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2004年04月22日(木)  受話器を握る
最近は、「ごめんなさい」とばかり言っている。

深夜の電話はいつも決まった時間にかかってくる。その時間は私たちが約束した時間だから。
「昨日は、ごめんなさい。電話に出られなくて」
その電話は毎日かかってくる。それは私たちが約束したから。
毎日電話をするよ。無理に出なくてもいいよ。僕がかけたいだけだから。
昨晩は、電話に出られなかった。かかってくる時間はちゃんとわかっているはずだけど、その時間に家にいなかったから。家に帰らなかったから。帰りたくなかったから。電話に出たくなかったから。彼の声を聞きたくなかったから。

だから、嘘のごめんなさいをする。
昨日は出られなかったんじゃなくて、出たくなかったんだけれど。


私たちは、まだお互いに遠慮し合ってお互いの声の色を聞き分けようと必死で、ひとつひとつの小さなことに一喜一憂して、それはよくある恋の始まりなわけだけれど、私は冷静に構えている振りをして余裕のある顔をして、本当はとてもとても慌てふためいている。いろんな理由を見出したくて狼狽している。
頭で考えても答えが出るものではないとわかっているのに。そもそも答えなんてあるわけがないのに。
どうして彼は私のことを? 本当に私は彼のことを? それは本物なのか偽者なのか、ただの気の迷いなのか、うまくやっていけるのかどうか、その人は本当に私が思っているような人なのか。
考えることに少し疲れたら、ふとその相手から離れたくなってしまう。電話に出たくなくなってしまう。

「昨日はごめんなさい。ちょっと出かけてて」
ちゃんと会って話せたら、私の思いには答えが出るのだろうか。短い電話だけでは何にもわからないし、余計に考え込んでしまうだけなのかもしれない。まだ始まったばかりなら今ならやめられるだろうか。今なら間に合うんだろうか。もしかしたらもう引き返せないのかもしれない。けっして彼のことを嫌いじゃないし、彼が不意にいなくなったらとても淋しいだろうけれど、その先がその先がどうしてもまだ見出せない。見出してはいけない気がするのは何故だろう。

彼と直接会える日は、まだまだ当分先のこと。


恋愛ってこんなに簡単に始まって、だからきっと簡単に終わってしまうものなのかもしれない。
本当の恋愛を私は出来ないのかもしれない。怖ろしく淋しいことだ。
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