「静かな大地」を遠く離れて
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2001年07月24日(火) 唱歌夜明け前

題:43話 最初の夏13
画:枯れた茎
話:獣道を辿ってアイヌの子らを追う

棒を持つ。歌を歌う。心細い藪を漕ぐ時の防衛手段。
「遠くで鳥の声はするけれども、人の声はしない。
だいたい人の気配がまったくない。」ことの不安、それと恍惚。

「あの頃は唱歌などなかったな。」と語る父。
猪瀬直樹『ふるさとを創った男』(文春文庫)を参照のこと。
“しみじみとした日本情緒”を醸し出す唱歌は、賛美歌のパクリで
急造された「感覚の制度化装置」とでも言うべきものだった。
由良さんたちの世代だと、そのへんをモロに被ってるということか。

考えてみればドイツのリートを移入したような山田耕筰メロディー
とか、 スコットランド民謡とか、そういうもので「懐かしい」日本
を彷彿とさせることが出来るのだから、情緒というのはコワくて
いい加減なものである。


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