(仮)耽奇館主人の日記
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| 2006年01月18日(水) |
犬神博士の失恋の思い出話�� |
小学校を卒業した次の日、一番好きだった女の子から別れの手紙をもらった。「キミのことは、LOVEというより、LIKEだったよ」。これだけで、もう、英語が嫌いになるところだった。 気取った物の言い方しやがって、こんチクショー! でも、当時の私はすでに図太い神経を持ち合わせていたので、中学での新しい恋愛ごっこに胸をときめかせていた。 恋愛ごっこ。 そう、ほんとうに「ごっこ」だったのだ。 まだ恋愛というものを知らず、全身がひっくり返りそうな胸の痛みを知らず、恋に恋していたという感じだから、誰もが「ごっこ」から始めるのは当然だ。 実を言うと、その「ごっこ」こそが一番切ないのだが。 思えば、中学生は一番ドキドキした年頃だった。 私はすでに従姉と初体験をすまして、女の肌の匂いと味を知ってはいたが、女心の味はまだ知らなかった。 そう、女心を知るために、やりすぎないよう、凝りすぎないよう、自分を抑えるのに苦労したのが、私の中学時代だった。 少なくとも、スカートめくりはやめよう。 そういう子供じみたことはもう卒業! しかし、私の欲求は新たなはけ口を求める。 しかも、例えば、小学校の時はブスで乱暴者だと思っていた子が、やたらに胸が膨らんで、何だかもじもじする時が目立つようになるのが、他の子と一緒にどんどん目につくようになった。 はらわたがねじれるような感覚。 胸が締め付けられるような感覚。 もう、子供の時のように、気軽に肩を組めないおまえ。 男の子どうしなら、いつもどおりにプロレスごっこをしたりして、バカみたいに楽しい日々を送れたが、女の子はどっか遠いところへいっちまう・・・ それが淋しくて仕方のない中学一年だった。 で、当時はなかった美術部をたった一人で創設して、同好会レベルからコツコツと絵を描いたり、図書室にこもって本を読んだりする内向的な面も広げていったのだが、私の本好きなところにひかれたと言って、近寄ってきた女の子がいた。 一個上の先輩で、星新一のファンというSFマニアだった。 彼女の勧めで、まだ未開拓のSFをほんとうに幅広く知った。 教えてもらった代わりに、こちらからは江戸川乱歩と横溝正史を教えてあげた。 つまり、本を礎としたいい関係に発展して・・・お互い交換ノートをするようになって・・・いわゆる、お互い彼氏彼女と認め合う仲になった。 今では思いっきり死語で、笑ってしまうが、当時はABCといって、Aがキス、Bがオッパイ、Cがアソコと、どこまで行ったかをみんなで話題にしたものだ。ちなみに、Dは妊娠である。 そこで、私はつきあっている先輩に対して、Zまで行きたいと言った。 Dが妊娠なら、その果ては一体どんなものなのか、一緒に知ろうよと。 とんでもないことを言ったと思うが、先輩はいいよと言ってくれた。 それで、キチンと順番どおりに、キス、オッパイ、アソコとクリアしたのだが、妊娠のDをパスして、E以降がクリア出来なかった。 想像出来なかったからだ。 それで、来る日も来る日も、Cまでしか出来ないという有様で、マンネリになり、先輩とは冷えてしまい、先輩が卒業すると同時に別れてしまった。 「信じられねえ」と同僚。「今の犬神なら、簡単に想像しちゃうだろうに。へえー、妊娠の次が想像出来なかったってのかい?」 「そうさ」と私。「経験不足ってか、経験が足りないのはあたりめえだろ。まだまだガキだったんだ」 キスして、オッパイもんで、アソコに硬くなったチンチンを入れる。 これだけではセックスとはいえない。 ただの交尾だ。 それにしても、さんざんナマでやったというのに、妊娠しなかったというのは今思うと幸運だったのかもしれないが、一時期子種がないのかなと鬱になった。 それでちょっとグレて、中学生の分際で、裏ビデオを買ったり、あらゆるポルノを観たりして、知識を深めた。 そんな中で、私はサドやバタイユを知ったのだが、ここでまた私は本好きの女の子といい仲になった。 図書委員の子で、私とは隣どうしのクラスだった。 その子の前では、プラトニックに行こう、交尾じみたセックスなんてこりごりだと、我ながら気持ち悪いほど、爽やかさを演じた。 ここで。 私はいよいよ女心というものを知ることになる。 「おおっ、どんな風に知ったの?」 「うん、戯れにね、『おまえって美味そうだよな、食っちゃいたいぜ』って言ったんだよ」 「うはー。その子もかわいそうに。やらしい意味に聞こえるだろ、それ」 「いや。実はね、カニバリズムについて色々話し合った後だったから、そのままの意味に受け取ったんだよ。で、そう言ったら、『やーだ』って言うのね」 「まあ、そう言うわな。それで?」 「『あっそう。やっぱり食うのやめた。よく考えたらまずそうだし』って言ったんだよ。そしたら・・・怒りやがった」 「なーるほどねえ、それが女心?」 「そう。食べたいと言えば拒否されるし、まずそうだと言えば怒るし。当時のオレはほんとに悟った気分になれたぜ」 「いい中学時代だよなぁー。その子とも別れたの?」 そう、別れた。 その理由は。 私が過剰なまでに爽やかさを演じていたからだ。 つまり、本心、本性を決して悟られまいと、仮面をかぶり続けていたからだ。 そりゃ、心が離れるに決まってる。 でも、当時の私は、私自身の欲求が一般的に認められるものじゃないと分かっていた。 例え、カニバリズムだの、サドだの何だのと話し合ったその子の前でも。 私は私の欲求をさらけ出すわけにはいかなかったのだ。 私の欲求とは。 全く子供じみたことなのだが、妊娠の後に来る、男女関係を考えることだった。EからZまでを考えて、コンプリートを果たす。 そんなことを堂々と公言するほど、私は痴れ者ではなかったので、いつも笑ってごまかしていた。 そんな私の前で、彼女はある日突然、本気で泣きじゃくった。 その泣きっぷりときたら、全く猛烈もいいところで、私の頑固な心を決壊させるには十分だった。 その壊れっぷりから立ち直るのに、たっぷり三ヶ月はかかった。 それで、われとわが身を振り返って、大いに反省して、次はもっとうまくやろうと誓った。 その時、すでに私は志望した高校に受かっていた。
・・・・・・
今、中学時代の私自身に歌を贈るとしたら、当時聴いていたバービーボーイズの「おやすみ よそもの」だろう。
赤い目して眠たそうだな 探してるのは誰かな 濡れたコートは邪魔になんだよ 泣いていたいなら よそいきな
おやすみ よそもの おやすみ よそもの
仲間はずれ 不服そうだな ほかの連中を見てみな けむたそうだろ おまえを見る目 俺のせいだと恨むなよ
おやすみ よそもの おやすみ よそもの 場違いだぜ
どうか 教えて 欲しいものはなんなの ぜんぶ あげるよ 合い言葉は なあに
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いくつになっても、人間ってバカみたいだ。 笑える。 しかし、そこがまた切なくて愛しい。 今日はここまで。
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