2008年06月23日(月)
「ひとかけらの勇気」


 はい、明日ですよ!(なにそのテンション)
 いやなんか同じ日付に入れるのはアレだなぁと思ったのですよ。


[星組メモ:スカピン初見感想]

 初見前は断片的に入ってくる情報がなんか繋がらなくて、どうなんだろうと戦々恐々としていたんですが、フタをあけたらすっごく面白かった!大衆娯楽冒険活劇。もちろん海外ミュージカルだから元の脚本がしっかりしているっていうのが大きいとは思うんですが(そしてオリジナルだと脚本がしっかりしない傾向にある歌劇団って一体)(それを言うな)、実によく星組に合った作品だなぁと思いました。星組の群集劇はやっぱりすごい。皆で一体というんじゃなくて、個々のパワープレイ(笑)が全体をぐわっと持ち上げてしまうあのイキオイ。初日明けでこれだけの出来上がりだったので、多分これからもっと個々のキャラ立てと小芝居が始まって(笑)もっともっと良くなるんじゃないかなぁと。そしてトウコさんもすごい。硬軟自在。これ、今の星組じゃなくちゃできないよなぁ、とは組担のたわごとですかすみません(先手)。

 以下箇条書きにならない箇条書き。


・まず最初に言いたいのが「今回は『ブラボウウウ!』とか『イザベラアアア!』とかいうしぃちゃんじゃなかったよ!」って事です(最初にそこ?)。もうちょうカッコよかった。ときめいた。嬉しかった(そんなに待ち望んでいたのか)。

・で、そんなしぃちゃんが率いる「紅はこべ青年団」。その人数の多さにきっととってつけたような十把ひとからげ団体なんだろうなぁとがっかりしていたんですが、そこは星組、「魁!男(役)塾」でした。まだ下級生メンバーのキャラ立ては弱いんですが、しぃちゃんと涼さんがものすごくいい感じでキャラ立てがハマっていたんですよね。トウコさんの片腕として頼りになるデュハースト、そして強烈なリーダーシップというよりは潤滑剤的な感じに皆をまとめるフォークス、ちょっとした台詞のやりとりからそういうのが自然と感じられたなぁと。恋人に対する場面も、「この場で結婚を申し込まない僕を許してくれ」という、どこまでも真面目で責任感があって男気を感じるデュハースト、革命から逃れてきたシュザンヌをやさしく受け止めて包んでしまったフォークス。ほんと今回しぃすずポジションがすとん、といいところに収まったなぁと。

・という訳で、これから残りの紅はこべ青年団もどんどんキャラ立てしていくと思われます。つうかこれだけ揃えられれば意地でも皆「俺が俺が」ってなっていくんだろうなぁ。そんな中でひとりだけやったらキャラが立っていたのが明石です。いや明石そのものだから、立ち上がりが早矢かった(笑)とも言えるんですが、でも明石のこういうときにパーンと出て行けるのはほんと強みだと思う。

・キャラ立てとは違うんですが、麻尋がこのメンツに入ったのがよかったなぁと思いました。初見感想なんで話半分で聞いてほしいんですけれど、あの麻尋が回りに合わせて芝居をすることを覚え始めた気がします。それがひいては麻尋の中で常に持て余した熱とか毒とかを上手く制御し始めた気がしたんですよね。考えてみれば、こんなにガッツリ群集芝居するのって始めてなんじゃないかなぁと。そんな風に思うと、常に持て余していたアレを(アレ言うな)最大限に舞台でぶちまけたのが、前回のバウ公演で、その後にこういう役どころがまわってきたというのが、いい流れになったんじゃないかと思います。そんな麻尋の制御機能が、意外にも芝居よりはダンスに現れていたんですよね。なんか、今までとは違うニュアンスで、すごい素敵だった(素)。初見だから全体を観たかったんですが、そこだけはピン撮ってしまいました。……ごめん、麻尋のことでうっとおしくなるのも仕様です。

