ようやく真綿が届いた 早速箱を開け 袋にぎゅっと詰まったのを 広げてみた
白い真綿は想像どおり 木綿の綿より遥かに細く つやつやと輝くように美しく 手を入れると 溶けてしまいそうな柔らかさ
それに比べ 野蚕の真綿はまったく違う 綿という言葉からは 想像もつかないような かさかさの繭の表面を そのまま広げたみたいな 茶色のシートだった
繊維の状態は均一ではなく 太いのは波うち 細いのは蜘蛛の巣のようになって 中には木のくずか 葉っぱのかけらみたいなものも混じっている それはそれは野趣溢れる状態で 生きているものの気配が濃厚だった
どうやって使ったらいいのだろう そう思いながらかたまりをほぐすと 際限なくふわふわと広がり 空気をたっぷり含んだ 自然の生成り色の綿になって行った
それはまるで 死んだ菊丸の毛を梳いているようだった 猫の毛よりも細く 絡み付いて束になったのを 小枝や葉っぱを除きながら 何度こうして解したろうか 羊毛で思い出したことがあったけれど それよりも遥かにあいつの毛に似ている
価格は野蚕の方が高く しかもこんなに手間が掛かるから 次に注文するとしたら もっと使いやすいものがいいのかもしれない そう思う一方で この過程は捨てがたく ちょっと衝撃の出合いなのだった
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