ごっついウエットスーツを苦労して脱ぎ去ると、やっと身軽になれたという開放感と無事何事もなく生還できたうれしさで、満足感十分だ。 着替えを済ませると大蔵省が料金の支払いをしている。こちらはしばし外に出てさとうきび畑でも眺めていよう。
愛車『ニッサン・キューブ』に搭乗すると、店のスタッフたちがお見送りをしてくれる中をホテルに向け発進。朝9時前から夕方5時前までの長丁場だったが、充実したスケジュールをこなし、あとこれから行くところもなく、車で5分のホテルまで一直線で帰ることになった。 このあたりはやはり海がメインだ。近場にも楽園風にあしらったテーマパークがあるが、眩しいばかりの夏の沖縄の海の前ではそれほど魅力を感じない。
ホテルと道を隔てた向かいに駐車場があるが、ジャパレンの看板が立っているのでおそらくホテル専用ではないのだろうが、かといってあたりには他に駐車を必要とする施設がある風でもない。入り口に乗り付けると、すぐに係りの人が来て、「ここで降りていただければ、あとはやっておきます。」と言ってくれた。
道を横切り、ホテルの玄関脇に鎮座している結婚式用の白いクラシック・カーを眺めながらフロントに向かった。椰子の木の間を飛び交う鳥たちの鳴き声が沖縄のムードを盛り上げてくれているようだ。 しかし、私たちはキーを受け取るとそんなことはおかまいなしに部屋へと急ぎ足である。部屋に着くなり、各々がベッドになだれ込んだ。しばし小休止である。 私はこういう時、どうも性格的に余裕がないせいか、時間がもったいないと二人に促した。「ホテルの探検をしてから食事に行こう。」
あちこち動き回ってみると、けっこういろんなところにショップを置いているものだ。コンビニまである。よし夜はここでビールを買って飲むとしよう。いくらかでも安く上がると、ついめめっちい考えが出てきてしまう。
みやげ物店もかなり手広くしている。全部ここで揃いそうだが、早まってはいけない。いつも失敗するのだ。あとからあとからこれぞと思うものがあるので、ついつい買いすぎてしまうからだ。貧乏性なのだ。
いちおうざっと眺めて食事に行くことにした。もう決めている。娘が。けさ朝食を取ったバイキング・レストランである。夜7時からなのだが、少し早めに行った。誰もいない。でもじっと待っていると案内してくれた。どういうわけか朝と同じ位置に席をとった。どうも人間の習性なのか自然とその場所に行ってしまった。じつは外にはテラスがあり、海を眺めながら優雅に食事を堪能できるはずなのだが、だめだ。所狭しと盛られた料理の山に、外の景色なんか入ろうはずもない。ああ悲し、田舎人。
例によって、少量ずつだが全メニューを平らげようと三人はあちこちを動き回っている・・・。 〜つづく〜

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