「生きていくのに大切なこと」こころの日記
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2005年06月28日(火) 触れ合い

 午前中、2ヶ月前の4月12日の診察に来られた「知的障害施設に入所されている女性が再診に来られました。今日の彼女の状態は以前よりも悪化していて「特別な処置」が必要でした。女性は処置の間は静かにしていましたが、診察を終えた後から前回と同じように叫び始め床に寝転んでしまいました。私には、女性はいつもとは違う出来事に戸惑ったように見えました。付き添われていた男性はご自身の力で女性を起こしあげようとしましたが、女性は少しも動こうとはしませんでした。そして治りかけた傷口に爪を立てて傷口を引っ掻き始めました。私は女性の傍に居たくなったので、彼女と一緒に床に座らせてもらいました。女性の傷だらけの手は遠めに見るよりも柔らかくて5本の指はすらりと細長く伸びていました。私は傷が治ったら女性の手は美しくあるだろうと思いました。女性は時々独り言を話し、私は彼女の言葉に答えていました。
 何度目の言葉だったでしょうか。女性は、大きな声で「びっくり!」と言いました。私は、これまでの関わりの中では限られた単語を単調に繰り返すのみであった彼女から、初めて聞いた新しい言葉に驚きました。そしてすぐに「そうだよね。びっくりしたんだよね」と答えました。女性は途中で私の胸元に顔を擦り付けてきました。私は何だか心がくすぐったい気がしました。そして、女性自身の心に、ほんの少し触れさせていただいた気がしました。女性はしばらくすると落ち着きを取り戻しました。そしていつもと同じように診察室を後にしました。この僅かな時間も私には貴重な時間でした。


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