つかの間 ルーティンワークの良さを 人生でおよそ初めて感じ やっぱりできない両刀づかいで 縫いは中断したまま 年を越した
ぼちぼち小掃除をし 今日はようやく 黒豆の煮汁を作り 豆を浸して数時間 夜からじっくり煮て含めて 明日の夜には食べられるだろう
んで 久々に縫いを再開していたら 荷物が届き その中に伯父の着物があった 父が譲られたのを もう着ないからと送ってくれたのだ
とうに亡くなってしまったけれど いつもお洒落で 趣味のいい服を着ていて お宅におじゃますると 豆を挽いて煎れる コーヒーの香りが流れていた
着物は ぴんと糊の利いた 本藍染の木綿絣の単だった 細かな絣が田舎臭くなくて 木綿なのにきちんと感がある やっぱり着物にもこだわって いいものを着ていたのだと思えて すごくすごく嬉しい
こういう気持ち なんだか久しぶり 気に入ったものを買うのもいいが 袖を通した人の横顔を 彷彿とさせてくれる着物は とくべつな安心感がある
何を作ろうか しばらくハンガーに掛けて 眺めながら 新しい春を楽しみに
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