縫い部屋にいて ふとリスの気配がないような気がして 台所に向かって呼ぶと 網戸のこっち側にいるでわないか いつの間に潜り抜けたんだ
あ”ーっ
わたしの声にびっくりし過ぎて ふぎゃらか って音を出さんばかりに横っ飛びし 戻ろうとするも 慌てすぎて出来ず 廊下を逆戻りして玄関方向へ逃げた
追い立ててことなきを得 結局ダンボールで補強したものの いつまで持つだろうか
それはともかく
ようやくオーダーに取り掛かり 水通しのため反物の巻きを解くと 辻が花という名前が端に出てきた その言葉は密かに浮かべていたが 果たしてどういうモノか正確には知らず ネットで情報収集
正真正銘のは今は作られていないそうだし どうやら手元にあるのは友禅染めで 所々の花柄に絞りの痕があるのだが 全く同じ色柄が出ているのに シボのない花もたくさんあって 染めのために施したようには見えない
断言できないが ひょっとしたら辻が花の冠をつけるために あえてシボを加えたものかもしれない シボは洗ってアイロンを掛けたら 全てなくなってしまった 糸で縫い締めたものなら ここまで綺麗にはならないので いよいよ怪しい
いいじゃないのよ友禅染めで 深い色と複雑な柄がびっしりと それでいて和風の嫌みなコッテリ感はなく 異国南国情緒さえ漂う ホントに素敵な反物なのだ そしてお値段はと言えば いつ頃のものなのか 10万円を超える値札がついている
とゆうことわ メーターあたり一万円以上だ それを捨てるというのもすごいが 救ったお客さんは 丈95cmのワンピースができればよくて 残りはあげるというのだからもっとすごい
んで 辻が花を調べていて 古代裂つれづれ草 という素敵なサイトを発見 齢70を過ぎてパソコンを覚え 俳句とエッセイを認めた松本芒風さんは 既に故人だけれど 柔軟な思考と 時にはばっさり切り捨てる所がとてもいい
膨大な文章を読み進めるのが ちょっと楽しみになりそう
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