喰いえるコトなど

グルメ?何それ?ウマイはウレシ、マズイはタノシ。
いわゆるひとつの食い意地日記

2001年09月13日(木) 柿の実を踏み付けず歩くのに苦労する頃


2階にある部屋を出て、階段を降りたアパートの中庭。
そこでは最近、柿の実を蹴らずに歩くのに苦労する。

部屋の窓から手をのばせば届く距離にあるその柿の木は、
夏の終わり頃から、緑の実をつけはじめた。

いまだ熟す時期ではないけれど、図体だけはいっちょ前に育ち、
姿形を整えていく。

柿の木は随分と折れやすいと聞く。
まずはその体裁を整えるべく、育った柿の実は充分に重い。
枝がその重みに耐えきれないのだろう。
どんどんゴロゴロがんがんゴンゴン、その実は枝から落ちてゆく。
うかつに歩いて、落ちた実を蹴ってしまうと、
まだまだ固くて、けっこう痛い。

緑のまま落ちて行くモノ。
ほんのり柿色に染まりはじめたというのに
熟すのを待てず落ちて行くモノ。

まだまだ固い柿の実は、充分に重いそのずっしりを、
地面に落ちる度に、しっかりとアピールする。

柿は秋。

そういう思い込みから、暑い暑いこの夏の終わりに、
「どさり」「ごろり」と聞こえても、何の音だかわからなかった。
緑のままとはいえ、中庭に丸い物体を見つけた時には
違和感があった。

庭に転がる緑の物体にもそろそろ違和感はなくなってきた。
2階の部屋にいてさえ、「どさり」「ごろり」で、
柿の実が落ちた時にはよくわかる。

もういくらか待てば「どさり」「ごろり」が「ぺしゃり」に変わる。
枝についたまま「ぺしゃり」まで熟した赤い実は鳥の取り分。
我々の取り分は「ぺしゃり」に変わる前の、
ほどほどに熟しただいだい色の実。

この木がなんと呼ぶべき種類の柿かは知らないけれど、
だいだい色に熟した程度では、
たっぷりのゴマがあっても少し渋が残る。

「ぺしゃり」に変わる前に、太めの枝の先に実った幸運な実をもぐ。
そうして焼酎を振りかけ、さらし柿を作る。
柿の渋の元であるタンニンが抜け、なんとも甘くなる。
ぐずぐずに柔らかくなったさらし柿は私の大好物だ。

幸運な実をもいで、1〜2週間もすると中庭から聞こえてくるのは「ぺしゃり」だけ。
「ぺしゃり」と落ちた柿の実をうかつに踏み付けると、
滑るわ、匂うわの大惨事である。
その頃には、焼酎を振り掛けられた、
ほどほどに熟した実も食べごろになる。



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