カウントシープ
indexpastwill


2006年03月13日(月) 物の仕組み




お正月にアップルパイを作って以来、パイを作ってはいない。

けれどパイの作り方の基礎がなんとなく解ってから、パイ系の食べ物を食べるときになんとなく作り方を想像してみたりする。これはこうやって重ねているんだな、とか・・・考えるようになってみると、逆に今まで特に考えずに食べてきたということがわかって、こうやってよく解らないまま受け入れているものがこの世には沢山あるのだなと思う。

随分昔、椎名誠が仲間達とともに語った「発作的座談会」(とても面白い)という本の中で、日常の様々なものについて話し合うという企画があったが、電話とは?FAXとは?という話になって、みんな解らないのだけれど、ボクだって解らない。

どうして紙に書いたものが電話線を伝わっていくのか?とか
考えるとちっとも知らないままにいろいろ利用しているのだ。

発作的座談会の中でも、最初はFAXはよく解らないが、電話ならわかる!とか豪語していて結局みんな解らなくて、その会話がおかしかった。これを読んでいた頃の自分はまだ大学生で、本をむさぼるように読んでいた頃だったけれど、本が教えてくれるのはどちらかと言うと心の仕組みの表層だった。

村上春樹の「約束された場所で」という本は、オウム真理教に傾倒していた人々への、教祖逮捕後のインタビューを綴ったものだが(これもまた一読の価値がある)、オウム心理教の(手が滑って王、無と変換したよ)施設に集まった人たちはみんななんでも手作りで作っていく。パンを作るために麦を巻き、空調を整えるためにエアコンのシステムを作る。

オウムに入るとまず何をしてきたか何ができるかを聞かれ、それにしたがって配属されて、集団で生活を送っていくのだ。この段階ではみなそこを楽園だと感じ、その根底には、自分の存在価値をいともたやすく手に入れられたことがあるだろう。

と、脱線してきたけれど、こうして何でも自分達で作れるものなんだと驚いたが、同じ人間が作ってきたものだから、見よう見まねで何とかなるものも案外あるのかもしれない。


ロビン