・そんなピンパーネル団。物語が始まった時から全員ピンパーネル団じゃなくて、途中で勧誘する場面が入ってびっくりしました。ええ?その人たち単なる貴族の気のいいぼっちゃんたちでトモダチじゃん、そんな簡単に仲間にしていいの?つうかサークル活動じゃん!と(笑)。いや最初からパーシーがそういう意図でトモダチにしていたのならいいんだけど、明らかに彼ら、役に立たなそうなんだもん(笑)。でもその後の「デイドリーム号」での甲板の場面がきらっきらしちゃってて、なんだかものすごくピュアなものに溢れていて。彼らは気のいい貴族のぼっちゃんたちだけれど、ただ「ひとかけらの勇気」を持って、そんな危険にまで飛び込んでしまう。……なんか、妙に打たれてしまったよ……部活にかける青春っていいよね!(そこに持っていくな)。

・で、そんなおぼっちゃん達が、洗濯女に変装して、同じく洗濯女に変装して逃げようとしていた貴族のマリーノとエレナ様を助ける場面が、最高に楽しかったです。洗濯女なのにこんなにきれいな手なはずがない!と問い詰められるマリーノを「この子は洗濯物をたたむ係だから手がきれいなんだよ」言うしぃちゃん「あたしはつるす係だよ」と涼さん「しばる係もあるよ」「しばく係あるよ」「たたく係もあるよ」「たらす係もあるよ」……あれ?違う話になってる(わざとのくせに)。

・すみません、ピンパーネル団に食いつきすぎです自分。でも好きなんだ。

・ところで、マリーノのシャワーキャップがかわいくてね!。舞踏会の女も盛りすぎてんだけど、あのリーゼント前髪がいい感じにデコかくしてかわいくてね!やっぱりデコか、デコが鬼門か、でもそのデコも好きだ。ところで今回、百毬というあたらしい食い合わせ(かけざんですらないのか)(笑)が生まれました。おいしくいただきました。その他、エレ毬も涼毬も見られて、まりのゆい部としては非常に収穫でした。

・それでパーシーの話なんですが(普通は最初にそれがきます)。
 もうただただトウコさんの芸達者さに圧倒されちゃっているんですが、よくよく気をつけると、すんごいカワイイ人だよね!だって「マルグリットに恋する君はまるで少年のようだった」って言われちゃうんだよ?マルグリットの気持ちがわからないって枕を涙で濡らしちゃうんだよ?うわあ……。すごいラブラブな結婚式の場面が入る以外は、パーシーとマルグリットのそういう蜜月期の場面ってないんですよね?お互いへの疑い心から始まっちゃうので。それがちょっと観たかったなぁと思いつつ、まあそれはSSとかにすればいいんだよな、と(間違っています)。



 あの頃の私は革命の理想を追うことに疲れて、革命の現実に絶望していた。
 そんな時に、あの人に出会った。パーシー・ブレイクニー。
 彼は出会った私に、イギリス式の慇懃なお辞儀をした。最初はわからなかった、それが真面目なのか不真面目なのか。けれども私は何故かイラついて、その感想を言葉に出した。
「真面目なの?それともふざけているの?」
「お望みのままに」
 そうして彼は更に慇懃な仕草で私の手を取り、くちづけた。それがやっぱり真面目なのか不真面目なのかわからなくて、けれどもそのどちらでもあるようで、けれどもそのどちらも、真面目にも不真面目にも彼は真剣でいるようで、なんだか、それがおかしくなってきてしまって、思わず笑ってしまった。
「やあ、ようやく笑ってくださいましたね」

 後で聞けば、あの頃の私は常に疲れた気難しい顔をしていたのだという。彼はそれにどうしていいかわからなかったという。途方にくれたのだという。けれどもどうしていいかわからないと言いながら、彼は私を笑わせてしまった。
 後で聞けば、彼はあの時にはもう私に恋していて、そして後で思えば、私はあの時に、彼に恋をしたのだった。




 ルサンク早くでないかなぁ……。



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