
その癖、優美なフォルムまで持つ完成されたマシンたち。
その一見相反した時間軸。

タイムマシンで過去と未来、どちらへ行こう。

私は。
私のいない頃の過去へ行こう。
既に起きたことは決定事項。
未だ起きぬことは推定事項。

より、見る価値のあるものなんて過去にしかない。
―――…そんな気がした。



2002年07月05日(金) 集中


 ひとつのことに集中するのって、
 ものすごく素敵なこと。

 趣味を職業にすることの幸福って
 こういうことなのかしら、なんて思うことがある。

 けれど、職業にするからには
 その趣味の嫌なところも知らなければ話にならないから
 それをつらい、という人がいるのも頷ける。

 けれど。
 たったひとつのことに集中して、
 それにエネルギーを費やせるっていうことは
 とても素敵なこと。
 その集中したエネルギーはきっと
 とても効率良く燃やされて
 とてもいい結果が出るんではないかなあ……と。

 思う訳です。


 集中できない日々に
 苛々する毎日です。


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