| 2007年02月10日(土) | ||
| 雪あかりのまぶしさに誰も足跡をつけていない雪原に顔をうずめた。 | ||
|
献血をしにいったら、「献血するには血管が細すぎる」と断られました。わたくし、献血解禁の16の歳から機会があれば献血してきたんですが、その理由で断られたのは初めてです(寒いと縮むらしいよ?)うわーん(がっかり)(そんなに好きか献血が)(割と)。 宙組さんマイ楽。 3回目マイ楽にして、ようやくいろいろなものがすとんすとんと落ちていきました。もうカッさんの竜馬が竜馬で、かしるいはラブラブで、タニオカナカオカ(漫才コンビみたいだ)がうりゃーっとやっていて、やだー、たのしーじゃなーい。お芝居がつまってきたのもあると思うんですが、気持ちよくマイ楽を迎えられました。よかった……(しんみり)。 もう何も言う言葉はないので、でもこの想いをどうにかしたいので、叫んでおきます。 カッさん!カッさん!カッさん! 好きというより素敵というよりおもしろいというよりも、もうただひたすらに名前を呼びたいの(何キャラよ)。 かしるいは、たとえば遠い未来に、死んでしまった人の網膜からその人が生涯見たものを映像に表すことができる機会が出来たとしたら、カッさんの映像にはるいちゃんばかりが写っていて、るいちゃんの映像にはカッさんの映像ばかり写っている、そういうコンビだったと思います(何そのたとえ) が、イジるところはイジりますよー [宙組メモ:タニオカナカオカの話] 「タニオカでーす」 「ナカオカでーす」 「ふたり合わせて……って同一人物やん!」 っていうノリツッコミをやるといいと思います(よくない)。 で、タニオカナカオカに何故かこう好意(笑)を覚えてしまうのは、今私が感じているタニオカ君のからまわりっぷりが最高に中岡というキャラクターにあったと思っているからなんですね。 この「からまわり」という言葉が多分怒られると思うのですが、私、タニオカ君は宙組来てからずっとからまっわているようにしか見えないんですよね。なんというか本人の目指しているもの、本人の持ち味、劇団がやらせたいこと、ファンが望むこと、その辺がからまわってからまっているような?(からまわりというか違和感?)でもそのかわまわりっぷりはなんか面白かったんですよね(ステラマリスの時にそう思ってた)。なんだか語弊と誤解を招きそうなんですが、そのまま続けます。 そんな感じに、今回「からまわり」なタニオカ君がすごく生きたなぁと。今回も同じ文脈でおもしろかったのですが、でもなんかそれが妙に愛おしかったんですね。……つたわらないなぁ。全然悪意はないのでそれだけが伝われば! ところで中岡のあの衣装(防具の胴)なんですが、もといはっちゃんと話しているあの場面てどういう設定なんですかね?あそこ宮中なの?宮中にあの格好で行っているの?つうかあの胴はデフォルトなの?と思い出したら最後「おばあちゃんがおなかが冷えないように作ってくれた形見の品」とか「TPOに合わせて色んなバリエーションが家にあってとっかえひっかえ装着している」とかでも竜馬に「中岡ー、それはちくとダサいきにー」とか言われて「そ、そうか?(竜馬の言う事には素直に聞く)」で物語の後半はつけなくなったとか、どうでもいいネタが延々と繰り広げられてました(笑)。 ほんとあの中岡のからまわりな暴れん坊ぶりはいい。 で、そのからまわりなんですが(せっかく話題そらしたのに自分でもどしちゃった)、そのからまわりをなんとなく好意的に見ているのは、それがタニオカ君に必要なものだと(私が)思っているからじゃないかなぁと思いました。若い頃から抜擢されて真ん中に据えられたタニオカ君にはできないからまわりというか、遠回りすることすらなくまっすぐに王道を歩まされたタニオカ君に、ようやく与えられた「からまわり」の時間(普通はもっと若い頃に通っている道)なんじゃないかなと。