ミルク色に沈む街。 ミルク色に煙る空。
窓辺に座って音を聞く。 硝子を開け放ち、寒さに身体を緊張させて。
口の中に残る煙の苦味。 手に残るけぶった香り。 たった今、飲み下した珈琲の甘さ。
そうして、音を聞く。
雪が音を立てない事に対する 幼稚で稚拙な当たり前の発見。
日差しが春めいて来ましたね。 陽が当るだけで温度が全く違って、ぽかぽかぽか。 先日は風も暖かく甘くて強くて、春の風のようでした。
沈丁花が咲き始めましたものね。 余所さまの家先で沈丁花に鼻を寄せる不審人物と化しています(笑)。
けれど体力不足。 気力不足。
早く春に合わせて気分を一新したいところ。
ふと電車に乗っていて(……車内って私の考察場処なんです・笑)思ったこと。
私って、ヒトをどう見ているのかしら。 ふとそう思いました。 ヒトをどういうものとして捉えているのか。
ヒトが好きって方がいます。 ヒトが綺麗だっていう方や、汚いって言う方もいます。 ヒトを理想化(?)してる方がいます。性善説を信じていているような方。
うーんと悩みました。 ヒト……ヒトって、奇形ですよね。 動物の中でもかなりの奇形。姿かたちが……って言うんじゃなくて、在り方が。 特別っていうよりもなんだか異質。 それがおかしいとか変だとか汚いとか、そういうことが言いたい訳ではなくて。 ただ、ぼんやりと……ああ、奇形だなあ、と。
ああ、けれどヒトは駄目だな、と思うことがあります。
こんなに無防備でいいのかしら。 生物学的にかなり劣った生物だわ。なんて思うんです。ふと。 こんなに足が遅くて、こんなに運動神経がなくて目も効かなくて。その上こんなに歩きにくい靴をはいて、こんなに走りにくい服装をして。 こんなときに天敵に見つかったらどうするのかしら。
………なーんて、有り得ないことを考えるんです(笑)。
そんなことばっかり考えて、結局結論は出ていなかったりします。
……と、自分に。 何か環境が変わるたびに憂鬱になってしまう小心者へ。
環境が変わるのは楽しみです。 けれどそれと同時に憂鬱。
けれど、 頑張りましょうね。 うん。
まずは目の前の塀を乗り越えてから。
……またも、安全そうな道を選んで仕舞いました。
勾配が緩やかで、より平坦で、けれど結局高みに辿りつくにはより長い長い道のり。
「保険人生を歩んでるからね」 そう言った友人がいます。
なんて的確な表現でしょう。
安全そうな、保険のかかったような道を選んで選んで。
より楽そうなものを探して。
遠くに障害物がちらりと見えたらその高さを確認もせず、すぐさま方向を修正し、修正を重ねその障害にぶつからないようにして。
そうして結局どこへ行きつくのやら。
人生の岐路が再び目の前にどーーーーん、と横たわっています。
さあ、どうなることやら。
「……あなた、一体何をやっているの」 濡れた髪を乱暴にタオルで拭きながら姉が呆れたように言った。 私は少しだけ肩をすくめて姉をちらりと見上げるだけで何も言わない。 目の前には湯気をたてる真っ白いマグカップ。 その中には甘い匂いを放つブラックコーヒー。
そして、私の手には大まかに砕かれたプレート・チョコが。
「―――別に、」 「そお?」 姉は苦笑してタオルを首にするりと落とすと、私が淹れておいたコーヒーを火にかけ、キッチンに立つ。 姉は熱さにこだわる。私が十分熱いと思う温度では納得してくれない。 「食べるならちゃんと食べちゃいなさい」 「……いいの。こうやってなかったことにするんだから」 姉に聞こえる筈もない、小さな声で私は呟いた。 頬杖をつきながら、指でつまんだチョコをコーヒーにほんのちょっぴり浸す。 とろり、とコーヒーの表面にチョコが融けだす。 私は手にしたチョコをゆっくり溶かして仕舞うと、そのコーヒーをゆっくりと飲み下した。
姉はくすっと笑うとポットを火から下ろし、空のマグカップを持って近づいて来た。 「じゃあ、早く融けるようにね?」 笑みを含んだ優しい口調で姉は上から私のカップに熱い熱いコーヒーを注いだ。 こぽこぽ、という音が静かに響いて、私は何となく笑ってしまった。
そう、早くチョコを溶かしてしまおう。
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ちょっとしたバレンタイン・ストーリーを。 あまり幸せっぽくはありませんが(笑)
あら、と思いました。 お風呂上りに、どうも喉に違和感を覚える。 そう言えば唇のコンディションもよくありません。 昼間は寒かったですし(これは純粋に気温かも……)。 昨日は髪を乾かさずに寝て仕舞いました。
あら、これは風邪かしら。
そう思って、お風呂の熱がある程度冷めてから電子体温計で熱を測ってみました。 すると、
「33.4℃」
…………………… 。 もしかして、私って恒温動物じゃなかったんですか!?
・珈琲・ 何気なく珈琲を飲んでいたら 「…ほんとに美味しそうに飲むなあ」 と言われた。 少し嬉しかった。
・うた・ 世の中には自分がある立場に立って初めて 理解できる言葉があると思った。
・覚悟・ 私の覚悟なんて口だけでやっぱり甘かった。
・はっ、と・ 体重が減っていることを発見し 思わず首を捻って気がついた。 ……長期休みになると体重が減る。 それはただ単に朝が遅くて 一食抜くことが多くなるからだ。 がっかり。
……そんな、あれこれ。
人生において、あの瞬間にあれを言っておけば良かった……!!!!!!
