フォーリアの日記
目次過去の日記未来の日記


2006年11月03日(金) アイーダ

今日は東京文化会館へキエフオペラを聞きにいってきました。
演目は「アイーダ」です。

全体としては大変素晴らしく、
ソリストも合唱もバレエもオケもたいしたものでした。

マイリンスキーやレニングラード、ボリショイなど大きな歌劇場をたくさん持っていて
それらがみんな世界的にも素晴らしい水準なのに
キエフもそれらに劣らず素晴らしい水準で
旧ロシアの歌劇場というのはどうしてこれだけのものを揃えられるのかと思いました。

事前にビデオを見て予習をしてあっただけに、ストーリーはだいたいわかっていました。
実はビデオを見たときからストーリーにはなんとなく未消化の部分がたくさんあるのです。
ラダメスとアイーダの恋愛模様も初めにあまり描かれていないので、
それにからむ葛藤や嫉妬、裏切りなどなかなか感情移入できるほどには納得できないのです。
ビデオではそれは大いに不満が残るところでしたが、
豪華絢爛な舞台を楽しむものなのかと無理に納得したのです。
(ビデオのものはメトロポリタンなので一層豪華絢爛です。)
さすがに、本物はビデオと違ってストーリーは未消化でも生の演奏で感動してしまいますが
やはりストーリーには納得していません。

主役のアイーダは(ドラマティックソプラノの役ですが)ビデオの人よりも軽い声です。
ストーリー的にはアイーダの心の動きがわかりにくく、感情移入できないのですが、
歌は素晴らしく、それぞれのアリアには感動してしまいます。
エジプトの王女アムネリスは気品があって、ビデオのかわいらしい人とはまた一味違います。
最後の方の嫉妬から死に追いやったことで苦悩する場面は圧巻でした。
ラダメスもまた素晴らしく、必ずしもアイーダが主役といえないようなこのストーリーの
主役の一人として立派なものでした。
ラダメスの見せ場はストーリー的にわかりにくいところが多いのが不運だと思います。

残念だったのは凱旋の場面で捕虜になった人たちが省略されたことです。
捕虜はアイーダの父のエチオピア王アズナモロひとりだけで、他の一般の捕虜たちがいないのです。
捕虜が歌うはずの合唱は、エジプト軍の凱旋を称えていたエジプトの人たちが歌っているのです。
さすがにそれは不自然で、ちょっと残念でした。
プログラムの写真には捕虜が写っているので、日本公演では省略したのかもしれません。

昼間の公演(午1時から)だったのですが
連休初日の昼の上野はものすごく混んでいて、改札を出る前から人であふれていました。
公演口の前の横断歩道をわたる人の波も大変な量でした。


フォーリア |HomePage