そう思うと遅れてきた「からまわり」をしているタニオカ君を受け止めてくれる立場にカッさんがいたのはすごく興味深いと思いました。カッさんだったらそんな風にからまわりするタニオカを受け止めてくれたんだろうなぁ、そんなからまわりするタニオカなんてカッさんぐらいしか受け止めきれないよなぁと。お芝居であった「馬車の前輪と後輪」、後輪が中岡なら後輪駆動の車だなぁと思ったり、それを竜馬がうまく受け止めかわして中和して時にはあおったり……そんな竜馬中岡の関係は、そのまんま宙組トップと二番手の関係になったんだろうなぁと。言ってもしょうがないけれど言う、多分、この二人はいいコンビになったと思う。 ……今回の芝居からそういうものが見えたのです。 と、散々からまわりからまわりと言っていますが、これはタニオカ君がトップに就任したら自然と収束していくものなので(断言か)、その辺は心配していません。むしろ今しかできない事だな、と。 何言っているかわかりませんね。いいです、それで。 [宙組メモ:その他のメモ] ・というわけで今日はマイ楽であると同時に八雲美佳さんのフンチラ見納めだったんですが……つかふんどしじゃなかったね、白いサルマタ?でしたね。冷静に考えてみればタカラヅカでふんどししめる訳がない、見えないところだからしめる必要ない、つうか今までしめてた公演あったか?とえんえんとひとりツッコみしてました。しかし八雲美佳さんの小芝居というかキザりはすばらしいね、さすがに今日は歳さんに見えなかったんですが、やっぱりえらいキザってました。「てぇーへーんだ」で娘役ちゃんとぶつかるところがあるんですが「おう、ごめんな!(キラリ)」「あら……(はあと)」ってあんたら何そこで出会っちゃっているんですかー!……面白い。もっと面白かったのはよくよく気付いたら右京さん(本日ピン撮り)の後ろにちょくちょくいた事なんですが……気になるよ、気になるよ八雲美佳……というわけで今度から彼の事は親愛と敬愛の情を込めて「やっくん」と呼ぼうと思います。この「やっくん」は桜塚やっくんのやっくんでも薬丸印のやっくんでもどっちでも可ですっていうかどっちも微妙! ・芝居で竜馬が死んだ時に、おりょうちゃんが「竜が天に帰った」っていうのに今更ながらぐっときました。死んだじゃなくて、天に帰った。きっとそうなんだと思う(何がよ)。 ・あとカッさんの竜馬で好きなところって、たくさんあるんですが、一番好きなのが、最後に銀橋わたってきて、よさこいシスターズ(違)に「うわあああ!」ってなっている所です。 ・カッさーん(もう黙れお前)。 気持ちよく観劇できたなと思いました。 ほら、その証拠に金平糖が漏れてたよ!(そんな判定やだ) [維新(金平糖釜が)回転!竜馬伝SS](俺上手いことゆった) 「おりょうはん、たいがいにしへんと……」 「あほお、さかもとりょうまのあほお!」 酔って暴れるおりょうを茶屋の店主が止めるも、そんなものはききもせず。 ここのところ毎度毎度、それこそ昼日中から繰り広げられる光景だった。 「そんな、天下の坂本竜馬をアホ言うたら、バチあたりまっせ」 「あほーなもんはあほなんやー!」 目の前の銚子を手にし、また飲もうとすると、すでにそれは空だった。おりょうはぐっとそれを突き出し、おかわりを店主にねだる。 「おりょうはん、飲みすぎですよ」 「まだぜーんぜん、酔うとらへん。ほな、あんたもいっしょに飲みや」 「へぇ、おりょうはんのおごりですかいな」 「アホ、茶屋の店主が自分の店の酒をのむんや、なーんでうちがはらわなあかんの?」 そういって、こんどはけらけら笑い出した。よっぱらいを相手にしてもしかたない、と店主は半ばヤケになって 「ほな、ごしょうばんさせていただきます」 新しい酒をつけてきて、手酌で飲もうとしたら 「なんやのん、やぼやねぇ」 おりょうはぐい、っと店主に近寄り、酌をした。その近さと、酔ってしどけなく崩れたおりょうの髪に少しだけどきりとしたが。店主はおおきにといい、ぐいっと飲み干した。 