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| 2005年12月11日(日) ホームラン |
| 恋人が職場の人たちと草野球の試合をするというので、応援しに行った。 朝早くから恋人は出かけ、私がグラウンドに着いたときはもう試合が始まっていた。 みんな、思い思いのジャージやトレーナーを着て好きな色の帽子をかぶってグラウンドを走り回っている。 恋人はきっと野球が上手ではない。 空振りしてばっかりだったし、白い球を不恰好に追いかけてばっかりだったけど、恋人とその友だちがとても楽しそうに声をあげているのを遠くから聞いていると、なんだか優しい気持ちになる。 草もまばらな土手に腰掛け、ダウンジャケットを握り締めて、とても寒かったけど、そんな男の子たちの姿を見ていると、こちらも知らない間に笑顔になってくる。 「コーヒー飲みませんか」と女の人に声をかけられて、私はフェンスの近くで応援していた人たちの輪に加わった。フェンスに近寄ってきた恋人が「次はぜったいに打つから」と言った。 スコアは、ずっと0が続いていて、なかなか勝負がつきそうにない。 熱いコーヒーを飲んだら、吐き出した息が真っ白だった。 1球目も2球目も恋人はボールを見送る。 3球目でバットを振ったら空を切った。 外野からもベンチからも野次やら声援やらが飛ぶ。 恋人は、少し薄い笑みを浮かべて黒い帽子をかぶり直した。 何球目かのボールに向かって、恋人は勢いよくバットを振る。 私の口からは白い息が漏れる。 ボールは大きく空を横切って、スタンドもないどこまでも広いグラウンドの向こうに飛んでいって、外野を守っていた人たちが一斉にそれを追いかけていった。 恋人は全速力で、ベースを回る。 2塁をまわって3塁を踏んでも、まだ外野はボールを捕まえていない。 余裕で恋人はホームベースを踏めるはずなのに、得意げにベースに滑り込んでシャツを土だらけにした。 帰りの車の中、ハンドルを握る恋人の腕まで土がついているのを見つけて私はそっと笑った。 毎日マラソンしてるおかげでランニングホームランだったね、と言ったら、まあねと満面の笑みで彼は答えた。 |
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