気が向けば・・・。


この今の瞬間に過去も未来も入ってるらしいし(何時でも)この小っさな頭蓋の内に宇宙も入ってるらしいし(誰でも)
だから、ひょっとしてこの矛盾に溢れた日記も、何時かの誰かに繋がったりするかも、って思ったから
少しだけ秘密度を緩めました。



子ども虐待防止「オレンジリボン運動」

2006年04月04日(火) 娘の、理屈じゃ説明できない、モノへの恐怖

山梨温泉一泊旅行、かぼちゃほうとう・武田神社・昇仙峡・影絵の美術館などがそれなりに楽しく
(ただし、旅館の送迎バスが縁石にぶつかった拍子に娘が窓枠に頭をぶつけ、救急でCT検査を受けたり、その費用は旅館持ちだし帰りは特別待遇として車で昇仙峡に送ってもらったりして旅館の人の対応は良かったけど)
帰宅したその夜から、娘が微熱(37度)と頭痛。
咳もハナもなく、吐き気や腹くだしもなく、診察でも特に問題なく、結局普通に3日後には治ってしまったけど、

その間、そうとうナーバスな言動があった。

家の中が、なんとなく怖い。
「昔の物」が、怖い。と言って泣く。
(うっそー、もしかして、武田信玄の霊でもくっつけて帰って来ちゃったのか?この子って霊感強いの?シックスセンスか?)
最初、聞いてるこっちがコワかったんだけど、

そういえば、以前からそんな傾向はあったのだ。
たとえば中華街の中国展なんかでの骨董品の部屋を異常に恐れたり、
1年位前に行った博物館で使った入場パスなんかが引き出しから出てきたときも泣いて「怖いから捨てて」と訴えたりしてたけど
今回のは更に重症らしい。

添い寝してなだめながらよく訊くと、どうも、こういうことのようだ。
小さい頃に大好きだったキティちゃんのおもちゃやグッズ。
一時期そうとうハマったけど今は興味が薄れたプリキュアのカードとかコミューンとか。
あんなに夢中になっていたけど今は落ち着いちゃって正直飽きてちょっと面倒になっている、たまごっち。
2年生の間にたくさんやって掛け算ができるようになったけど今はやっていない、九九バトルマシーン(進研ゼミの付録)。

そういうものをとって置いているけれど、あんなに自分が可愛がっていたのに、自分の心はもう離れている。それはもう自分でも、どうにもできない。
そんな自分に対して、そのおもちゃやグッズが悲しんだり恨んだりしているのではないか。と思うと、すぐそばに、その思いが在るような気がして怖い。私におもちゃやグッズ達が、いつもついてくるような気がする。って言う。

私も夫も「怖がらなくて大丈夫」と励ますが一向に涙が止まらない。
「おもちゃは、一時でも貴女を楽しくさせて、可愛がってもらったんだから、もう目的は果たせて本望なんだよ。楽しい思い出ありがとうっていって寝てるだけだよ。恨んでなんかいないよ」
「きっともう少し大きくなったら、ちゃんと怖がらず懐かしく思える自分になっているし、そのときおもちゃは、ひさしぶりだねえってただ笑ってると思うよ」って言っても怖がっている。
・・・・・・むしろ、あまりおもちゃ達に人格を感じさせては逆効果らしい。
「これはモノだから、何も考えてないよ。電話や掃除機や消しゴムみたいな、道具に過ぎないんだよ」っていう説得でも、ダメだった。割り切って考えるには、童心がありすぎる。子供ならではの、現実と空想の混同、そして優しさ。

いっそ、一緒にすっきり整理しようねと言っても、引き出しの奥を見るだけでも怖くてできないし自分で捨てるのも怖い。そうかといって、同じ屋根の下にそれがあると思うと、いてもたってもいられない。なるべく遠くに離さないと不安で泣けてしまうという。

成長に伴った、自分の移り気な心と、モノへの愛情との板ばさみとか、良心の呵責とか、もったいなさと合理性との矛盾とか、
目に見えないものへの畏怖とか、
大事に使いたいけどできない自分に対するやりきれない思いとか・・・。
子供ながらに苦しいのだろう。
それに、確かにモノが豊富にありすぎて、容易に手に入りすぎて、そんな環境を作った私たちにも責任がある。

とりあえず、目下の恐怖を取り除くことが先決だということで、彼女が寝た後の夜中、夫と二人で引き出し押入れの大整理。
屋根裏にしまいこんだもの、思い切って捨てたもの、ありとあらゆる「昔のもの」の撤去。
捨てるには忍びないものは、実家の母に預けることにした。

その後、風邪も治ったし、物理的な近さにそのうしろめたいグッズが存在しなくなったことで、娘はだいぶ落ち着きを取り戻した。
これをきっかけに、モノとの付き合い方を何か学んでいくのだろう。

母、つまりおばあちゃんからの励まし「ママ(私)だって、小さい頃はそんな時期があったよ。それでママのおばあちゃん(つまり娘の曾祖母)に預かってもらった。今はすっかり平気、大丈夫。」

そういえば私も小学生の頃、自分がもう遊ばなくなった幼児用のボウリングセットを見ては、罪の意識に泣いてたっけ。
今思えば、そこまで懺悔して号泣するほどのことじゃない。と、あっさり思えるのに。
怖いものといえば、いろいろあった。
理屈でいくら「これは怖いものではない、危害を加えられることなどない。ばかばかしい」と考えたって、ぬぐえない恐怖心って、確かにあったんだ。

※私の怖かったモノ(または概念)
サッポロビールの星のマーク 漫画のオバケのQ太郎の題字レタリング タコ(蛸) タコ墨 (その関連で)墨汁 (その関連で)書道用具全般、見るのも怖かった 暗いところ トイレ全般  人喰いアメーバ 宇宙人 水銀 シンナー 化学物質全般、 等等・・・。 


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