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| 2005年08月15日(月) 雷 |
| 恋人は、お盆のため帰省中(都内)。 なんにもすることないのに会社に行って、ほとんどの人たちがお盆休みのため、今日は電話番。お客さんもほとんどがお休みなので、何にもアポイントがない。だけど、世が盆休みだろうが私は働く。皆が遊んでいるときに私は働き、皆が働いているときに私は休む。 定時でパソコンを閉じて、デスクの鍵を閉めて、私はJRと地下鉄を乗り継いである家に到着した。どっしりと重くてジメジメした空気が流れているけれど、家の中は涼しくて、テーブルの上には色とりどりの料理が並んでいる。 私も手を洗って、ビールを並べたりお皿をそろえたりと手伝った。 明日はお盆だから、みんな遊びにいらっしゃい。ご馳走つくるから。 そう言って、異母兄のおばあさんが私たちを家に招いた。 私の兄と、兄の弟、彼らの祖母が私も一緒に招いてくれた。 無論、私の祖母ではない。けれど、「だって、あいちゃんも田舎に帰らずに東京にいるなら、一緒にご飯食べなさいな」と言った。 兄がビールを持ってきて、弟がアイスクリームを買ってきた。私も何か買って来ればよかったと、自分の気遣いのなさに、少し落ち込んだ。 私たちは、いろんな話しをしながら、笑いながらご馳走を食べた。 なんだかまるで、本当のおばあちゃんの家に久々に孫たちが集まったような錯覚がした。そう言えば、自分の祖父や祖母の家では、私がまだ小さな頃はこんな風に孫たちが集まって賑やかにしていたことを懐かしく思い出した。私の祖父母には孫が10人もいる。 このおばあさんの家では、兄と弟と、孫は二人しかいないけど、今日みたいに賑やかだったことがあったのだろうかと想像した。 外は雷が鳴っている。 随分と近くに迫っているようだ。 いつまでも雷はなるけれど、私たちはあまり気にせず料理を食べつくし、ビールをたくさん飲んだ。何が楽しいのかわからないけれど、賑やかにすることが、誰にとっても良いことのような気がした。賑やかであることが、今、なくてはならないもののような気がした。 『血と骨』という本を思い出した。 血の繋がりはどれだけ否定しようとも、決して断つことは出来ないのだということ。 それをふと思い出した。 ここにいる私たちは、それぞれの半分ずつの血によって繋がっており、その繋がりを誰かが否定したとしても決して消えうせるものではない。 どれだけ憎んだとしても、憎みきれるものではないのかもしれない。 兄が、「ビールがなくなった」と言って、「そこまで行って買ってきてよ」と財布を出しながら、弟に言う。「雷が鳴ってるからヤダよ」と弟は言う。 「私も一緒に行ってあげる」と私は言った。兄のお財布には5千円札と一万円札しか入っておらず、「全部使うなよ、お釣り返せよ」と言って5千円をくれた。 私と弟は、大きな粒の雨が降る中を、傘を差して外に出た。 空が一瞬明るく光って、数秒後にすぐ近くで雷が鳴った。 私たちは、おそるおそる道を歩き、ゴロゴロいう音にあわせて足を止めて身をすくめた。 私の前を小走りに走る彼の傘に、雷が落ちてきやしないかと、自分の傘に雷が落ちてきやしないかと、じっと空を見つめながら、私たちは小走りでコンビニに向かった。 兄のビールを買って、弟はお菓子を買って、私は花火を買って、もう一度外に出た。 空がまた光り、近くに落ちたのではないかと思うほど、大きな雷の音がした。 私たちはまた走って、家へと急いだ。 走ったときに、私の指先から硬貨がこぼれ、道のいろんなところにお金が転がった。 弟が引き返してきて、地面から跳ね返ってくる雨に濡れながら、ひとつずつ拾った。 弟のジーンズのすそが真っ黒に濡れている。 雷の中、私たちは花火をした。 無意識にへそを押さえながら、花火を離さない弟を見て、私と兄は大笑いしながらビールを飲んで花火をした。 空が光る一瞬、稲妻が見えた。 おばあさんは、後ろのソファーに腰掛けて私たちの花火を嬉しそうに見ていた。 今年はそんなお盆だった。 |
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