「それじゃ、あたしも」 さしつさされつ、奇妙に暖かい空気が流れたのに店主はうろたえた。毎日のようにやってきては飲んだくれてゆく、維新の英雄の妻。そりゃ最初は同情もしたが、こうずっと続けば単なる迷惑な客にすぎなくて、それでもどこか憎めないのは、「日本一陽気な男」の妻はやっぱり「日本一陽気な妻」なのだろうか……迷惑だかなわんわと思いつつも、結局むげに断れない自分自身に店主は気付いていた。 「あんさんは……しあわせものやなぁ」 しばらくして、店主がつぶやいた。 「しあわせ?どこがしあわせなん?愛しい夫に先立たれ残された妻のどこがしあわせなん?」 おりょうがくってかかる。それをまあまあとなだめてから 「いやあ、おりょうはんは今かて本気で竜馬はんに『阿呆』と怒りなさる、本気で竜馬はんに話かけてはる」 「あほやもの、日本一のあほやもの!」 「そんだけ、おりょうはんは竜馬はんの事を忘れてへん、て事でっしゃろ?」 「あたりまえやないの」 「あてにもな、よめはんがいたんですわ」 「どこに?」 「きついどすなぁ。まあご覧の通り今は男やもめで……逃げられたんですわ、子供つれて愛想つかされて」 「逃げられた?」 「まあ、甲斐性なしの亭主だったので、しかたないことやとも思うとるんですが。今は子供と一緒に大阪のおっきなお店の後家さんにおさまってあんじょうやっとるようですわ」 繋がらない話におりょうがいらいらし始めた。店主はまあまあと酒を注ぎ、続けた。 「で、この間そのよめはんに街中でばったり会いましてな。まあ、当然顔が合えば気付きますわな、向こうも気付いたんどす。で、やっぱり短かったとはいえ、めおととして過ごしたふたりでっしゃろ?あてもなんかこう、せつない気持ちになって、なつかしさに声をかけようとしたんですわ。そしたら、あちらはにこりと会釈を返しただけで、そのまま行ってしまいまして……」 店主はそこで自分の杯にも注いだ。 「その会釈が、まんま知りまへん人への会釈やったんどす。街中でちょっとすれ違っただけの人とかわすあたりさわりのない会釈。無理してそうしてるわけかてなく、自然とそういう会釈だったんですわ……キツかったですわな、あっちにしてみりゃ、あてはもう過去の人間どころか、知らないひとなんですわ。もうきれいさーっぱりあてのことなんか忘れて、どうでもよくなっているから、できる会釈なんですわ。あいつがあてに向かって微笑んだとき、ついうれしゅうなってしもうてな、あれ、あてのことまだまんざらでもおへんのか?と思うたんですが、すぐに、そういうことじゃないって気がつきましたわ。あては未練はあらへんのどすが、やっぱりあれと過ごした日々っていうのは多少なりとも、思い出ですわ、なのにあっちはそれもさーっぱり捨ててしもうたんやなぁと。あれの中であてはもういなくなっとるんですわな」 「で?」 「そうそう、それでですな、あて思うんですわ。あんさんがこうやって竜馬はんにあほう言うたり、竜馬竜馬と呼んだりするのも、おりょうはんにとって、竜馬はんがいなくなってへん証拠でっせぇ。おりょうはんはしあわせだったから、竜馬はんがまだいはるのやろな。竜馬はんと過ごした日々がしあわせやったんやね……あての女房はきっとしあわせなんてちっともありまへんのでしたろな。だからああやってきれいさっぱり捨ててしまうことができたんやなぁ」 おりょうはじっとうつむいてしまった。店主はその肩にやさしく手を置いた。 「あては、おりょうはんがうらやましいんや。いやあんさんみたいな嫁はんもろうてた竜馬はんがうらやましい。のうなってからも、これだけ竜馬竜馬呼ばれるんや、男冥利につきますわ。天下の坂本竜馬にむかって言うのもなんやけど、ええ男はんやったんやろうなぁと思いますわ。おりょうはん見てると思いますわ」 おりょうはさらにうつむいたままだった。 「おりょうはん?」 店主は慌てた、自分の話をしていただけと思っていたが、いたずらにおりょうに思い出させてしまったのではないかと、うつむいたおりょうが泣いているのではないかと。