日記のような語りのような。

2004年04月06日(火) 窓辺の君と4 <セイ&?>

僕らがここにいるのに、きっと意味なんてものはない。
だって全ては僕ら以外の誰かに定められたことで、僕らは飼われている以上それに従うしかないのだ。
あたたかい部屋とたっぷりのミルクを失いたくないのなら。
だからこそ。

「結局は、そういったことは自分で決めるべきことだと思う」
「……」

どういうことだ、と目で訴えかけられているような気がした。
気になるなら聞けばいいのに、と思ったけれど、なんだかそんなところも彼らしいなどと思ってしまっていた。

「だから、それを決めるんだよ」

ラウの横をすり抜けて、僕はベランダの端へと向かった。
外に近付くほどによく見える風景。
いつ見ても変わらない、けれど、いつも全く違うもの。

「僕は、僕でいられるのならどこだっていい。今の生活は今までのものと比べれば多少質は落ちるけれど、退屈しない分だけ面白いと思う。だから僕はここにいるし、僕の家はここなんだ」

君はどう?
言外にそんな想いを漂わせながら、僕は外を見ていた。
眼下を、見慣れない黒い車が駆け抜けていく。
見たことのない滑らかな車体。
こういう車は見たことがある。確かものすごく高いのだとか。
かり、とコンクリートの床を引っかくような音がした。
振り返ってみると、ラウがこちらに背を向けたところで。

「……ラウ?」

一度立ち止まったけれど、彼はもう振り返ることはなかった。
やけにあっさりとしたラストシーンに、僕は呆気にとられてしまったけれど、彼の姿が隣の家のベランダに消える前にはっと我に返った。

「――またね」

云い終わったとき、ちょうどラウの尻尾が向こう側にするりと消えた。


予感がする。
これから、きっと今よりもう少しだけ興味深く面白い日々がやってくる。
そんな、確信にも似たほのかな予感。


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紗月 [MAIL]