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2005年02月03日(木)  show or lose
もうすぐ一年になる。

恋人と恋人になって、もうすぐ一年になる。振り返るなんて可笑しいけれど、とてもそれは短かった気がする。

知り合ってすぐ、彼が海外出張に行ってしまうことがあった。
それはたったの2週間だったけれど、私にはひどく長い2週間だった。この一年よりも長い長い2週間だった。私がただの甘えん坊だったからかもしれない。私が彼に依存したかったからかもしれない。もしかしたら、私たちがまだまだ綱渡りをするように相手のことを窺っていたからかもしれない、いろんな気持ちが凝縮された、長い長い2週間だった。
彼は、毎日電話をすると言った。
私は曖昧な返事をして、彼を見送った。
私は人を待つことが嫌いだ。
待っていてくれといわれることが嫌いで、好きな人がそばにいないことが嫌いだ。
毎日会ったり、毎日話しをするわけではないし、彼の存在が毎日必要だったわけではないのに、物理的な距離を感じさせられることがとても苦痛だ。それを思い知らされることが嫌いなのだ。
決まった時間に彼は電話をかけてきた。
そんな彼のことをとても純粋で素直で可愛いらしい人に思えた。
だけれども、それとは裏腹に、そんな彼に同情した自分もいた。

私を好きになってしまって、なんてかわいそうな人だろう。
私に好かれてしまって、なんてかわいそうな人だろう。

そして、今から始まるであろうその恋愛に、嘲笑する自分もいたのだ。
また始まるのだなぁ、いつか終わるものがまた始まる。
なぜ、自分は性懲りもなく恋愛をするのだろう。
なぜ、自分は性懲りもなくまた人を好きになってしまったんだろう。
それを、嘲笑しているのだ。自分自身で。

毎晩かかってくるその電話は、いつも決まった時間にかかってきて、私はいつも電話がかかってくる前にお風呂に入ってしまおうとか、友だちと遊んでいても時間が気になったり、落ち着かない気分になった。けれども、時々、鳴った電話にビクビクしたり、光る電話機をただ見つめるだけだったり、伸ばしきれない腕に戸惑ったり、布団をかぶって耳を塞いで留守電に切り替わるのを待っていたり、ただそんなことばかりしていた。
電話が鳴る寸前までは、わくわくしたりどきどきしたり、嬉しくてただ待ち焦がれていたのに、電話が鳴り始めそれが耳に突き刺されば刺さるほど、私は自分の惨めさと情けなさと馬鹿さ加減に、ため息ばかりついていたのである。そして切れてしまった電話を見つめて、ああ、また24時間待たないとこの電話は鳴ってくれないのだなぁと思った。
とても矛盾している。
そんな自分が歯痒い。

その出張から彼が帰ってきたとき、私はひどく緊張していた。なぜだか心臓が口から飛び出るんじゃないかと思うほど、ひどく緊張していた。出かける準備に何時間も必要だったし、約束の時間に何時間か遅刻した。


あんまり一緒にいたくないと思ったこともある。
あんまり顔も見たくないと思ったこともある。
都合よく別の男性と知り合って遊びに行ってしまいたいと思ったこともある。
そうやって、恋人から逃げたくなったこともある。
なにもかもを放棄したくなったこともある。

けれど、今もこうして変わらず恋人でいられるのは、すべて、すべて彼のおかげなのだろうと思う。
彼がいろんなことを我慢してくれたから?
彼がいろんなことを許してくれたから?
彼がいろんなことを辛抱強く待ってくれたから?
彼が私を理解してくれているから?
彼の心が広いから?
たぶん、そういうことではなく、何があったとしてもどんなことが起こったとしても、お互いのベクトルがお互いに向き合っているからだと思う。彼のベクトルが私に向かい、私のベクトルがくるくる彷徨いながらも結局彼をさしてしまうのだ。
幸せなのだろうかと考えるけれど、それはよくわからない。
けれど、もうちょっと、あともうちょっと、もう少しだけ、いや、まだまだこれからも、私は彼に興味があるのだ。そして、彼が私に興味を失わずにいてくれることに、私はひどく驚くし、それこそが彼のおかげなんだろうと思う。
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