と、今でも思う思い出があります。 中三でした。
あそこであれを言っておけば、きっともっと性格が悪くなっていたと思うけれど、でもそれを言う事は絶対に、間違いではなかった。 むっとして、釈然としないながらも……結局は唯々諾々と従ってしまった自分にも、そしてその場にいた全員にも腹が立つ。
古い思い出を唐突に連想ゲーム式に引っ張り出して来ては、 ひとりでいらいらしたりする癖は。
―――なんとかしたいものですね。
MDプレイヤーに繋いだイヤホンからの音に耳を傾けつつ電車に揺られていて、ふっとあたりを見渡して始めて気付きました。
京都と大阪って違う……!!!!
普段、私は自分の棲息地から大阪(厳密に言うと天王寺・笑)へ向けて移動します。ですから、生活圏はどちらかというと大阪。 服装・行動がそちらに適応して発達しているようです。 全然自覚はなかったのですが。 そして、今日はほんとうに何気なくふらふらっと京都(厳密に言うと京都駅・笑)へ向かっていたのです。その電車のなかでしみじみと思いました。「ああ、やぱり大阪と京都って違うんだ…」と。
ほんの些細な違いで、だからどうって言うのではないのですが、今までそんなことを感じた事もなかったのでとても驚きました。いえ、面白かったのでしょう。
まず最初に思ったのが、京都沿線でのイヤホン率の低さ。 週末の昼間の話ではありますが、ひとりで乗っている若い子でもイヤホン・ヘッドホンをつけている人が少ない。 そしてやっぱり、なにげなーく服装の様子も違うな、と思いました。 私がそんなことを自覚するようになるとは思いませんでしたよ……。
微妙に土地柄ってあるんですね。 初自覚。
ちょっとした話。そしてちょっとマニアック(笑)。
バンドエイドっていいと思いませんか? 男の子が指にバンドエイドを巻いてるのって、結構そそる(…語彙不足・汗)と思うのです。色っぽい、とまでは言いませんが、ちょっとどきっとします。
こんなことを考えつつぼーっと電車に乗っている私……危険度が上がっています。
こんな事を考えたのも、先日バンドエイドを指に巻いた男の子を電車で見て「はっ」としたからなのです。 あ、注意しておきますと、ここでの「男の子」は私服を着た高校生・大学生くらいの年齢の子を差します(笑) その子は紺色のピーコートを着ていて、フレッシャーズっぽい黒い鞄を手にしていました。その鞄を持った左手の親指の付け根に、バンドエイドが貼ってあったんです。 どうしたのかな、と気になるとともになんだかいいなあ、と思った訳です。 そう思いながらふと正面に目をやると、そこに座って厚いハードカバーの本を読んでいるストリート系の男の子が目に入りました。
……丁度、その子も本の頁を繰る左手の中指にバンドエイドをくるりと巻いていたんですよね……。
タイミングの良さとともに、指にバンドエイドってなんだかソソる、と思った訳です。 しかも、本を読んでた男の子。 絶対本なんか読まずに遊び歩いている感じの外見(偏見)だったのにもかかわらず、一心に読んでいたのは『ハリーポッターと賢者の石』。 ……ごめんなさい、それに気づいた時ものすごく可愛い、と思って仕舞いました(笑)。
やっぱり重症です、私。 知らないヒトのことを外からとやかく言うのが好きなんですよね。 年々危険度が上がってる……。 マニアックで済みません(汗)。
鉛筆が好きです。 シャープペンシルでも可。 あの銀色の線がね、とっても好きなんです。蛍光灯にはね返ってまるで白く見えたり。簡単に消しゴムで消えるし、それに一番馴染み深い筆記具ですもの。
だから、スケッチってとても好きなんです。 以前言ったような気もしますが。 スケッチ。 お気に入りの物をよくスケッチしています。大抵は私のプライベートな日記に。 昔使っていた財布や、新しく買ったお気に入りの財布や、捨てる予定の好きな筆箱や、指輪や、ピアスや、そんな他愛もないもの。 そんなものを気の向いた時にスケッチするのが好きです。 説明書きも入れたりしながらスケッチします。 描く角度を考えたりして、さらさらと、消しゴムを多量に使いながら描きます。 私のスケッチ、または落書きは消しゴムかす大量生産に他なりません。 机の上が消しごむだらけなら、私が何か描いていた証拠。
スケッチ。 時折それを見ると、「ああ、これはこんなに気に入ってたんだなあ」と改めて思います。 そんな所持品の数々。
はっと気付きます。 私がしたいと思っている事と、私が興味を持っていない事が一致しているのです。 それを選んでやればとっても面白そうだな、と思うのです。けれど、よくよく考えて見ればその扱うテーマは、私が好きで興味を持っている事ではありませんでした。けれど、その方法は好きなのです。だからやりたいと思っていました。いえ、今もそれを選んでやろうと思っています。 テーマはそんなに興味がなかった事だけれど、それでもその方法をやることができるならいいかなって思っているのですが。
……さあ、どうなることやら、どうしたらいいのやら。 抽象論ですみません。
今、リアルタイムでTVで「ジャンヌ・ダルク」がやっています。 この映画の怖さ、とっても好きなんです。 怖いと思います。 ものすごく怖い。 取捨選択の怖さ。
「おまえはあり得る可能性の中から、これを選んだ」
本人にとっての事実。 客観的な真実。
……怖い。 この映画のジャンヌは人間です。聖女ではない。 それがとても好き。怖くて好き。
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