カウントシープ
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2006年03月10日(金) 懐かしい断片

子供達は皆、大人には解らないような、非現実的な話をする。

しかし、それは子供の世界の現実なのであって、むしろ子供達の話す世界ほど、真実に近いものはない。
ただ、それを解釈する力を、大人たちのほうが忘れてしまったにすぎないのだ。

いったい、どの大人もみんな、かつては子供であったのに、そうしてみんな忘れてしまって、今はもう断片的に記憶が残っているだけになってしまった。

どうしても手放せなかった本やタオル、怖くて仕方なかった絵や音、そういったものをどうしてそう感じたのか、我々は普段は思い出すことができない。

ここで考えているのは、どうしてそうしたものを忘れていくか、ということだ。
忘れるというプロセスもまた必然だとするならば、記憶は忘れるべくして忘れていく。むしろ、忘れなければ先に進めないのではと思うくらい、皆忘れていく。

ボクは、ここでは、意識的に捨てるのではなく、もう必要がなくなったのだと推測している。今までの世界に必要であり、やがてなくてもやりくりできるようになっていくとき、人はそれを忘れて新しい物事に向かっていくのではないか。そうして向かっていく先に様々なものが待ち受けているため、忙しい子供達はもう過去の遺物をそこにおいてきてしまい、

大人になったボクたちの心に、不思議な感覚を呼び起こす断片となって、語りかけてくるのだ。


ロビン