昨年の秋は 別の仕事が忙しすぎて 展示会はしなかったし おととしはほんの数点 スカートを作っただけなので 総裏つきのジャケットというのも 実は初めての試み
そのかたちについては 書きつくせないほどだが 問題は裏地選びにもあった このところ たくさんの着物を解き洗いしたのは ただ大島のジャケットに 合わせる裏地を求めてのことだった
片袖までが終わった裏地を 大島に合わせて 腕を滑り込ませてみると それはあまりにも優しく 自分がとても大切にされているような とくべつな気持ちになった
ひとえとあわせ 気候の変化に対応するための 衣の知恵は ただ実用面だけではなく 纏う人の皮膚感覚をとおして こころの有り様まで 変えてしまうのだろうか
着る ということは 当たり前すぎて気づかないだけで もっと深いものを わたし達に与えてくれるのかもしれない
食べることと同じように 季節に相応しい材料と 素材に合ったこしらえ方で 素材を生かそうと思うなら 表にあらわれない部分に きちんと手を掛けることは必須
何を盛り込むか以前に いのちのことを考えたら 滋養のあるものがいちばん欲しい そういう服があったら きっと 飽きることなく 繰り返し何年も着たいだろうな
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