2006年12月14日(木)
聞くのもするのも得意じゃない


[スカステメモ]

 一日遅れで宙組千秋楽を見ました。

 そうだ、右京さんやめるんだ。


 もちろん知らなかった訳でもなく、忘れていたといえばそれまでなんですが、どちらかと言うと「気付かないふりをしていた」「認識するのを放棄していた」……それが今朝いっきにどーんと目の前に突きつけられて、思わず床につっぷしました。

 うきょーさーん!

 袴姿の右京さんはなんというか「いいとこのぼんぼん」つうかお嬢?育ちのよさ(実際は知りませんが)がにじみ出たような、そんな感じ。あのはんなりとした品の良さときたら!という訳で右京さんは窯元の二代目という設定です。目利きは確かな道楽若旦那、今は自分でろくろをまわしません。代わりに若手陶芸家に目をかけて、窯元においています。裏の作業場ではその若き陶芸家暁郷が今日も気に入らない出来の作品をがっしゃんがっしゃんと投げつけているってぇ寸法です(だからさ、むっさんのその寸法は何がなんだかわかんないよいつも)。


 カッさん(かしるい)へのコメントは東宝に残しておきます。とりあえず今わたしがるいるいに歌ってもらいたいのは「ルージュの伝言」です。女の子には誰にも優しいカッさんにヤキモチ妬いたるいるいがあの人のママ(鈴奈おねえさま希望)に会いに行くんです。でもその浮気はまったくの誤解で、ママのところに着いたら先回りしていたカッさんが「るいちゃんが一番だよ!」「貴司郎さん!」と言った具合に出迎えてくれるのです(貴司郎さんて?)(いやだってけいさんもかしげさんもなんか違うからさー)。


 以上、スカステメモでした(スカステだけでこんなに漏れたのか)。











 今日も萌えるよー(次に行くよーと同じ文脈で)。







[堕天使のSSそのさん]


 ざくざくと霜柱を踏みしめて君に会いに墓地へと向かう。




 私の傍らを歩く七歳のマルセル。
 幼いマルセルは、冬になるととたんにまっすぐに歩かなくなる。ふかふかとした土からのぞく霜柱を見つけては、ざくっ、ざくざくっと踏みしめる。
「マルセル」
 そう窘めるときには、もう明後日の方角に向かっているのだ。やれやれと追いかけるとマルセルはすべての霜柱を踏みしめんばかりに、あっちにざくざく、こっちにざくざく。
「マルセル、風邪をひく」
 しかし少年の頬は紅潮し、はずむような足取りでざくざくと、銀の柱をふみしめる。
 ざくざく、ざくっ、ざっくざっく。
 光と戯れ、音と戯れるマルセル。ああ、まるでマルセルそのものが音楽であるように……私は思わずその音色にしばし耳を傾ける。
 ざくっ、ざく。
「マルセル」
 音楽が近づいてくる。
 そうやってマルセルは、私の生活になかった音をくれたのだ。十八の時にようやく一人立ちをし、世間の目や親の圧力から逃れて暮らし始めたこの家に、マルセルは音とともに現れた。小さな子供と暮らすということは、私が求めていた静寂を許しはしなかった。階段をかけあがる音、ドアを閉める音、時には皿を割る音がし、時には鳴き声笑い声、歌、そして
「せんせい」
 私は知っていた。マルセルが音楽なのだと、マルセルの小さな身体にみちあふれた音が私をどれだけ満たしてくれたか。私にはないその音楽に私は耳を傾けていた。求めたのは静寂ではない、音楽だ。
 ピアノの前で与えた課題を弾く十二歳のマルセル。
 指先から紡がれる音はまだ荒いが、身体からにじみ出る音楽は昔と少しも変わらない。マルセル、お前自身が音楽なのだと、お前は知っているのだろうか?
「先生?」
 その音楽にうっとりと聞きいってしまい、肝心の演奏が終わったことに気づかなかった。あわててよくできたと言い頭を撫でようとしたら、マルセルが身をひいた。
「もう、子供あつかいはやめてください!」
 むっと膨れていた。そうかと納得しわざと大げさな身振りで拍手をし、言い放った。
「ブラボゥ!」
 わざとすぎてマルセルが笑った。笑った隙にいつものように頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。今度はマルセルはいやがらなかった。
「本当に……すばらしいよ」
 その癖毛を指ですきながら言うと、マルセルははにかんだようにうつむいた。そのとき、
 くしゅんくしゅん、とくしゃみを二回。
 私はその音を拾いピアノでつまびいた。マルセルが笑った。
 お前自身が音楽だ。
 夜もだいぶふけて、寒くなってきた。風邪を引く前にマルセルを帰らせた。もうすぐ冬だなと、マルセルを見送った玄関先で夜空を見上げて思った。
 明日は霜がおりるかもしれない。マルセルは今年もまた、まだ霜柱を踏むのだろうか。頭を撫でられることを嫌がるぐらいには大人になった。けれども去年はまだあの音楽を夢中になって奏でていた。そう思い出して、唇に笑みがこぼれた。

 ざく。ざく。

 聞かせてほしい、お前の音楽を、お前自身が音楽なのだから。私が求めた音楽なのだから。




 ざくざくと霜柱を踏みしめて君に会いに墓地へと向かう。
 それが音楽でないことは、私が一番わかっている。



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 壮ひろみはあと一話で終わらせるつもりだったんですが、ちゃらさんちで「エドモンじゅうはっさい、マルセルごさい」を読んで(見て)、どっかんどっかんとキテしまったのですよ。もうむっさんてばなんて感度がいいんだ(感度言うな)。期せずして年老いてしまった若者と小さな男の子。マルセルのあの癖毛はエドモンの長年に渡るぐわしぐわしと頭を撫でていたのが原因かと思います(アイラブペットで犬洗いしていたイキオイです)(笑)。




 なんかすごい無駄萌えしているんですが、今の私には多分「それが大事なのぉ!」なので見逃してください。


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