2004年11月27日(土)
水面インターフェース


 ネットのすごいところは「見ず知らず」の人が、「見ず」ではあるけれど「知らず」ではなくなることなんだと思いました。
 すごいイキオイで生マシンガン打ってすみません(私信)。



 今日も観劇してきました。

[花舞う長安考察]

 昨日「いやそれもう無駄だから」と結論つけたくせに、またしてももやもやと考えてしまいました……こうやってつい考えてしまうのは、単に観劇中に「飽きてヒマ」になっているからじゃないんだろうか(無言)。
 今日ぼんやりと思ったことは、国を滅ぼしたのは、反乱の徒・安禄山でもなく、傾国の美女・楊貴妃でもなく、権力を欲しい侭にした宰相・楊国忠でもなく、玄宗皇帝その人に他ならないんじゃないかと。……いや、なんとなく。


[天文部]

 楊国忠が私の中で繋がりました(早)。いや、正しくは脚本の間隙を全力で妄想で埋めただけなんですが、私の中では(強調)繋がったので。もしかしたらまた解釈変わるかもしれないんですが(まだ観劇2回目だしな)、自分用メモとして書いておきます。







 初日を見て「楊国忠は2人いる」と思ったのは、どうしても赤国忠(楊貴妃の一族として登用されてから皇甫惟明を責めるところまで)と白黒国忠(三姉妹と歌い戯れてから楊貴妃に皇甫惟明の死を告げに行くところまで)が繋がらなかったんですね。
 楊貴妃の後見として登用された楊国忠は、宮廷で重きをなすだけの才覚と器を持った人物だったのは違いないと思うんです。けれども彼には策を弄するというところが無かった。これを補ったのが陳玄礼。彼には策はあったが、身分と器が無かった。故に彼は楊国忠を利用して、皇帝の為に策を弄しようとする。互いに互いを利用しあっている感じがしたんですね。陳玄礼が食えないなぁと思ったのは、安禄山の危険性を危惧し手を打っている楊国忠に対して「さすがは国忠殿」と誉めてから、「でも皇甫惟明もあやしーぞ(拓麻早希着ボイス調)(って聞いたことないけど)」と煽っている辺りが。そのくせ皇甫惟明が出てくると、ちゃんと臣下の礼というか如才なく世辞をつかってへりくだるじゃないですか。それが陳玄礼の分のわきまえ方というか。そんな食えない陳玄礼にわかりやすく触発される楊国忠。「お后様とこんなところであやしーぞ(拓麻早希着ボイス参照)(だからわかんないから)」とまっすぐストレートに責めるじゃないですか。……ほんとわかりやすいな、この人大丈夫かな、とちょっと心配になるぐらい。
 ところが白黒国忠として出てきた時、三姉妹と「さあ、今日も楊貴妃様を守るための特訓だ!(違)」と和気藹々としつつ、三姉妹に囲まれながらすっと真顔に戻っていくんですよ。まるで何事もなかったように。とりあえず三姉妹ののりに付き合っただけというか、もはやそうやって楊貴妃様をありがたく思うのは自分の仕事ではない、と言うように。ここの含み具合が結構きました。でも赤国忠とは別人だなぁと。
 で、ポイントは赤国忠には陳玄礼がいたけれど、白黒国忠には陳玄礼はいなかったというところなんです。最初、陳玄礼の掌で転がされていた楊国忠。互いに利害が一致していた陳玄礼と楊国忠。だがしかし、楊国忠の器は陳玄礼が考えていたよりはるかに大きかったのではないかと。陳玄礼によって水を注がれた器は、溢れる事なくそのまま大きくなっていったというか。ここで互いの補完関係が崩れて、楊国忠は陳玄礼を必要としなくなった。宰相となった楊国忠は、もはや誰の手も借りず己の才覚と器と策で、宮廷を牛耳るようになった。陳玄礼はそれを見やりつつ、己の立場から立ち位置から出ることはしない。そうやって、赤国忠と白黒国忠が私の中では繋がっていったんです(よりきり力技)。
 もうひとつ。国忠の皇帝への忠誠心なんですが、そんな風に権力を手にしていった楊国忠は最終的には皇帝と並ぶ権力を持っていたのではないかと。というより楊貴妃に夢中で国政をおろそかにしている玄宗に代わり、自分が国政を一手に引き受け、欲しい侭にしていた。それは己の私利私欲の為であるなしに関わらず、国忠は国を制していたのではないかと想像します。忠誠心がないというか、皇帝、なんぼぞのものとぐらいの勢いがあったんじゃないのかと(白黒国忠の押しだしの強さを見つつ)。
 そんな国忠が最後に戦う時、玄宗皇帝に「国忠!」と叫ばれて「陛下!」とはっとしたように呼応する。その時、瞬時に最初に「国忠」の名を皇帝にもらったときの楊鉦に、あの時の犬のようにキラキラと忠誠心を誓っていた楊鉦に戻った。ぐるっと回ってもとの楊鉦に戻った時、彼の命は終わりを告げるってむっさんSSするならよーそーでー!……でも私の中ではそうやって綺麗に落ちてしまったのです(ひとりあそび終了)。
 ちなみに最後の先頭シーンで楊国忠が遅れて出てくるのは、原作にあった「都の落ちの際に、最後に政務をすべて片付けてから玄宗一行を追った」に置き換えるといいと思います。あとこれに史実とは違いますが李林補を殺したのは楊国忠と陳玄礼の共謀とか加えると、「俺的花舞う長安」が出来ると思います(しなくていい)。
 ……まさかこんなに国忠さんで妄想深読みできるとは思っていませんでした。引き続き黒点観測を続けたいと思います。

 そんな私が今日一番ときめいた黒点は、戦闘シーンで安禄山が出てきたときに「来たな」ってカンジで舌打ちする表情です。うわーくろーい(大喜び)。
 あ、あとついでに。しぃちゃんの立ち回りが好きです。なんであの人だけあんなに「重み」があるんだろう。他の人は流麗とかそういう表現になるのですが、しぃちゃんの剣さばきは実戦的な重みを感じます。


[ロマンチカメモ]

・メモというか、今日の昼公演。豪華客船のところで星原先輩のマイクが入らなかったんですよ(オペミスか……)でも地声でもちゃんと2階B席まで聞こえてきた。これはアクシデントなんですが、そんな星原先輩がすごいと思いました。
・余談ながら私が宝塚を見初めて驚いた事の一つに「バウホールでもマイクを使っている」があります。私の中ではあの劇場ならマイク不要の範疇だったので(小劇場育ち)。ミュージカルだからって事なんですかね。
・今日の組長アドリブは「俺な、おっきな船乗っているけれどヨットみたいな小さい船も好きなの。で、ヨットに乗るときは『あーらヨット』」……なんでこんなベタなのに面白いんだろう(素)。組長アドリブ報告スレ立てたい(どこにだよ)。


 頭使いすぎで観劇2日目にしてすごい疲れてきました(自業自得)。



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