管理人トシの日記

2004年03月29日(月) ロシア絵画

きのう神戸に行って、『第九の怒涛』という絵を見てきた。

この絵は、ロシア絵画の至宝となっているが、サンクトペテルブルグ建都300周年記念として東京の美術館で開催されていたものが、いわゆる地方にやってきたものである。

アイヴァゾフスキーによって描かれた横3メートル、縦2メートルになる大型のものである。この画家は生涯を通して海の絵を描き続けたようであるが、今回の『第九の怒涛』が代表作となっている。解説が横に掲げてあったので一応読んでみた。
昔の航海士たちが、最も危険な波として言い伝えてきた”第九の波”をテーマに描いたものだ。
嵐の中で難破した船のマストにしがみついている人達に巨大な波が襲いかかっている。9番目に来る波が一番大きいというのだ。ここで描かれた情景だけでなく、人間が闘うという精神的なものまで表現されているのだと思う。
え、そういえばベートーヴェンにも「第九」があったなあ。

この絵はすばらしいのだが、他にも心奪われた秀作がたくさんあった。モネ、ルノワールなどのもあったが、やはり私が惹かれるのはロシア絵画である。完璧なまでの写実画には圧倒される。少し離れてみると写真を見ているようでもある。しかし写真との違いは、その奥深さであろう。
今回のような絵画展では必ずカタログを買うようにしている。それを見ると本物と写真との決定的な違いに気づいた。たとえばそれは「レーピン夫人の肖像」というのがあるが、本物は目が生きている。それに肌が輝いているのだ。まるで生きているようなのである。
油絵の具独特の輝きによって、絵全体が生き生きとしている。水彩画だとこうはいかないかもしれない。

中でも気に入ったのは、イヴァン・シーシキン作の「白樺の森の小川」である。森の中に立つ白樺の木と緑の木々のコントラスト、それに婦人達が、木の実か野草でも取りに行っているのか、かごを持って歩いている姿の生活感も合わせ持った作品である。全体から受けるバランスも抜群だが、その精細な描写になんといっても心打たれたのである。
いや、水彩でちょっと真似をしようかとさえ思った。無理だろうが・・・。

こういった類の展示会では、必ずといっていいほどグッズ売り場が併設されている。今回もご多分にもれず出口前の部屋は、模造絵画やグッズ売り場になっており、会場以上に人があふれかえっていた。せっかく高い芸術に触れてもここで気分が一気に現実世界に引き戻されてしまう。
といいながら買ってしまった。『第九の怒涛』をキャンバス地に印刷したものである。これならいい額に入れれば、引き立つんじゃないかと妻に進言申し上げたところ、場の雰囲気に呑まれたのかOKが出た。

妻と娘がこそこそ話をしていたのを聞いた。「・・・ねえねえ、今晩はお父さん、きっと筆をとるよ。パレットなんか洗っていたし・・・」「うん、私もそう思う。」

いや、じつは一週間ほど前から筆をとっているのだが・・・。


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