Espressoを飲みながら

2002年05月24日(金) ウルトラセブンよ、君はなぜ、戦いの渦に身を投じるのか(一部ネタバレあり)!?

 久々にウルトラセブンの新作がDVDで発売された。

前作が1999年の6部作だったから、本当に久しぶり。
神戸は三宮のヴァージンメガストアで早速買ってきた。

 今度の作品は5部作になるそうで、これはその第1部。
けれどもEPISODE:4と書いてある。1部を第4エピソードから始め、
今後に発売される作品で、1部以前のいきさつを説明する変則的な
展開になるのだろうか?

 ストーリーは前回の6部作の続きとなっており、
これを見ていないと物語の流れを理解することが難しいかも知れない。
テレビ時代のウルトラセブンから直接的に継続性のあるストーリーでは
ないからだ。

 今回の特徴としては、

・モロボシダンは登場しない。カザモリ(山崎勝之)が
セブンに変身する。ただしナレーターはダン役の森次晃司が
担当している。

・前回のシリーズではカザモリはウルトラ警備隊の隊員であったが、
今回の作品ではウルトラ警備隊をすでに辞職しているようだ。

・テレビシリーズ最終回の双頭怪獣パンドンと同じ遺伝子をもつ
「ネオパンドン」が登場するが、操っているのは宇宙からの侵略者では
ない。おそらくは前回のシリーズでも度々登場した、
現在の地球人に滅ぼされた地球先住民(ノンマルト)の末裔だろう。

・森を癒す力を持つ植物生命体の少女(あだち理絵子)。

などがある。5部作だけあって、
今回のは明らかに序章としての趣きが強い。
ちなみに次回の予告編では、あの懐かしのペガッサ星人が登場。

 ウルトラセブンは知っているけれども前回の6部作は
見ていないという人のために簡単に説明しよう。

 前回の6部作中において、地球防衛軍およびウルトラ警備隊は、
明らかにテレビシリーズのウルトラセブンの頃のそれとは
性質の異なる組織になっていた。

地球防衛軍の軍事力は非常に拡大し、他の星から警戒されるほどに
なっていたのだ。他の星と戦争に次ぐ戦争を起こした。
それは時には侵略戦争であった。そのような熾烈な戦争の中で、
地球人はより強力な兵器、戦力を求め続けた。他の星々を壊滅する
能力のある兵器を開発した。前回の第5部では、
あのキングジョーすらも軍事用ロボットとして利用しようとしたのだ。

 そしてそのような軍事力拡大政策の背景にはある機密事項があった。
それはオメガファイルと呼ばれていた。そこには人類が地球上に生存する
正当な権利の根拠すら揺るがしてしまう大変な情報が保存されていた。

それがばれれば現在の地球人(私達)の地球における生存は
正統なものではなくなってしまう。
もしそうなったら、宇宙の裁きから地球人を守ることができるのは、
強大な軍事力意外に何もないのだ。

だから、地球防衛軍は軍事力拡大に固執していたのだ。
秘密を知ったキリヤマ隊長は闇に葬られてしまった。

セブンとウルトラ警備隊の主張により、
オメガファイルに関する事実は宇宙に向けて公開された。
しかしそれは同時に、ウルトラセブンが地球人のために戦う根拠が
宇宙の掟によって認められなくなることを意味するのである。

しかしセブンには地球を見捨てることは出来なかった。
セブンは怪獣と戦い、宇宙の掟を破ってしまった。
遅かれ早かれ宇宙からの刺客の手が自分に及ぶ事を予期したセブンは、
地球人に迷惑を掛けないために宇宙へと飛び立って行った・・・。

というのが前回6部作の最終回。

 このような筋書きだったから、セブンが地球に帰ってくるという
ストーリーを新たに作るのは大変だったろうと思われる。
「もう2度と帰ってこれない」ことを前提にした最終回の続きを
書かなくてはいけないのだから。

あの後、どうなってセブンが再び地球に戻って来れたのか?
それは今後の作品の中で明らかになっていくのだろうか。

 それで、今回のストーリーとしてはやはり前回を引きずる形。
敵は地球の先住民なのだ。彼等も植物生命体の少女も現地球人に
仲間を皆殺し!にされている。地球人を攻撃しようとする側にも
それなりの根拠があるのがいかにもセブン的。
大怪獣ネオパンドンは昔のパンドンより数倍かっこいいが、
ネオパンドン自体に地球を攻撃する意図があるわけではなく、
あくまで兵器として使われるだけである。怪獣が主役ではなく、
宇宙人/知的生命体主体の姿勢はやはり新作でも変わらない。

 ネオパンドンとの戦いは終わっても、本当の戦いは解決していない。
この続きは次回を見るより他に無い。

 ウルトラマンでこわいのは怪獣だった。

 ウルトラセブンでは宇宙人だった。

 しかしDVDウルトラセブンでおそろしいのは、作品中に描かれる、
自分にも身に覚えのあるような、地球人の心理のパラノイアであったり、
攻撃性、残酷さであったりする。

 子供向けと馬鹿にせず、大人が見ても楽しめると思う。

 


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空遊 [MAIL]

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