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| 2006年04月28日(金) 振り返る |
| ひとりで廊下を歩き、でも振り返ってみたくなってふと振り返ると、灰色のスチールドアが、非常口を示す緑のランプにひっそりと照らされていた。 これほど廊下が真っ暗だったのかと、今になって思い知らされ、私はぜったいにこれからあのドアを開くことはないだろうと思う。 もうあのドアを開いて中に入ることなど、ない。 最後に花束をもらって、少しみんなの前で話し拍手をされた。 そしてみんな思い思いに、また仕事に戻っていく。 私もパソコンを片付け、デスクの中を最後に片付けて、昨日までと同じように「お先に」と声をかけると、みんなが「お疲れ様でした」と声をかけた。 私が外へ出るドアへ向き直ったとき、誰かが大きな声で「お疲れ様でした」と言った。その声に振り返ってみると、ひとつ下の後輩の男の子と目が合った。 彼とは同じフロアで働いていても、一緒に仕事をすることもなかった。あまり話をする機会もなく喫煙室でもそれほど顔を合わせることもなかった。「これからも頑張って下さい」と彼は言ってくれた。 一緒に仕事をすることがなくても、顔見知りの程度でも、彼の真っ直ぐな目に私は「はい」と答えた。 あまり、みんなに見送られることが好きじゃないので、私はそそくさとフロアを出た。 廊下に出て振り返ると、緑色のランプがドアをひっそりと照らしていた。 あの向こう側では、電話がたくさん鳴りたくさんの人間が働いている。 ここから見ると、それが嘘のように思える。 |
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