| 2001年11月16日(金) |
『堂本兄弟』について(新聞掲載より) |
●挑戦続ける制作者ら●
「堂本兄弟」は不思議な番組だ。一流のミュージシャンを集めた 迫力あるライブはこだわりを感じさせる一方、「音楽に全然関係ない人」も次々ゲ スト出演する。内容はトーク中心、だけど高音質。自称「最新音楽バラエティー番 組」の「堂本兄弟」の舞台裏をのぞいてみた。
▽ライブハウス 収録は東京・世田谷のスタジオで。音合わせ真っ最中のスタジオに一歩入ると、ラ イブハウスさながらの光景が広がっていた。 大出力のアンプやスピーカーの前でサウンドチェックをしていたのは、レギュラー メンバーの元JUDYANDMARYの恩田快人(番組中では「おんちゃん」)ら。約1時間 後、KinKiKidsの二人が加わってさらに小一時間、新曲「愛のかたまり」のアクセ ントの付け方などを練習し、やっと本番へ。シャ乱Qのまこと(「まこちゃん」) の打ち出すドラムのリズムとともに、メンバーが次々と入場し本番スタート。スタ ジオ内も盛り上がってきたところでKinKiの二人が入場。だが「堂本兄弟のテー マ」「愛の〜」と二曲続けて歌っただけで、セッションはあっけなくおわり。ライ ブハウス風のセットをトーク用に作り直したところで、その日のゲスト飯島直子が 登場。その後は飯島とKinKiを中心にしたトークが二時間近く続き、収録は終了し た。
▽生演奏にこだわり 「堂本兄弟」は、昨年度まで同局系列で放送されていた人気番組「LOVELOVEあいし てる」の後継番組だ。位置づけは「最新音楽バラエティー」。「最新」は「ミュー ジシャン自身がトークをすることが新しいから」なのだそう。「LOVE〜」終了後、 KinKiの二人をメーンにした新な音楽番組を始めることに。「LOVE〜」も手掛けて いたきくち伸プロデューサーは「その基本路線を『生演奏にこだわる』ことに決め た」と説明する。「KinKiの二人が『同世代のバンドを組みたい』と言ったので、 実力派のスタジオミュージシャンが多かった『LOVE〜』とはがらっと変えて、今度 は『軽音楽バンド』をコンセプトに、バンド系のミュージシャンにこだわった」
▽トーク増やす 「堂本兄弟」も始まった当初は、ゲストに小室哲哉、aiko、持田香織…とミュージ シャンが続き、ゲストに贈る歌を即興で作るコーナーもあるなど、「音楽に関する トーク番組」だった。だが番組の回を重ねるに従い音楽の部分は減り、現在は完全 にトークが中心。時間もお金もかけているライブ部分の放送はごくわずかだ。きく ちプロデューサーは「トークが少なく音楽ばかりだと試聴率は取れない。『夜の ヒットスタジオ』のころからテレビ業界ではよく言われていることです が」と打ち明ける。「『堂本兄弟』をもっと音楽的に濃い番組にしていきたい。ロ ケやライブも増やしたい。ここからが知恵のだしどころ」
そう言えば、歌中心の音楽番組が近年、めっきり減った。だがミュージシャンを自 分の目で見ることは音楽好きにとってあこがれだったはず。「堂本兄弟」の試行錯 誤はきょうも続く―。
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