フォーリアの日記
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2007年12月02日(日) オペラ「カルメン」

オペラ「カルメン」を見てきました。

オーチャードホールでレニングラード国立歌劇場の公演です。
オーチャードホール、オペラを見るには狭いというかゆとりがないです。
3階席だったのですが、2階3階はトイレに行くにも通路が狭く、
客席に入る人とすれ違うのにも
2、3人のグループがちょっと立ち止まっただけで滞ってしまいます。
トイレの室数も少ないし、洋式も少ない。

客席の階段の段差が高く、お年寄りや足の悪い人は苦労します。
私でも1段降りるのに踏み外したかと思うような勢いがつく高さのものがありました。

さて、オペラの方ですが、カルメン役はなかなかよく、
ソリストも粒ぞろいとは言えないかもしれませんが、特に悪いということはありません。
合唱も初めのうちは拍が遅れ気味だったり、やたらに硬い声の人がいたりして
あまり揃っていない感じがしましたが、全体に苦になるほどではありません。

劇としてもなかなか良く、
人々の感情表現も家にあるDVDのような違和感はなく、
すんなりカルメンのキャラクターを受け入れることができました。

家にある台本対訳本と違うところがたくさんありました。
地のせりふがまったくなく、
言葉で進行するところはレチタティーボのように歌で進行します。
また、衛兵が交代する時についてまわる子供たちがいなかったり、
ミカエラを山に案内する案内人がいなかったりします。

その他ふんだんにバレエが取り入れられていて
レニングラードが得意とするバレエが見られる演出がされています。
バレエ好きにとっては得したと思える演出かもしれませんが、
前奏曲や間奏曲など、音楽も含めてオペラを見に来たものにとっては
違和感があります。

幕が開くとタバコ工場の前の風景ではなく、
前奏曲の途中からいきなりバレエが始まりました。
カルメンと数人の闘牛士たちみたいな扮装の華麗な踊りの後に
やっと人々が登場して始まります。

また、4幕の闘牛場の前の場面が始まる前には
舞台いっぱいに踊り手が出てきて、
アルルの女から2曲挿入されて、それにあわせてバレエが踊られます。
(1曲は多分ファランドールの後半みたいな曲、もう1曲は思い出せません。)
曲そのものが第4幕の雰囲気を盛り上げるのを邪魔するだけでなく、
これはロシア人にも日本人にもあまり関係ないかもしれませんが
スペイン人にとっては違和感あると思います。
「蝶々婦人」に中国風の踊りを入れられたら
「やっぱりヨーロッパ人にとって東洋は皆同じなのね」と思うような。

どうも場所柄、熱烈な音楽ファンより近いので来たというお金持ちの方が多そうだと夫が言うので
どうしてかと聞いたら、拍手が弱いとか短いとか。
ブラヴォーを叫ぶほどの盛り上がりがなかったためもあるような気がします。
そこそこよかったけれど、絶賛とはいかないというところでしょうか。


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