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2006年01月20日(金)  ゲロおじさん現る
さっきから、隣に座っているおじさんは、「ウーン」とか「アーン」とか喘いでいる、というか唸っている。酔っ払ってヘンな夢でも見てるのかしら? と、さほど気にせず電車の中で本を読む。

そんな状態が数分続いた後、突然おじさんは何かに取り付かれたように、上半身をくねくねさせて痙攣を1回したら、おえっとゲロした。
結構、たくさん人が乗っていて立ってる人も多かったので、おじさんの前に立っていた人は、咄嗟に腰をひいてゲロを避けていた。おじさんの向こう側に座っていた女の人は、さっと席をたっておじさんを睨んでいたし、おじさんの斜め前に立っていた人は貰いゲロしそうな顔をしていた。
みんなおじさんをじろじろ見るか避けるかな状態だったとき、私はつとめて冷静にいなくてはならないと、本を持った手の震えを止めるのを頑張った。
とにかく今日は、鼻がつまっているのでラッキーだったと思う。
確実に、鼻がつまっていなかったら私は貰いゲロをしてしまったと思う。

おじさんは、なんかもう、1ラウンドでへばったボクサーみたいに、前かがみで顔をふせて、ぜーぜー喘いでいた。洋服と床にちょっとゲロが落ちていて、これはどうしたものだろうと、あと5分で電車が池袋につくというその時間が、50分くらいの時間に感じた。

ああそうだ。今日、定期を買ったときJRのお姉さんがポケットティッシュをくれたのを思い出して、かばんの中を探してみた。

だってさ、きっとこのおじさんも家に帰ったら娘もいるかもしんないじゃん。奥さんもいるかもしんないじゃん。まあ、風体からして家庭に居場所のある中年にはまったくもって見えなかったけど、もしくは、とうの昔に妻も娘も出て行きました、というようなおじさんに見えたけど(偏見)、百歩譲って家に帰ったら娘とか奥さんとかいるかもしれないじゃん。
もし、私の父が電車の中で気分が悪くなってゲロはいたら、かなり悲しいんだけど。情けないというか、「お父さんのことじろじろ見ないで!」と思うもん。だったら、早くその口周りについたゲロくらいはふいたほうがいいよねと思った。

ので、ポケットティッシュを探したけど見当たらず、無情にも電車は池袋に到着し、おじさんのお向かいに立っていた3人と、私を含めた両隣の人は電車をおりていった。ちらっとおじさんの座っていたシートを見たら、ゲロが残っていて、あそこは誰も座れない有様になっていた。

しかしゲロおじさんは、その洋服についたゲロが人ごみの中で誰かの背中につかないように気を使う素振りも見せず、人をグイグイ押して、さっさと改札をくぐっていったので、「なんだよ、ヤなおじさんだなー。ティッシュあげなくて良かったよ」と思った。
擦れたおじさんだった。
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