喰いえるコトなど

グルメ?何それ?ウマイはウレシ、マズイはタノシ。
いわゆるひとつの食い意地日記

2001年07月29日(日) 豆腐作り・その壱


自家製豆腐を喰らう。

なんか、ごっつい大層な事のように思いませんか?
私にはそういうイメージがあった。

小学生の頃、某大手食品メーカーから「豆腐の素」が発売された。
「家で豆腐が作れるなんて!!なんとすばらしい思いつき!!」
ほとんど理科の実験気分で、兄と一緒に面白がって作る事になった。

具体的な作り方は、はっきりと覚えてない。
プラスティックの組み立て式豆腐用型がついていた
………ような気がする。
粉を水にとかして、にがりの素みたいな粉を加えて、
その過程のどっかで、過熱もした………と思う。
それを、型に流し込んで、冷やしたものを食す。
兄と一緒に作ったので、兄が製作過程における、
美味しいトコだけやりやがって…………もとい。

           兄が製作過程における、
製作する事の喜びを実感できる部分を担当していた
………のは気のせいではないハズだ。

私はといえば、兄が豆腐用型を組み立てている間に、
これから使うはずの鍋やら、その他の道具を用意したり、
粉を出した後の空き袋をゴミ箱にいれたりしていた
………のも気のせいではないハズだ。

兄はたいそう充実した面持ちで、
豆腐の素が流し込まれたプラスティック製の型を冷蔵庫に入れ、
出来上がりを待つように指事した
………のも思い違いではないだろう。

ああ、だんだん思い出してきたら、
なんか腹が立ってきた気がする。

製作(つーか、調理なんですけど)という観点においては、
ひとつの事を成し遂げたという実感など、
つゆ程にも得られなかった。
私の小さな胸の中で(今よりももっとな。ほっといてくれ)、
何かがブスブスと不完全燃焼を起こしたまま、
豆腐が出来上がるのをひたすら待った。そして私は思った。

「次こそは。次の過程こそは」

豆腐が固まったら、メインイベントだ。
子供にとっては、それはそれは楽しみな作業。
大きな大きなたらいだか、鍋だかに、
いっぱい張った水の中、固まった豆腐が入った型を泳がせる。
その型の下にそっと、手を添え、水の中で型を外していく。
まずは底にあたる一面を。最初に外すのはなかなか難しい。
他の部分を壊す事もなく、一応外せた。
右の側面、左の側面、手前の側面、そして最後にあちら側。
水の中、だんだんと型を外していく作業は本当に楽しかった
……………………………………………………やろなぁ、兄は。

その後やはり、兄はたいそう充実した面持ちで、
今やその白い四角い全貌を見せた、豆腐をのせた手のひらを、
水平に保ちながら、ソッと水の中から引き上げる。
そうして、手の平の上に豆腐をのせたまま、
包丁をあてて何当分かに、切り分けた………ような記憶がある。

はっきり言おう。
面白がって作る事になったが、私はいっこも
オモンなかった、ちゅーねん!!!!!!!
しかも、味はごっつまずかったし……ぶつぶつ。

作るのオモンないし、味はまずいて…………………
……………………………………………………………
……………………………………………………………
………………………………………………最悪やん。

そんな事を思い出しながら、豆腐を作りをする事になった。
今こそ、あの時の憂さをはらすべき時がきたのだ。

続く。



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