題名のないお話 - 2004年02月12日(木) あなたはこのガソリンスタンドでガソリンを入れ、そのままUターンをして帰った。 数日後、私たちは別れた。 そこは山間にあるゆっくりと左に曲がっている道で、 道の左側に小さなガソリンスタンドがポツンと建っていた。 あなたはスタンドの手前で急にスピードを落とし、やけに丁寧にハンドルを左に切っていく。 ガソリンを入れている最中あなたは焦点の合わない目線を、 漠然と前の方向へ向けているだけだった。 私は、ロングドライブになるだろうと考え、今晩の食事のことや夜のことを考えた。 しかし、その考えはあっという間に無意味なものになる。 元の道に戻るかと思いきや、ハンドルは右に回転していき、来た道をそのまま戻ることになった。 私は何度もあなたの顔も見たけど、こっちを気にする気配は一度もなく、 私の家の前に着くと、「またね」と搾り出すように言っただけだった。 結局、あのガソリンスタンドはなんだったのだろうかと考えた。 きっと答えは簡単なのだ。 あのスタンドは、私にとっては通過点だったんだけど、 あなたにとっては終点だったんだ。 あなたにとって、なぜあのスタンドが終点だったんだろう。 それを考えると夜も眠れない。 しばらくすると、私も車の免許をとり、あなたのことも思い出さなくなった。 でも、そのときは突然訪れる。 ドライブをしていると、たまたまあなたが立ち寄ったスタンドの横を通り過ぎていく。 私にとってこの先は未知の道だ。 一体何があるんだろうか。 いや、もしかしたらないのかもしれない。 そう思ったときに、なんとなくわかった。 わかってしまったの。 助手席の私は道はまだ続いているんだと思っていたんだけど、 運転席のあなたにはきっと道の先が見えたんだと思う。 あなたは私より、ほんの少し先が見えていた。 だから・・・ そのスタンドを越え、緩やかなカーブを抜けると、遠くまで続く真っ直ぐな道にでた。 その道はそのまま地の果てまで行ってしまいそうに感じるほど、完璧に真っ直ぐだった。 彼には本当にこの道が見えていなかったんだろうか? 単にこの道に出る勇気がなかっただけなのかもしれない。 でも、なぜ? 一瞬のうちに、虚しさや喪失感、憎悪や嫌悪感が次々に浮かんでは消えていった。 そして、少し笑った。 何もかも吹き飛ばしたい気分になって、少しアクセルを踏み込んだ。 BGM:over drive/JUDY AND MARY ...
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