『ひめゆりの塔』をインプットして車を走らせると、カーナビが左へ曲がれ、右へ曲がれとうるさく指示をしてきた。 郊外に出るまでには那覇の込み入った街中を抜けなければいけない。事前にガイドブックに掲載されている地図を見てある程度のルートを決めていた。まったくはじめての道なので、できるだけ幹線道路を走るように頭の中で組み立てていたのだ。
がしかし、カーナビはせまい路地をあっちこっちへと連れていってくれる。愛車『ニッサン・キューブ』を路肩に止めながら、ガイドブックの地図を片手に確認していたが、ついにわけがわからなくなった。どうもカーナビでは最短コースをたどるようだ。こうなっては指示どおりに走らせることしかできない。 それにしても、交差点なんかピタリと位置が合っている。えー、こんな路地を曲がっていいのかなと勝手に判断して次を曲がると、やっぱり元にもどるはめに。見知らぬ土地では絶対に入り込まないショートカットも自由自在、性能は抜群だ。道を間違ってもそこから誘導してくれる。どうも道を見ているのか、画面を見て運転しているのかわからなくなってしまう。後ろから「前を見て運転しなさいよ!」と警告が・・・。
そうこうしているうちに南岸沿いの幹線道路に出てきた。ふっと沖縄の香りが漂う。一面のさとうきび畑、そしてたわわに実ったパイナップルたち、やしの木、いやがおうなしに、ここは沖縄だと実感する。 カーナビは目的地までの距離、それに到着時間まで表示してくれる。アバウトだろうが、それでも時間表示は助かる。短期間でたくさんの場所を回ろうとすると行動計画をよくしておかないといけないが、このカーナビはとても役に立つ。
そして目指す『ひめゆりの塔』までもう少しになったが、なにやら『琉球ガラス村』の看板が目に入った。即右折だ。一応頭の中には入っていたので、食事を兼ねて『ニッサン・キューブ』をすべり込ませた。 ここでは観光者向けにガラス工芸をしている。いわゆる展示即売というやつである。炉の中で真っ赤に焼けたガラスを取り出し、コップ、皿、花瓶などに加工していくわけだ。加工場の奥には売店があり、無数の商品が並べられている。けっきょく何点か買うことになった。じつは20数年前の新婚旅行は沖縄だったが、そのときもコップやら花瓶やらを購入していた。どうもその時代よりも色が多彩になっており、デザインも豊富な気がする。当時と同じような花瓶だったが、気に入った色があったので送ってもらうことにした。
この『琉球ガラス村』の2階がレストランになっていたので、食事をすることにした。閑散としている。広いレストランではあるが、お客は一組しかいない。この旅行ではじめての食事になるので、まずは「沖縄そば」からということにした。うーん、どうも「そば」か「うどん」かわからないような太さに違和感を覚える。調味料として泡盛に島とうがらしを漬け込んだものがあり(名前はわすれた)、店の人はこれを入れて食べてみてくださいとのこと。泡盛もはじめてだが、ちょっと異様な味に、少しずつどんぶりに垂らしてみると、島とうがらしのピリカラがマッチしているのか、これが沖縄の味と勝手に感心してみた。

なかなか『ひめゆりの塔』たどりつけないが、〜つづく〜
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