| 2002年07月22日(月) |
捕らえることのできないもの |
取り立てて、どうということのない一日。
そんな日もある。
そんな日のほうが、多分多いのかも知れない。
建物から一歩外に出ると、そこは熱帯と化していた。 熱で空間が歪んで見える。
その歪みのなかで、忘れ去られたものが錯乱しながら複雑に 結びつきあっている。それが何なのか、たずねても仕方が無い。 たずねるたびにそれはその形を変化させつづけていくのだから。
時を歪ませ、空間をねじまげ、光を屈折させる何か。
エレキギターのディストーションよりは、WOWペダルに近いその何か。
それは熱帯の中に姿をあらわし、追い掛けると再び消えて行く。 どこか遠くの別の場所に姿を現しているに違いない。
それは、人の心の中に入り込んで、幻想を四次元的なものにする。 束縛する現実を一瞬にして溶かし去り、手に入らないものが手に入るような 気にさせる。
万華鏡のビジョンのように無限の形を取るそれは、 熱帯の空気の中で踊っていた。
「捕らえることのできないもの」
さしあたっては、そう呼ぶより他に無いもの。
|