(仮)耽奇館主人の日記
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2006年03月11日(土) 悪人もてなお往生を成すのこと。

「73歳の住職・保育園長を逮捕、少女へのわいせつ容疑」

 警視庁少年育成課は10日、広島市安芸区船越4、「浄土真宗本願寺派宗教法人光明寺」住職で、私立保育園の園長、江原一之容疑者(73)を、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)の疑いで逮捕したと発表した。

 調べによると、江原容疑者は2004年8月中旬ごろ、東京都新宿区のホテルで、都内の高校2年の少女(当時15歳)に現金8万円を渡してわいせつな行為をした疑い。江原容疑者は容疑を認めている。

 同課によると、江原容疑者は2、3年前から、宗派の会議などで東京に出張した際、高校生を相手に買春を繰り返していたといい、これまでに4、5人に対し、計約20回買春したなどと供述しているという。

(読売新聞) - 3月10日18時49分更新


実は、この七十三歳のエロ坊主、うちと顔見知りである。
浄土真宗の中の派は違うが(うちは大谷派)、会議の際、出席した従弟と、次の年に代理で出席した私を捕まえて、子供たちの教育について熱心に語っていた。
従弟ケンタは、目上の人となると、もう無条件で尊敬して、いわゆる「染まる」ので、「胡散臭えジジイだぜ」と切り捨てた私と、マジで口喧嘩したものだ。
それが今回の事件で。
ケンタはさすがに、見るも哀れなほど、落ち込んでしまっていた。
私は追い討ちをかける気も起きず、ただ、「いい歳こいて何やってんだろうねえ、全く。しょうがねえなぁー」と言うにとどめておいた。
以下はケンタとのやりとりの一部。
「何で兄貴はあの時、胡散臭いって思ったの?」とケンタ。
「話し方がいちいち紋切りだったからさ」と私。
「ああ・・・そう言えば・・・」
「だろ?あの歳になっちまやあ、普通は、俺たち若えもんに対して、あんな喋り方はしないんだ。それがあれだろ?腹に一物隠してるなってすぐ分かったよ。本性を隠そうとする輩は、正体を悟られないために、色々と着飾るんだけど、あのジジイは丸分かりだったなぁー」
「俺、ほんとに騙されやすいのかな・・・」
「うん。ほんとに善人だからな、ケンタは。悪いことじゃねえ。ただ、善人である以上に、悪人であることも必要なんだぜ。そうでなければ、善に強いだけで、悪に弱くなっちまうからな」
「ああ、『欲望に負けた』とか言ってたねぇー」
「そう。おのれの悪といかに真剣に向き合っていなかったかってことだよ」

・・・・・・

それにしても。
今回の事件だけでなく、いい歳をした坊さんが、恥ずかしいことをして世間を騒がすのは、全くどうかと思ってしまう。
修行が足りないどころではない。
坊さんという自覚がない、お寺という安穏さにあぐらをかいてる、俗人というところか。
こんな、たわけた破戒僧どもは、個人的に始末してしまいたい。
親鸞の言葉に、悪人もてなお往生を成すというのがあるが、今回のも含めて、欲望に負けたというハンパ者は、悪の何たるかも分からないままだろうから、往生などどうして成せよう。
俗人は、善と悪の二元性に苦しむ。
で、普通は善人であろうと努力する。
しかし、それだけでは駄目なのだ。
悪人であろうと努力するのも必要だ。
そこで初めて、二元性という両極をひとつにして、ひとつ、突き抜けることが出来る。
即ち、自分自身という人間をよく知り、そして、自分自身に打ち克って、新しい自分自身に成るということである。

そういう、自己と真摯に向き合えなければ、坊主なんてクソだ。

今日はここまで。


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