しかし 「おりょうはん?……寝とる……おりょうはん!」 「うん、ああ、なに?もう話おわったん?」 「おりょうはん!」 「あーもう、おっさんの思い出語りなんて退屈でしゃあないわ。何言い出すのかと思えば、ぜんぜんうちに関係あらへん話やろ?」 「そりゃそうやけど、おりょうはん最後まで話きかへんし……」 「なんでお客が店主の話につきあわなきゃあかんの?ああー、もう今日は帰るわー……まあ、あんさんも『かわいそう』やね」 おりょうを慰めるつもりが、かえって同情されただけになってしまった事に、店主はため息をついた。 「ま、あんさんもうちみたいに『しあわせ』にならんとね。な」 「え?」 おりょうが笑った。 今しがたまで「しあわせでない」と嘆いていたおりょうだったはずなのに……もしかしたら、ちゃんと聞いていたのかもしれない。目が赤いのは酔ったせいではなくて、涙のせいかもしれない。しかしそれを確認することはなかったし、またしなくてもいいことだと、店主は思った。 「ほな、ごちそさん」 「ああ、おりょうはん。今日こそお勘定を」 「次来た時でええやろ?あんさんが『かわいそう』やから、またウチが遊びにきたる。そんときでええやろ?」 そう言われては何もいえなくなってしまった。 おりょうは言った。 「……おおきに」 それは、勘定の事ではなく、茶屋の店主の言葉への感謝のようで。 ちょこんと頭をさげて、顔をあげたおりょうの目はやっぱり赤くて、それでも笑顔を見せてくれたことに店主もまた笑顔で返した。 「……また、おこしやす」 おりょうはくるっと元気良くきびすを返していった。それは今まで店主が見送った千鳥足のおりょうでも、肩をおとしてとぼとぼと歩くおりょうでもなかった。はずむような足取りで小さくなってゆく背中を店主はずっと見送っていた。 「竜ちゅうより兎ですわなぁ」 天に昇った竜にむかって、ぴょんぴょん跳ねている兎。 おりょうの赤い目を思い出し、店主は笑った。 気がつけば、日暮れ時。真っ赤な夕焼けに店主はのれんを下ろした。 「明日も、きっと晴れはるねぇ」 ++++++++++ しまった!竜馬伝SSだと方言縛りが!(かなりむちゃくちゃですごめんなさい)(しかも竜馬伝みてきた後だからいろんなものがまざってるよ!)ま、まあこんな金平糖がのっけから生まれた訳ですよ。 初見のときにしょっぱなからガツン!とダメだったのが、せっかくのトップ娘役お披露目なのに、るいるいがのっけから未亡人でしどけないみじめな格好で、それに結構へこんだんですね。でもそれを惨めと思ったのは、表面的なこちらの勝手な感想な訳で、おりょうちゃんが不幸だったかというとそうじゃないよなぁと。あれだけ竜馬に愛されたんだから、おりょうちゃんはきっと「しあわせ」なんだと。 うろ覚えの記憶で申し訳ないのですが、史実のおりょうさんも竜馬の死後はあんまりぱっとしなかったんですよね。正に初見で私が感じたああいうものだったと思うのです。でも竜馬伝のおりょうちゃんはきっと竜馬の死後もしあわせだったんだと思います。なんとなくイメージがその後のショーの老婦人に繋がるのです。きっとおりょうちゃんはおあばちゃんになっても「今でも好きよ、竜馬」と言っているような。だってほんと竜馬とおりょうはラブラブだったんだもん、ほんと新婚旅行の場面とか思い出すとニヤニヤするもん(そんな場面ありません)(いや俺の脳内では確かに上演されていた)。 ちなみに茶屋の店主(右京さん)が男やもめのくだりは、右京茶でどういう設定で茶屋の店主をやっているかと聞かれた時に「まあ妻には逃げられているだろうな」と至極当然のように言っていた(笑)ことから引用しています。さりげなく右京さんへのオマージュとしても。うきょーさーん。 最後の日まで、みんなが「しあわせ」でありますように。 |
||
|
|
||
| BACK INDEX NEXT | ||