きのう夜遅く、中林淳眞先生のお宅におじゃました。
曹源寺の駐車場に車をとめて、150mほどの道のりを歩いていく。お宅の前に車をとめることはできるが、坂が急なのと、なにより、この150mの徒歩に、なにかしら風情がある。落ち着きがあるのだ。 別に、これといったものはないのだが、閑静な住宅のそばを通り、だんだんと木立が立ち込めてくる坂を上がると、先生のお宅がある。距離は短いが、この変化がお心地よい。時々、曹源寺の修行僧が掃除をしている風景に出くわす。最近は外人さんが多い。ひときわ背が高く、清潔感があふれている。 場所は、曹源寺の東隣りにあたり、ちょっと高台状になっているので、まわりの木立と相まって、夏はとても過ごしやすそうだ。
お宅に着くと、ギターの音色が心地よく響いていた。いつもそうだ。玄関わきからは、とてもギターの音とは思えない響きで聞こえる。玄関を上がると、広い板の間のレッスン室になっている。ちょっとしたホールのような響きになる。といっても、ここは道場なのだ。奥様は、太極拳の先生である。 しかし、きょうはちょっと違う。新着入荷のギターなのである。 木枠で梱包されていたが、これはじゃまなので、曹源寺の薪にあげたそうだ。宅急便ではなく、楽器輸送専門業者だそうだ。保険まで付けている。

スペインのホセ・ラミレス3世の製作になる。まあ、こんな有名な人が全部作るわけないだろうが、チェックぐらいはしてくれたのだろうか。中林先生お気に入りの製作家だ。 先生のギターはというと、巨匠・ナルシソ・イエペスのギターを製作した???という製作家のもので、1950年くらいの製作だそうだ。それにしても、新品のように光り輝いている。メンテナンスが行き届いているのだろう。しかし、ケースは、世界を駆け巡った歴戦のあとがうかがえる。
さっそく手にしてみると、全然違う!楽器が鳴るとはこれをいうのか。 良い楽器は、ホールで威力を発揮するそうだ。ピアノのように鳴るそうである。彼のヴェートーベンだったかな?「ギターは小さなオーケストラである。」と。違ったかな・・・。
けさ、通勤途中、FM放送で村治香織の弟である、村治奏一の演奏がかかっていた。世界のコンクールで数多く優勝している。二十歳そこそこくらいではないかと思うが、わくわくする演奏だ。デビューCDからバッハの「シャコンヌ」だったかと思うが、普通だったら聴き流していただろう。
ちょっと駐車場で、しばし浸っていた。
|