「生きていくのに大切なこと」こころの日記
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2005年09月10日(土) 声・心・声

 仕事。今日は施設の女性利用者さんと病院受診に行きました。行き先は精神科。女性は数十年前に「統合失調症(精神分裂病)」の病名を持たされて、今日まで「幻聴」があるとしてお薬を服用されているのです。病院へ到着すると、女性は私よりも先に歩かれて通いなれた院内を案内して下さいました。大きな建物の一番奥に作られた「精神科外来」のスペースは、現在の私にとっても特別な場所として映りました。奥の扉から順番に診察医師の名前のカードがさげられ、掲示板コーナーには「うつ」や「幻覚幻聴」に関するセミナーの案内が貼られ、廊下に並んだ椅子は診察待ちの患者さんが座っていました。
 「過去にはこの場所に自分も居た」。そう思うと何か不思議な気持ちになりました。苦しかったあの頃を思い浮かべても「苦しいとは感じていない自分」。そして今日の私は「現実の光景」を輪の外から眺めているような感覚さえしています。今はもう、苦しい固定観念の社会とは違うところで生きている私。これからもきっと「心を持って生きる自分を意識して、社会にあるものとは違うもので、自分を伝えていく」のだと思えました。
 一時間以上の待ち時間の中、女性はご自身の声のことを語ってくださいました。私は「あなたは聞こえてくる声さんとお話をされるのですか?」とお尋ねすると、女性は「ううん。私は知らん振りしてる。でもよく聞こえてくるよ」と答えて下さいました。私が「そうですか…。それもいいですね」と言うと、女性は「いいの?へぇー」と仰いました。私がもう一度「いいと思いますよ」とお伝えすると、女性は「喧嘩はしないけれど知らん振り。そう仲良くもなれんけど、いいの?」と仰いました。話の最後、女性は「声は男。太いよ」と言われ、私の中に何か大きな衝動が走りました。小さい体で背中を丸めて歩く女性の耳に聞こえる男性の声。私の回りの、こんなに近くに、私と同じ経験をしている人が居る。これが今の社会のあり方ではないか。そう思わずには居られませんでした。
帰り際「彼氏と仲良くするね!」と仰った女性。初めてお手伝いさせていただいた私の、半ばぶしつけな質問に躊躇せずに答えてくださった事を心から嬉しいと思いました。私は自分を大切にして、さらに自分にあるものを大切にして、いつも自分として生きていこうと強く思った出来事でした。


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