九州、長崎のあたりの島々だろうか、細かく入り組んでいる。そして中国地方、四国が目に入ってきた。「お!瀬戸大橋だあ〜」思わず娘に言ってしまったが、あとから、うっ!と唸った。そのうち本当の瀬戸大橋が現れることになる。そりゃそうだ、瀬戸大橋がこんなに高空から見えるはずがない。その時はすでに着陸態勢に入っているわけだから。 この橋は、「しまなみ海峡」だ。もうこれ以上しゃべらないことにした。恥をかくだけだ。
ぐんぐん高度を下げると、ほんとうの「瀬戸大橋」と平行するように飛行を続けた。児島の街が手にとるようにはっきりとわかる。児島湾の淡水湖あたりにくると、我が家のあたりも見えてきた。娘に「あそこがトラック・ターミナルだあ〜」と教えている自分が夢中になっているのに気づく。
もうじきだ。山がぐんぐん迫ってくる。岡山空港は、ほんと山のど真ん中にある。おそらくパイロットは風の影響で操縦に苦労しているに違いない。山側はとかく気流の乱れがあるので予断を許さない。墜落事故は着陸時が多いのだが、その中でも気流に関する事故が大半を占めるほど航空機にとって乱気流は命取りになる。こんなことを考えながら外の景色を見やっていると、ガタンと音がして車輪出しが始まった。「ウイーン」とモーターが回転音を発しながらフラップがせり出してきた。いや、この席からは見えないのだがだいたいわかる。パイロットは、着陸態勢に入っているので高度計とにらめっこしながら高度を読み上げているに違いない。
スーッと吸い込まれるように滑走路に車輪がつくと、ゴトゴトと振動が伝わってきた。と同時に一気にエンジンパワーが上がって逆噴射が始まり、急ブレーキがかかる。スピードが落ちてくるとエンジンもアイドリング状態になって、無事着陸完了とあいなった。うっとおしいシートベルトを外していると、妻が言った。「まだランプが消えていないでしょ!」最後の最後まで口うるさい・・・。
こうして無事すべての日程を終了することができた。 長すぎた旅行日記にお付き合いいただき、ありがとうございました。完

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