「静かな大地」を遠く離れて
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2002年02月22日(金) 極私的・新世紀の探し方

題:248話 栄える遠別8
画:布巾
話:それに適う湧水が見つかったのが烏柵舞であった

鮭は美味い。すごく美味い。鮭が食べたい。
塩鮭の切り身も悪くないけれど、アイルランドでは何度もレモンバターソースの
ソテーを食べた。アラン島でも食べた。とても美味かった。北海道のトバもいい。
塩をして天日干しした鮭も、切るときれいなサーモンピンクで(<そりゃそうか)
食べると生ハムみたいな芳醇な味わいがある。美味い。カムイチェプ=神の魚。

きょう気になったのは“烏柵舞”という地名。“ウサクマイ”と読む。
何年も前からウサクマイというのは一体どこにあるんだろう?と心に懸けて来た。
支笏湖の近くだとは知っていたけれど、実際に訪れたことはないはずだ。いつか
行ってみたいと思っていた場所だった。漢字表記が烏柵舞だとも、初めて知った。

僕がウサクマイという地名を知ったのは、「キツネのチャランケ」という民話の
舞台として。御大の『母なる自然のおっぱい』(新潮文庫)所収の「狩猟民の心」
の中で、サマリーが紹介されている。チャランケは英語で言えば正にディベイト、
と御大も書いている通り。川の鮭を獲るのを人間に禁じられそうになったキツネ
が神様に異議申し立てする、というハーグ国際司法裁判所のような(?)お話だ。

コトバによる包囲網。道義なき強者に対する弱者の戦い方。

去年の秋、僕はいつもの癖でくだらない屁理屈を唱えて「非戦」系の人の顰蹙を
買うのを趣味としていた。いわく、アメリカの空爆を本当に止めたい、と責任を
持って言おうとするならばやり方は皆無ではない、考え得る限りの味方を募って
対米宣戦布告をするのがよろしい、あわよくば東海岸を分割占領してワシントン
DCを陥とそう、そしてブッシュ政権はおろか米国連邦政府をも解体して直ちに
地球連邦政府の発足を宣言するべし、ブレアは無理でもプーチン、うまくすれば
シラクあたりは乗ってくるぞ、あるいはアル・ゴアを擁し傀儡政権を作るか…?

世界の警察を気取るのは結構だが、絶対権力ほど腐敗しやすいものはないという
のはあまりにも当然の法則だ。ケイサツとヤ*ザは、裏世界では紙一重みたいな。
米国が育てたテロ集団が結果的に仇をなしたと言っては、またその頭をたたく。
この巨大な権力に抗することができるのは…なんだろう?20世紀のおとぎ話、
万国の労働者が団結したインターナショナルな組織による世界革命でもあるまい。

まったくもって“私たちは今どこにいるのか”、それを知ることからして難題だ。
確かに難題だけれども、不可能だとは言ってしまいたくないし、思ってもいない。


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