武ニュースDiary


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2018年09月23日(日) ピーター・チャンとの対話(喜欢你)・2

(続きです)


ピーター ところで、君はいつになったら監督をやるのかな

 わかりません、やるとは限らないし。

ピーター 君はできるよ。映画にこれだけ興味があるんだから (武 ため息)
監督は、プロでなくてかまわない唯一の職業なんだよ。
いつも言っているが、監督はmultiple choice、つまり選ぶこと。
大勢の優秀な人材がたくさんの材料を差し出して選ばせてくれる。
実は監督はそんなに難しくない。判断できればいい。

 ぼくは20歳になる前はとても監督になりたかったんですよ。

ピーター ほんとかい、そんなに早くから?

 そうそんな昔。20歳だったかな、大体そのぐらいです。

ピーター 当時、君は確かニューヨークで
何か月か学校に通ったんじゃなかったっけ?

 そんなに長くじゃないです、2、3週間だけ。

ピーター 演技の勉強、それとも監督?

 映画の勉強です。
そして監督の権威ってすごいんだなあと思って、じゃあ、監督になりたいと。(笑)
その後、もちろんチャンスもなかったんですけど、30歳ぐらいの頃、
チャン・イーモウ監督が大作を撮り始めるようになり、
あなたの「ウォーロード」もそうですよね、
他にも、ジョン・ウー監督、の「レッドクリフ(赤壁)」……。

ピーター 「レッドクリフ」。どんどん大作に出るようになった。  

 こういった映画を経験して、その監督たちを見ていて、
本当に、そのとき思ったんです、「監督は大変だ、なるのはやめだ」(笑)
どうしてこんなに大変なんだって。
そのときだけは、俳優は楽だと思ってしまいましたよ(笑)

この先は、どのくらい演技を続けられるかわからないし、
チャンスに恵まれて、誰かがオファーをくれれば、
出演することがあるだろうけれど、
なかったら、誰もオファーをくれなくなったら、また考えればいいと。

ピーター 断るのを少し減らせばいいんだよ、
誰もオファーしないなんてことがあるものか。

 違う仕事に手を出すなら、ずっとその仕事をするべきだと思うんです。
やめて、また戻ってきて、というのはしたくない。
俳優やって監督やって、また俳優、監督、こんなふうじゃなく。
だから、もしいったん監督になったら、俳優はもうするべきじゃない
あなたは演技をやろうと思ってますか?

ピーター ぼくは演技はできないよ

 どうして?

ピーター どう演技したらいいんだよ、
そもそもコチコチになってしまって動けない。
カメラが回ったとたん不自然になってしまう。
宣伝用動画のほんの短い台詞でも覚えられないんだから。

 ぼくだってすごく不自然になりますよ。無理してやってるんですよ。
やらなきゃいけないからやるという感じです。

ピーター いや、君はやはり天分があるよ。

 いえいえ、ぼく、今日はよくしゃべってるけど、
やっぱりやむをえずという感じがしてますよ。
ほら、カメラが4台も回っていたら、話をしないとまずいでしょう。

ピーター 変化したことについて話そう。
ぼくが思うに、君はこの数年ものすごく変化したよ。

 年をとりました。

ピーター そうじゃない、本当に前より開放的になったと思う。
こういう話をすること自体、数年前だったら非常に難しかった。
今日、発表会のステージでの君のああいう状態も、ぼくには予想外だったよ。

 でもあれは……後でステージを降りてから、
さっきしゃべりまくってたのは一体誰? 状態でしたもの。

ピーター 君はカメラが回ったら、必ずできるんだよ。

 ぼくにもわからないけど、
多分あそこは絶対話を続けなくちゃいけなかったからかな。
じゃないと多分怒られる。 (笑)

ピーター だから、ぼくは君は大きく変わったと思うんだよ、ここ数年。
特にこの数年だ。
いつも聞かれるんだがね、金城武とは本当に仲が良いのかって。
ぼくがイエスと答えて君が認めなかったら、恥をかくじゃないか。
しかし映画を撮らなくても、どのみち、ぼくが日本に行ったら必ずこの人に会う、
彼も香港に来たらぼくを訪ねてくれる。

ぼくのこの10数年の成長、「ウィンター・ソング」を撮り終えて以後、
子どもが生まれたこともふくめて、彼は全部知っていてくれる。
「捜査官X(武侠)」の後、母が亡くなった。母の病気のことも彼は知っていた。
亡くなったとき、彼は葬式に来てくれた、唯一のスター、唯一の俳優なんだ。
だからこうした多くのこと……

 その頃ぼくは撮影がなかったから。(笑)

ピーター 君はいつだって撮影してないじゃないか。(笑)
1年にせいぜい2、3カ月だろ。
だからぼくらの関係というのは、ちょっと特別なんだよ。

 「ウィンター・ソング」では、ずっとあなたとやり合ってましたよね。
「ぼくはやっぱりわかりません」とか言ってね。
監督はどうしてリン・ジエンドン(林見東)にこんなに彼女を愛させるのか、
どうしてもわからなかった、なんで彼女が好きなのか。

(「喜欢你」スチール)

ピーター この芝居自体わからないとまで言い出すんだ。
なんでルー・ジンはそんなにションナンが好きなのか、それも理解できない。
恋愛のどこがわからないって? 愛のことは誰にもわからないさ。
わけもわからず人を好きになったこと、ないのかい?
君は好きになった人のことを全部わかるのか?
彼女を好きな理由を君は全部わかるのか?

 おっしゃることはわかりますよ、
ただ、つまり、画面から感じ取れないんじゃないかと心配なんです。
そこに至るステップがつかめないんじゃないかと。
だから、ともかくたくさん意見を言って、面倒引き起こして、
それなのにあなたはまたぼくにオファーをくれる。
またくれるんです、「ウォーロード」のときも、
ぼくが断ってるのに。何度断っても、またくれる。

(続く)


   BBS   ネタバレDiary 1:00


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