徒然エッセイ&観劇記
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2001年12月29日(土) 市村正親ソロ・パフォーマンス「クリスマス・キャロル」観劇記

12月29日、年も押し迫った土曜日。
「ル・テアトル銀座」場内はクリスマス一色で飾られていた。
そこここに立つクリスマス・ツリー。添えられたカードを覗くと、ファンからの差し入れツリーらしく、市村さんに「いつも元気をありがとう」メッセージ。
流石の銀座、エレガントな内装だ。床が木だ。二階ボックス席もあるぞ(人いないから偵察だぁ、入っちゃえ←こらこら)二階のトイレは個室だぞ(入っちゃった←奇麗だった・・・)
さぁ〜段々テンション上がって来たぞぉぉぉ。市村さん、かまーん!!!

私は見る前から分かっていたよ。市村さんはすっごい芸達者で、お芝居上手で、もう絶対飽きさせないすばらしーい演技をするって。
ストレートプレイの市村さんは見るの初めて。前評判も聞かず。でも不思議と確信してたのだ。
そして開演、すぐ。やっぱりね!!!!流石だね!!凄いね市村師匠!!!(ガッツポーズ)

ストーリー。スクルージという金の亡者なジーさんが、クリスマスに三人の精霊に自分の過去・現在・未来を見せられ、改心しちゃう話。

舞台には机と椅子が数個。これをあっちへこっちへと動かしつつ、場面転換をする。なぜか私は、机を動かしてる市村さんが好きだった(?)何か物を運ぶ人そのものに萌え・・・どうしたんだろう(笑)

照明、凝ってる!演出、素晴らしい!全く違う場面を必要最小限で十分に構築しておりました。

そして一人芝居、55役を演じ分けた市村さん。をを、それはそれは自然に、老人から子供まで、馬も鐘の音も入れて55役。あまりにそれが自然に成し遂げられていたので、「え、55役もあったっけ?」という印象。
もう、瞬時に、動き・声・表情がぱあっと変わって、纏う雰囲気が変わる。プロや〜!特に顔なんか百面相だぁぁっ。私は後ろぉぉの席だったので、肉眼では見えず、ずううっと双眼鏡構えっぱなし。マジですごいよ、表情。
動きももぉぉキレがあって、パっと役柄やら場面やらを切り替えて、机動かして、立ったり座ったり踊ったり(手拍子しちゃったよ)ところどころユーモアも忘れず・・・エンターティナーだな〜!
声はこう、声優さんチックに、分かりやすぅぅく。若者の声出したときなんか、ほんとにかっこいい若者の声なんだもの。びっくりした。「蜷川ハムレット」見れば良かった・・・(後悔)

というわけで、まんまとクリスマスぅな気分になりーの、ぼろぼろに泣きーの、ああ〜いいお芝居でしたわ〜。

それでね、私はいい舞台なんぞを見ていると、人間に生まれて良かったなぁ〜って思うんざますよ。もちろん豚に生まれたって猫に生まれたって同等に良かったんですけども、今は人間に生まれちゃったんだから、なるべく人間であることを幸せに思いたいなーと。
そう、舞台っていうのはいろーんなスタッフの人が関わって、凄い役者さんがいて、極めて人間らしぃく楽しませたり悲しませたりしてくれる。極めて人間らしぃい模様を極めて人間らしく、もう「これが人間!」ていうのを現出させなおかつ現出させてるのも人間。
段々言ってることがわけわかんなくなってきましたが(笑)だから私は実際のところ、舞台がどんなストーリーであるかにはほとんど興味がないんです。
ただ、その役者が役としてホントに生きていて、一場面でももっともらしい濃ゆ〜い感情とか観念とかをぽーんと現出させてくれれば。

「クリスマス・キャロル」は、隅から隅まで「クリスマス・キャロル」という舞台世界が行き届いていた。
だから、クリスマスに全く興味が無い、善行にも大して興味が無い、「身体障害者を出すなんてあざといなあ」と内心思っちゃうような私でも、舞台を見ている間だけは、本気でクリスマスというものを祝い、楽しみ、その死を悲しんだ。
ありがとう市村さん!私のクリスマスは今日!です。

PS 同行観劇した母様、一幕終わって「何だかよく分からなかった。寝ちゃったわ〜」
  がーーーん!!思わず即座に「え!?何で分かんないの!?」と心底不思議で叫んでしまった。
  二幕でもやっぱり隣で寝ていたので、肘鉄で起こしてやった。くそぅ、これだから二人観劇は落ち着かない・・・(笑)


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