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| 2004年10月29日(金) たいせつな話 |
| 浅い眠りの中で不思議な夢を見ていた。 目的地はよくわかっていないのだけれど、海外へ向っているのだけはわかっている。その飛行機は初めて私を海の向こうの国へ連れて行ってくれる。飛行機の中はとても広くて、大きなベッドが病院のようにいくつも並んでいる。このベッドの上で眠りながら、私は海外へ向けて飛んでいる。 エアポケットに落ちたのか飛行機は上へ下へと揺れる。私はシーツを握ってベッドに横になったままそれに堪えている。 急激に落下する感覚が襲ってきて、私は思い切りシーツを握る。 そのとき、目が覚めた。 現実の私も、実際にベッドのシーツを掴んでいた。きつく掴みすぎてシーツがめくれてしまっている。なんだか、夢と同じ事をしていた自分が恥ずかしかった。「大丈夫?」と背中の恋人が言った。「うなされていたよ」とも言った。少し恥ずかしくて、「ヘンな夢を見た」とだけ答えた。 彼は私がうなされたのに目を覚ましたのか、それともずっと起きていたのか、ビデオのデジタル時計を確認したら、まだ眠ってから1時間ほどしかたっていなかった。 私たちは眠る前、少しお互いの心が離れてしまいそうになるほどの冷たい話しをしていた。私も、そしてきっと彼も本当はもっといい方向に向って話しをしたいと思っていたはずなのに、結局、話は収まることもなく着地点を決めかねて、曖昧なままおやすみを言った。 私たちの飛行機はエアポケットに落ちてしまった。 私はすごく疲れていた。体がとても疲れていたので、眠りたかった。すぐに眠気はやってきて、私はその波に身を委ねて眠りに落ちる。 また不思議な夢を見た。 私は階段を上がっている。とても急で狭くて一歩でも踏み違えるとまっさかさまに落ちていってしまいそうだ。私は高いヒール靴をはいている。足元が慎重になる。階段の上には明るい光がさしていて、真っ直ぐな光が目をさす。壁に手をつきながら、私は陽のさす地上を目指して地下からの階段を上がっている。 ふと誰かが後ろから私の体を支えた。腰の辺りに誰かが手を添えて私の体を持ち上げている。その人は顔を確かめなくても、誰だかわかっている。無謀にもこんな崖に近い階段を上がる私を助けてくれるのは、きっと恋人しかいないだろうと直感した。恋人には私の味方でいて欲しいと思う。私を叱ったとしても、私に腹が立ったとしても、それが私の味方であるが故のことであるなら、私はきっと心を離したりしない。そしてそれと同じように、私も彼の味方であり続けたいと思う。 目を開くと、うっすらとカーテンの後ろが明るくなりかけていた。一体、何時間眠れたのだろうと思う。恋人が腕をまわして私の腰を引寄せている。その手触りがきっと、私に不思議な夢を見せたのだろう。 私の一番の味方は、私の恋人である人だ。 私たちは、あと数十分で目覚ましがなるこの時間に目を覚まし、そして大切な話しをした。眠る前のあの冷めた話の続きでもあるし、私たちが願った着地点へ向けた話だった。彼は眠ったのだろうか。眠らずにずっと冷めた話の続きを探していたのではないだろうか。私が不思議な夢をふたつ見るあいだ、彼はずっと考えていたのではないだろうか。 私の恋人は、大切な言葉を一語一語選んで、話し続けた。 私はその言葉を聞いて、今までずっと疑っていた気持ちを捨てることにした。彼に無理をさせているんじゃないかとか、彼が本心を言っていないのではないだろうかとか、そういう疑いをすべて捨てることに決めた。それは、彼は信じるということなのだろう。それは仲直りというのかもしれないし、理解したというのかもしれない。とにかく、私の中で何かがすっと溶けていった。 恋人は幸せだと言った。 私たちは幸福感に包まれて、じっと目覚ましが鳴るまでの時間を待った。 |
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