アマゾンで注文した エロール・ル・カインの本が届き 枕元に置いて眠った
彼の絵は 緻密に書き込まれたたくさんの線が どれひとつ無駄なく あるべきフォルムになっていて 曼荼羅を見ているような 自分のこころの中を覗いているような 不思議な気分にさせられる
それは 例えば以前見た 少数民族のおぶい布にあった刺繍や 古い丸帯に織り出された 蔦や鳥の模様にも似て 限られたスペースに表現された ひとつの完成形
ただ決定的に違うのは 彼の絵には動きがあるということ 切り取られた一瞬の 前と後にも きちんと時間が流れていて 別の動きが繋がっている そういう連続が一枚の絵に 何重にも連なって見えてくる
だからいつまで眺めていても見飽きないし きっとどこかに 描かれた世界が存在していて 生き物や鉱物などあらゆるものが 今も時間の経過とともに かたちを変えているのかもしれないとさえ思う
わたしがカインの絵に初めて出会ったのは もう大人になってから カレンダーになったいばら姫だったけれど もし子どものうちに出会っていたら きっとその絵がお話とともに 深く深くこころの中に落ちて 何か豊かなものを育ててくれただろう
文字だけで 想像力を掻き立ててくれるファンタジーも楽しいが 素敵な絵は 容易に異世界へと誘ってくれるのだ
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