「静かな大地」を遠く離れて
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2001年07月30日(月) 北から南から

題:48話 最初の夏18
画:干し葡萄
話:学業を心配する母、勝手に遊ばせる父

この父の少年時代の物語、構造は都会(まち)の子供が北海道へ移住して
そこでいろいろな「他者」と出会いながら展開していく文明批評という形。
しかも「学業を心配なさる母上と違って、父上は勝手に遊んでおれと言われた」
なんて図式は、ほとんど『北の国から』明治編、といったところか。

先日、西東始さんからメールを頂戴しました。許可を戴いて、以下に転載。
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件名:フラノは「故郷」

『北の国から』のロケが始まる前までの三年間、富良野に
住んでいました。20年以上前のことです。当時の富良野
は、鉄道による輸送基地の役目を終えたのだけれど、単な
る農村には戻りたくないと、観光都市化を盛んに計画して
いたのだと、今更ながら気付かされます。ワールドカップ
スキーと、それにあわせたプリンスホテルの進出。ワイ
ン。(もともとは土地流出のために農家が植えたに過ぎな
い)ラベンダー観光。倉本聡さんの移住と『北の国か
ら』。ところが、私の頭の中の「故郷」としての富良野
は、そういう観光資本とは一切関係ない自然豊かな町なの
です。帯広にやってきてからは、旭川行きの高速バスで富
良野に寄ることもあるのですが、現実に見る観光都市と頭
の中の「故郷」の間にものすごいギャップがあり、とにか
く複雑な気持ちです。

猪瀬さんの「故郷論」はまだ読んでいませんでした。富良
野のことを思い出しながら読みます。
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先日も書いたとおり、僕も北海道富良野へは何度も行った。
『北の国から』に関してはオンエアーのあとの再放送で見たあと
やはり「’87初恋」でハマり、88年の再放送を全話見て
以後のスペシャルは欠かさず見ている。
パロディー心を誘う“泣き笑い”感覚、翁面のようなクニエの顔、
自然番組並みの実景映像のストック、キャラたちの“立ち”の良さ。
あの反則技の集積体のようなドラマは、真似のしようのない文体を
作り出していて、好き嫌いはあるかもしれないが大した番組だと思う。
魅力は、計算を超えた、制御不能なまでの田中邦衛の生態観察(?笑)
松本人志が『北〜』フリークなのも、頷けようというものだ。

公式サイトは、↓こちら。
http://www.kitanokunikara.net/
ここで告知されている通り、来年2002年に完結するようだ。
田中邦衛さんではなく、倉本聡氏の限界だろうか。
いずれにしても楽しみなことである(^^)

以下は↓、とある「北の国から」研究。
http://www.ceres.dti.ne.jp/~ysk/fragment/daigaku/index.html
ファンサイトとかじゃなくて、まじめに学問的に研究している論考。
あの番組は、こういう生真面目なアプローチも可能な懐の深さがある。
ほんとなら、これに触発されて以下、長々と文章を書きたいところだが
ひとまず今日はご紹介に留めておきます(^^;
「北の国から」&倉本氏が作り出した北海道イメージの大きさは
疑いようがないわけなので、今後も話題にしていくつもり。

御大の記憶の中の戦後の帯広と、現在の北海道のパブリック・イメージ
との落差たるや、恐るべきものがあるのだろう。
そのへんが『静かな大地』の明治初年と明治末という時間構造の中にも
反映されているのかもしれない。

追記。
御大と倉本氏に共通する意外なテーマが、ハワイイ日系人。
倉本脚本作品『波の盆』というドラマは、その大傑作だと思う。
主演は笠智衆、演出がなんと実相寺昭男!ビデオも出てます(^^)

ちなみに次期次期NHK朝ドラはなんとヒロイン日系ハワイイ人の設定
だそうですな(^^;
オキナワの次は熊野、そのあとがハワイイ。
どうもニューエイジなスピリチュアル系のロケーション選びだね。


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